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これはミラノ市で写した写真です。
ツア旅行のバスがスフォルツァ城前に停車し、10分ほど自由時間が与えられました。
大急ぎで城正面の広場を走り抜け、遠めにある塔の裏側のほうまで行ってみました(^o^;;
円柱の塔の上方にある紋章を望遠で撮影したのですが、
帰国してから写真を改めて見てみると、ドラゴンが子供を飲み込んでいるような姿に驚いてしまいました。
わたしは車に関心がないので、この紋章がアルファロメオ社のマークに使われているとか全く知らず、
スフォルツァ家の紋章だと思って調べてみたところ、実はスフォルツァ家の前の支配者である
ヴィスコンティ家の紋章でした。
スフォルツァ家は、男子相続人が絶えたヴィスコンティ家の娘と結婚して、ミラノ公国の統治者となったのです。
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元々は部族間の争いで敵、味方の区別のために紋章は生まれたわけですが、その後、騎士のトーナメントが盛んになると、個人を指し示すものへと変化し、一定の決まりができ、様式化されてゆきました。
トーナメントの試合進行係はのちに紋章官となり、系譜や家紋の統合・保存に当たることになります。
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Shield, Helmet, Wreath, Mantling, Crest |
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紋章のメインは何といっても盾です。
盾に関するHerald用語は色々あります。
ここでは簡単な説明だけにして、詳しい説明はこちらをどうぞ。
日本語の紋章サイト
HeraldryのWiki
盾に使う色は決まっていて、組み合わせのルールもあります。
金Or 銀Argent 青Azure 赤Gules 紫Purpure 黒Sable 緑Vert
上記の絵の、白に黒のぽつぽつがある模様はFur Ermine と呼ばれていますが、もともとErmine は尻尾の先端だけ黒いので、毛皮をはぐと、このような模様になることに由来しています。
盾は「持ち手のほうから見て」右側をDEXTER(右側の というラテン語です)と呼び、
左側をSINISTERと呼び、デクスターにある紋章が一番大事な紋章という決まりがあります。
ヘルメットにも、色々な種類があり、身分によって使用できるヘルメットが異なります。
十字軍遠征をしたヨーロッパの騎士たちは、寒冷のヨーロッパと違い、アラブではヘルメットをかぶっていると、とても暑くてたまらないため、ヘルメットの上にマントを
つけました。
ヘルメットの上に載っているのはCrestと呼ばれ、トーナメントで目立つために、勇猛さ、豪華さを競うようになりました。
Crestやマントを押さえるためにねじり鉢巻といったリースも付け加わりました。
マントやリースは、基本的に盾の主要な2色を用います。
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Archievement または Coat of Arms |
「ヘルメットにリースやマントやクレストをつけ、下には盾」
これらの武具を集めたものを正式には Achievement と呼びます。紋章の基本形ですね。
英国の王族の紋章ではヘルメットが冠をかぶっていますが、貴族の紋章(これはThomas Viscount Savage 子爵)は、ヘルメットと盾の間に正式な爵位の冠を置きます。
イタリアの貴族の紋章(これはトスカーナ公爵メジチ家の紋章)では、正式な爵位の冠をヘルメットにかぶせるようです。
なお、リンクした英国王室の紋章のページを見てもらうと分かるように、ヘルメット、目のところの金色の柵(と言うか格子?)が7本ありますが、これは王族だけに許されたヘルメットです。
チャールズ皇太子の盾やライオン、ユニコーンに、白い柵のような模様がありますが、これは「長男」を
意味しています。
ウィリアム王子の「長男のマーク」には、母方のスペンサー伯爵家の紋章から「貝殻」
が付け加えられました。
他に、モットーを加えたり、左右にサポーターを加えたり、色々なバリエーションがあります。
メジチ家のモットー「SEMPER(Always)」
右上に載せた紋章は、サー・ポール・マッカートニーの紋章で、モットー
「ECCE COR MEUM (Behold My Heart)」が書かれています。
色々な国の紋章が見たい方はこちらをどうぞ INTERNATIONAL CIVIC ARMS
英国(イングランド&ウェールズ)に関してはこちらが詳しい。
Civic Heraldry of England & Wales
右下は、世にも不思議な紋章。1613年の記録にある、お乳を垂らしている乳房。
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文様やクレストの隠喩について、分かりやすく書かれています。
www.fleurdelis.com/meanings.htm
わたしはここで初めてワケのわからなかった模様が「Maunch」(レディのドレスの袖)ということを知りました。
Somewhere In Tyme
元々、トーナメントで見事な活躍をした騎士にレディが袖を与えたことに由来します。
当時の女性の服は、袖と身ごろは縫い合わせず、ボタンや紐でつなげるように
なっていたようですが、こんなに垂れ下がっていたのかどうか・・。
絵はないけれど、情報は多い。
www.digiserve.com/heraldry/symbols.htm
さて、そもそもの発端だったヴィスコンティの紋章、「子供を飲み込んでいるかのような
竜」はどういう意味を持つのか?ですが、
一説には、蛇 Serpent は十字軍遠征で勇猛果敢であったヴィスコンティの先祖を表わし、サラセン人を飲み込むような強さであった事を示していると言われていますが、本当かどうかは不明です。
もう一つ喧伝されている説は、子供は飲み込まれているのではなく、蛇の口から生まれているところを描いていて、「超人」のシンボルである、というものです。
これはへびにまつわる神話に深く関わりがあります。
例えば、ゼウスは蛇に化身して、オリンピアスを妊娠させ、その結果アレキサンダーが生まれた。
オシリス神は蛇の尾より入り、蛇の口からでてきた。
へびと人間の合体は、半神半人の超人や、再生、復活を象徴しています。
これに関して、とても興味深い画像をまとめたものが下のサイトです。
http://www.redicecreations.com/winterwonderland/serpentman.html
個人的には、サラセン人の子供を飲み込むよりは、超人説のほうが神話的で好きだなぁ。
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