小笠原に行ってしまった・・・その2

これは偶然です。もともとはジャングルツアーっていうのを電話で尋ねたのです。
でももう満員だと言われました。みんなもっと前からちゃんと予定を立てて、
ツアーを申し込んでいるんですね。もともと、民宿をやり船舶をもっていて
各種のガイドをやる所は、限られた数しかないんです。それら7,8ヶ所のところが
いろいろなツアーをやっているのですが、私ときたら、島に着いてから頼んでも
平気かなあっなんて考えていたから、ちょっと呑気すぎました。
でも、おかげで、空いているツア→シーカヤックを頼んだんです。
ガイドのお兄さんをいれて総勢8名、
二人ずつプラスティック製のカヤックに乗ります。
スプーンみたいのが両方についているオールをもって、
みぎ、ひだり、みぎ、ひだりと海面をかきわけます。
初めての経験です。

私が前、息子が後ろ。シュノーケルとあしひれをカヤックにのせ、
漕ぎ出します。あのつきでたところを回って、隣の浜へ。

そうなんです。小笠原は浜がたくさんあるけれど、人が陸から簡単に行ける浜は
そんなに多くないんです。ジャングルや山道を歩いてこなければ小さな美しい浜に
降りることはできないのです。カヤックで島の縁を伝っていき、それぞれの浜で
シュノーケルをつけてゆっくり遊ぶ。。
このツアーを頼んだのは大正解でした。
はじめの浜は、浜辺がすべてさんごの枝でした。砂でもなく、石でもなく、
すべて白い死んださんごの枝なんです。森永の小枝チョコのホワイトのものが
チョークくらいの太さになって散らばっているって感じです。踏むと金属音がします。
キンとした音をたてます。
海は浅いところから足元がさんご類で、正直言うと恐いような気がして
足を立てることができませんでした。かなり浅い所から私はばた足でなるべく
立たないようにしました(笑)。
私はライフジャケットを水着の上に着けているので、もぐろうったってもぐれない。
ぷかぷかとのんびり浮いたり、シュノーケル水中メガネでのんびり
散策を楽しんでいました。と、ふと、横を見ると、なんと、エイが私の横に。
え、えい?!ぎゃー!と心の中で叫び、シュノーケルをかみしめ、ひたすら
遠くへ遠くへ、。。
だめです。とても楽しむ余裕はありませんでした。
子供のエイだと思いますが、1メートルくらいか、あのつばさのような奴が
横にあった瞬間は、なんていうか、もうどきん!!でした。

浜で持ってきたジュースを飲みながら、それぞれ自己紹介をして、雑談。
早目のお昼もこの浜でとり、のんびりした時間です。

次の浜まで漕いだ時は、風がちょいと吹くだけでどうにも進まないのが
つくづくわかりました。潮の流れ、風の向き、そういう大きな力に比べ
人の力はほんとにちっぽけです。
2番目の浜は石ころだらけ。不思議ですねえ。めのう石がごろごろしています。
ガイドのお兄さんの人生遍歴を聞いたり、海を楽しんだり。
ここではイカの子供たちが泳いでいるのに遭遇しました。
海面ぎりぎりのところを10〜15cmの透き通ったイカの子供たちが、
すうっと通ってゆくのはとてもきれいでした。
ウニやらナマコやらがさんごの間にあり、やはり恐くて立てない私でした。

その次の浜は、ふしぎなことに砂地で緑色がかっていました。
そして、この浜につくと、すぐに動物園のようなにおいがしました。
この浜は、アオウミガメが産卵にくる浜なのです。
においはカメが排泄などをしたなごりなんです。
少し奥のほうにカメの掘った穴がありました。はば2メートル深さ1メートルくらいの
穴が砂地にあり、そのあたりにピンポン玉くらいの大きさの卵の殻がいくつもありました。
中から出た子カメたちが無事に海にたどり着けたことを願うばかりです。
はじめは持って帰ろうと思った殻ですが、どうにも臭くて、
あきらめました。
洞窟もあり、そこにはカメのはった後がみぞになって残っていました。
ここも陸からは人が簡単に来れるところではありません。

さて、帰る方角は向かい風です。帰りは息子とのコンビを解消して、
男性の方とコンビを組ませてもらいました。
埼玉県庁職員さんでした。男性の友人と二人で参加していました。
ですからもう一方の方が息子と組んでくれました。
波が上下するとカヤックの舳先はもろに波をかぶります。
漕いでも漕いでも前にすすまない感じ、『右、左。右、左』、ああ、あしたは
腕が上がらないかもしれない。。
ひっしで難所を突破すると、ようやく、『もう最期だから、のんびり行きましょうか』と
しゃべる余裕も生まれます。カヤックに釣りの道具をのせてのんびり釣りをしたいと
おっしゃっていました。私が『Wカップの決勝、残念でしたね』と言うと
『あんなの誰も願っちゃいませんよ』とけんもほろろ。
生真面目な県庁職員としては、もっとその予算で普通の公園の施設を充実させたり
他の行政にまわしたりできるのに、はこもの作りに金をかけるなんて
時代遅れだと、憤慨しておられるのでした。
しかし、小笠原に来てまでサッカーの話をしてしまいました(笑)。

こうして、シーカヤックの一日は無事終わり、あしたはもう小笠原丸出港の日です。

最期の4日目の午前中は予定が空いています。でもいろいろ電話しても、すべてだめ。
予約で満員です。半日ツアーも結構あるのですが、手後れでした。
しょうがない。展望台まで歩いてのぼろうっと、朝食後荷物を整理してから
息子と歩き出しました。途中からかなりの雨が降ってきました。
ふっふっふ、こういうこともあろうかと、ガンバのあまがっぱを持参した私は
これを着て道を歩きますが、むっちゃくちゃ、暑い。。
雨のせいより、汗のせいだわ。だいいち、歩いている人は我が家以外誰もいない。
道の両側は亜熱帯性の植物で風が通らない。

せっせと上り、展望台へ。と、なぜか急に雨があがり、眼下はすばらしい眺めに。
おー!はれおんな!

展望台からはるか向こうの海を見渡し、あっという間に過ぎてしまった日々を
思いました。次はざとうくじらの季節1-4月に来れたらいいなあ。。
その季節にもし幸運なら、この展望台からくじらのジャンプする姿が
見られる。。

展望台でのんびり時間を過ごしてから町に降り、みやげものやお菓子を買い、
アイスを食べながら宿に戻ると、宿の人が港まで車で送ってくれるという。
港で写真を撮っていると、昨日のカヤックのガイドのお兄さんが荷役を
しているのに出会い、一緒に写真をとろうとすると、またまた昨日一緒だった
人が声をかけてくれ息子と私、ガイドのお兄さんの3人ピース写真。

そして、小笠原旅行、最期の圧巻は、船出。

小笠原丸を追って、大型ボート、小型船6せきあまりが、ずっと
ついてきて、手を振ってくれる。
どこまでついてきてくれるのか、、小笠原丸は早い。小型の漁船は猛烈な
スピードを出して、舳先が宙に浮く。
一隻がスピードを落とす。そして、甲板にいた数人が、なんと海に飛び込む!
そうして、一隻、一隻が後を追うのをやめると、いっせいに飛び込むという
お別れをしてくれる。
最期の一隻は、港をでて30分もたった、かなりの沖でとうとうスピードを落とした。
全員がライフジャケットを身につけている。
さよならー!
どっぼーん!と皆が海にとびこんだ。

ああ、これでとうとう小笠原とはお別れなんだ。

海、海、海しかない。東京から1000km。すごく遠いけれど
また行きたい。今度はちゃんと準備をして、もうちょっとリッチな
宿に泊まって、また星をみて、シーカヤックをやって、
くじらをみるツアーを頼んで。。。。

18時30分、大海原に沈む夕日を見て、休暇の終わりをしみじみと感じました。
部屋に戻るとあとはビデオ。帰りは逃亡者、お墓がない!キャスパー、
学校の怪談3を見て、船の揺れに堪え東京へ。
翌日定刻どおり竹芝桟橋に到着し、本土の地面を踏みました。
うーんと伸びをすると、首筋も腕も痛いのが、旅のなごりでした。
金曜の午後の山手線に乗ると、昨日まで小笠原にいたのが
夢のような、不思議な気がしました。

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