記憶喪失ヒロインたち


「エリーズは交通事故のショックで記憶喪失に陥った。
病院のベッドにずっとつき添っていた見知らぬ男性が
自分の夫だという。エリーズはまったく信じられなかった。
社交界でも際立った存在の大富豪が自分の夫。
出会ってわずか１ヶ月で結婚したと聞かされたが何も覚えていない。
彼の黒い瞳の奥にくすぶる炎も、彼女をおびえさせる。。」

「サマンサは一年前の事故のせいで記憶をなくした。
自分の名前や住んでいた場所さえ思い出せず、
どうして事故に巻き込まれたのかも覚えていない。
事故を境に別の人生を歩み始めている気がする。
ホテルのフロント係として客の応対に当たる毎日。
『君はぼくの妻だ』ある日、不意にそう言われ、
口にした男の顔をみたとたんサマンサは気を失った。。。」

「５年前、アニーは交通事故に遭い、心と体に傷を負った。
記憶の一部を失ったものの、主治医の助けと励ましのおかげで
新しい人生を切り開いていこうと思えるまでに回復した。
最近、彼女は何度も続けて同じ男性の夢を見る。
アニーは彼のことをあくまで想像の産物だと信じていた。
ところがある日、夢の恋人とそっくりな男性と出会いショックを受ける。。」

うひっ。どれもこれもおんなじようですが、
記憶喪失ヒロインは、ハーレクインの王道です（笑）。

つぼは２点あると思うんです。
１点目は、たとえ記憶喪失になっても、一度恋に落ちた相手ともう一回恋におちる。
つまり現在の配偶者は運命の人である、という点。
２点目は、たとえ結婚生活が壊れていても、運命の人となら必ずやり直せるという
愛は不滅！な点。

そもそもハーレクインには元のさやに収まるパターンが実に多くて、
普通に出会って恋して、というパターンよりむちゃくちゃ多い。
かつて愛しあったが誤解がもとで別れるというのは魅惑の鉄則なんですよね。
１０年たってもお互いが忘れられない、たとえ誤解のため憎しみあって別れたとしても
運命の人とは必ず再会し真実の愛を見つけることができる、という鉄則。

記憶喪失もたいていのヒロインがなぜ記憶喪失になるかといえば、一目ぼれのような恋から
駆け足の結婚、ところが誤解や第３者の悪意がもとで夫の元から逃げ出す、
そして途中に大事故に会い、記憶喪失になる。
で、「運命の人」と「愛は不滅」法則が動き出し、
記憶喪失から回復する過程で、愛を再発見してハッピィエンド！となる。

普通の「元さや」よりも「記憶喪失」の方が、真っ白から出発できるので相手の事を
知る過程がスリリングで、しかもなぜ彼女は家を出たのか謎があり、
読者の興味をそそるわけなんですね。

そうそう、もうひとつ、ハーレクインの鉄則があります。
夫の顔も名前も思い出せないが、指が触れただけで熱くなるほど！強烈な
肉体的接触（笑）の記憶だけはある、みたいな、
運命の人との肉体的接触は、感電したかのような衝撃であるという鉄則(^o^)

で、ここんとこが最大のポイントなんですが、そういう「運命の人」と
結婚前に出会わなくてはお話にならない。

魂を揺さぶられるようなキス、頭から爪の先までがじーんとしびれたようになって
キスってこういうものだったのか、と呆然としてしまうような、
そういうキスは本当にある。
でも、こういうキスをかわせる相手と必ずしも結婚前に出会うとは限らないのが現実。

そう、最大の夢とは、「運命の人とは、絶対に結婚前に出会う」
これだと思いませんか？

ところがここが凄いところ、もうひとつハーレクインの鉄則があって、
自分の運命の人が自分と出会う前に結婚しちゃってるパターンがあるのですが、
そういう時はか・な・ら・ず、彼らの結婚生活は上手くいってなくて
自分の運命の人は、不幸せな結婚生活をしているんです、そして、都合よいことに
運命じゃない妻は離婚するか、死んでしまうんですよねぇ。。爆！爆！爆！

お気に入りの記憶喪失ヒロインは
「病院で目覚めたとき、自分の名前もどこからきたのかもわからなかった。
目の前にいる男性はわたしの夫だというが、夫の顔も、子供がいるということも、
自分の髪の色さえもまったく覚えが無い。
夫はひどくわたしを憎んでいるようだが・・・」

事故で記憶喪失になったヒロインは、本当の妻ではなく、うりふたつの姉妹で
(　実は生まれた時に助産婦が一卵性双生児のかたわれを自分の娘にしていたが、
誰もその事実を知らなかった、をいをい　）
男と失踪した妻とはまるで違う心優しい女性。
運命の彼は、悲惨な結婚生活を味わっていたわけで、退院した彼女が人が変わったように
なっているのにとまどう（当たり前、笑）が、次第に心ひかれていく。。。
距離をおいていたふたりがとうとう夜を共にした翌朝、失踪した妻がみつかる。。。。

くぅーー、んなこたぁあるわけないっ！
ってわけで、夢やぶれた多くの女性は、今日もまたハーレクインなぞを
読んでしまうんですよねぇ。。。爆！(>_<)


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