近代能楽集をみて
シアタードラマシティへ、蜷川演出、藤原竜也出演の『近代能楽集』を見に行きました。 実はこういう芝居を見るのは初めて。 先週は井上陽水のコンサートに行ったし、7月はちょっと過密スケジュールかな。 でも、このチケットを取って良かったと思いました♪ イナがいなくなってしまって、なんだかちょっぴり寂しくて毎晩スポーツニュースを はしごして、、。なにやってんだろ、わたし、 日本のマスコミが海外へ押しかけて選手にまとわりついてるのを、 「あーあ、毎日イチローだ、新庄だ、ってホント、いい加減にしてっ」 と、うっとうしく思っていたのに、ばかにしていたマスコミのスポーツニュースや 新聞を一生懸命捜してしまうなんて、、いやだわ、情けない、、。 こんなふうに頭が切りかえれずにふさいだ気分でいたのですが、舞台を見終えた今 すこし気分が上向きました。 役者さんたちのオーラが励ましになるんですね。 三島由紀夫の近代能楽集は読んだ事がないし、無知なわたしはてっきり藤原竜也君が でるお芝居一本だと思っていたのですが、演目は「卒塔婆小町」と「弱法師」。 そして「卒塔婆小町」がかなり私は気に入ってしまいました。 醜と美、生と死、聖と俗、対比する世界のなかで一瞬の幻のように描かれる美の世界。 ぼろをまとい、目やにと腫れ物だらけの顔で老婆演じる役者が、一瞬にして 80年前の小町になる。それが偽りない美しさで見事でした。 舞台はシンプルで様式美に満ちています。左右対称な大道具、背景、人物配置。 使用する色は白と赤など少数。 能もあまりよく知らないので偉そうな事をいえないのですが、舞台という限られた空間に 一定の様式にのっとり幻想的な美と人の狂気を創造する、これが成功していたと 思いました。 そして『弱法師』の藤原竜也。 かれは、舞台でこそ輝く人ですねぇ。 スケールの大きさ。ほれぼれする美しさ。活舌の良さ。テレビではもったいないな。 手足が長くて、顔がむちゃくちゃ小さくて、妖しいほど奇麗なんだからいやになっちゃう。 舞台ならではの長セリフをたたみかけるように話すとき、 ぞくっとするんです。 日常生活ではぜったいに言わないような修辞に満ちた言葉。 それが良く似合うんですよね、この人には。 残酷だが美しい赤い血にそまった世界、その夢の世界に生きる藤原君を絡めとるのが 恐ろしいほど現実的で常識的な高橋恵子。これがまたなんというか恐いんです。 卒塔婆小町と弱法師、あわせて2時間はあっという間にすぎてしまい、 もうすこし長いお芝居が見たかったなあと思いながら会場を後にしました。 なにごとも腹八分?もう一回見たいと思うくらいがいいのかな。 なんて思いながら京都に帰る電車の中では爆睡していたわたしでした(笑)。
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