行きつけのお店好きなお店

毎日通っているわけじゃないけれど、 外で昼食をとる時は必ずこの喫茶店っていう店がある。 中はたばこふかしながらスポーツ新聞を読みふける外回りの 勤め人が4人がけのテーブルにたいてい一人ずつすわっている。 店の奥には雀荘が続いていて、午後遅くに行くとジャラジャラと 牌をかきまわす音も時折聞こえてくる。 店主は50代後半?の女性で、ショートヘアに きつくあてたパーマ、化粧っけのない顔。 「いつも寄ってもろうておおきに」 ほんの少しレモン風味の水を運びながら店主は言う。 店の奥ほどの雑誌の棚から週刊現代とかポストとか、 オヤジ週刊誌と呼ばれるたぐいの週刊誌を取って 「ランチお願いします」 ここのランチは不思議メニュー。 おふくろの味というか、普通の食卓というか、 「とんかつ定食」とか「あじフライ定食」というような正式な名前(笑?)が つけにくい料理がでてくる。 ぼんっと大きななすのはさみ揚げが皿に載っていたり、 大盛りの肉野菜炒めが出たり、親子丼がでたりする。 めんどくさいので「今日のランチは何ですか?」と聞かないが、入ってくる客もたいてい誰も聞かない。 そしてミルクティーを必ず頼むので、今では何も言わなくても 食事が終る頃にミルクティーを持って来てくださる。 そもそもこの店が気に入ったのは、このミルクティーを飲んだからだ。 一人で外で昼食をとるのってけっこう厄介。 ファーストフードやドトール系カフェに入るのが楽なのだが 職場の周囲ではひとりで入りやすい店は限られてしまう。 今の店は女性が普通は一人で入らない感じの店なのだが(笑)、 一体なんで入ったんだろう?もう覚えていない。 で、そこでミルクティを頼んだ。 運ばれてきたミルクティーは最初からミルクが入っていた。 あっつあつで、ふぅふぅ冷ましているとミルクの膜が紅茶の表面に張ってきた。 こういうミルクティは350円じゃ滅多にお目にかからない。 (ランチとセットだと200円だけどね) たいていコーヒーと同じフレッシュか、ミルク差しを持ってくるだけだ。 その興ざめなこと。 一度だけ「こちらのミルクティはおいしいですね」とレジでお金を払いながら 言った事がある。 それが関係あるのかないのか(笑)いつもカップの縁からこぼれそうなほど いっぱいのミルクティが運ばれてくる(笑)。 --------- もうひとつ、四条河原町という京都の繁華街に出かけると たいてい立ち寄る喫茶店がある。 ここもデパートの地階と阪急電車の地下改札がつながったところに ある、或る意味ちょっと華やかさに欠ける場所だ。周囲の店も ややくたびれた感じで場末の雰囲気に近いものがある。 しかしこの小さい店はひとりシャリっとして小粋にたたずんでいる。 60代と思われるご婦人がカウンターの中、連れ合いの方が カウンターの外。 白いのりの効いたワイシャツに黒のチョッキ、赤い蝶ネクタイ。 メニューはイタリアン系で、と言ってもオムレツとライスコロッケぐらいしか 無い。 カフェラテを頼むと、コーヒーカップと共に金紙に包まれたチョコレートが ひとつ添えられてあった。 いただきものの缶に入っているような、ちょっとおいしいお菓子。 「ちょうだい、ちょうだい」と言っても「だめ、一日一つね」なんて母親に 言われた、そんな感じのお菓子が必ずドリンクに添えられる。 ランチメニューを頼むと、オリーブオイルの効いたサラダと トマトソースたっぷりかかったオムライスと、好みのドリンクどれでも選べる。 ここまでのお皿は統一されたデザインで趣味が良いものなのだが、 ドリンクと共に「どうぞ」といって出されるおまけは、アンパンマンの絵柄の メラミン樹脂の皿にのってくる。これがいかにも「おまけ」らしくって嬉しい(笑)。 フルーツヨーグルトだったり、スイカ(!)だったり、ゼリーだったり、 これまた普通の食卓のようなおまけなのだ。 どちらも実際自分の母親とは似ているわけじゃないが、イメージとしての母親、 台所やリビングの向こうで夕飯の用意をしている母親、がいる。 テーブルで好き勝手に本でも読みながら 「今日のご飯なに?」なんて手伝いもしないで呑気にきいている、 そういう幸福なイメージがあるのかな。
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