緊張の2時間


大学合格の電話を息子からもらって下宿を探しに東京に向かいました。
3月は移動が多く新幹線はすごく混むので、エコノミーのグリーン車回数券を買っていました。
さすがにグリーン車なら、今すぐの列車に乗れますし、エコノミー回数券はそれほど高く
ないんです。で、京都駅でちらっとガンバの選手団が乗っていたりしたら
嬉しいのになぁとか思いましたけど、そういう幸運はやっぱりないし、
乗り込んでからはMD聞きながらウトウトしてました。
 車内を説明すると、一番前が16号車になってたから先頭の席が20番で、
私は8番だったんですが、私の前(9〜20)は全部空いていて、あとは後方に
背広姿の年配男性がそれぞれ窓際に座っている程度でした。

名古屋で乗客が乗って来た時もはじめは気づきませんでした。
後ろのドアからぞくぞくと入ってくる人たち。
ふーん?なんとなく黒っぽいなあ。。
入ってくる人なんてじろじろ見ないし、私の横を通りすぎたら後は背中しか見えないし。。

あれ?バッグを棚にあげているのは、え゛?楢崎?う、うっそー?!!
とたんに背筋を伸ばして、(だって、グリーン車の席は背もたれが高くて
普通にすわってると全然前が見えないの)
あー!平野だ、うわ、ハンサム!え?なに?皆さっさとすわっちゃって、何も見えない。。
ああ、ピクシーはどこ??

心臓がどきどきしてきました。
どうしよう、どうしよう。こんなことってめったにない。でも、今日は何も持ってない。
荷物を棚から降ろして中をごそごそする私。サインを書いてもらえそうなものを
探してるんです。ああ、無い!無い!
ジャンパー?いや、いくらなんでもそれは。。化粧ポーチ?いや、これもイマイチ。。
でも、いつ、どうやって頼もう?

もしあれがイナだったら、移動中の車内でサインを頼まれるのはきっと嫌だろうなあ。
いくら私でもミーハーなりにサッカーファンだから、選手をわずらわせたくない。。
(でも、東京駅につく直前ならば、許してもらえるかもしれない)
そうだ、東京駅につく15分前にしよう!ああ、こんなことを考えてるだけでまたどきどき。

今度は化粧ポーチを取り出して、口紅を塗り直す私(爆)。
誰も見ないよって思うのに、いやいや選手がトイレに行く時とか横を通るんだしぃ・・・
眉まで書き直して、、もう、どうしようもないおばさんです。

すると、向こうからサングラスのピクシーが!!
ひやーーー!まじに格好いいですぅ。サングラスと黒コート、、ほれぼれだわ。
つい目で追って振り返ってしまいましたが、車内はシーンとして、誰一人(私以外)
関心がない様子で。。世間ってこんなもんなのね。

先ほども書いたように座ってしまうと何も見えないのですが、車内は本当に静かで
グランパスの選手の話し声もほとんどありません。眠るか雑誌を読んでいるかのようです。
淡々と新幹線は走るだけ・・気のせいか、車内販売やグリーン車の女性パーサーのサービスが
何度も来る。私の気のせいかな?(笑)

それでも緊張して私は全然眠れなくなりました。いつ横を誰が通るか分からない。
さっきも素敵なタートルネックセーターの山口さんが通っていきました。
あ?あれは誰?残念!若手の選手のこと全然知らないから感動しないよぉ。
望月さん、テレビで見るよりかっこいい。まっさおなYシャツが似合ってる。
でもあまりじろじろ見ない様に無理して無関心な顔をする。。

東京駅までまだ一時間もあるというのに、相変わらずマジックを握り締めている私です。
ははは、マジックだけはバッグに入っていたから大笑い!
普通のカメラを持って来ていたらなあ。明日の晩等々力で観戦するガンバ対ヴェルディ用に
望遠レンズしか持ってこなかったの。息子をないがしろにしたからバチがあたったんだ。
大学の正門で記念写真を撮るという発想がなかったんだもん。大失敗。

あと30分で東京です。
ああ、ちょっとだけ様子を見てこよう。だって、どこに誰が座っているかも分からないし。
でも、前方へ歩くのは変なんですよね。トイレも無いし、デッキも後ろの方が近いし。。。
もう、恥はかき捨てだーーー。。立ち上がって歩き出すけど、は、はずかしい。。。。
とりあえずちらっと横をみるけど、後ろからだとわかんない。
先頭まで行ってしまってしょうがないから外に出る。
で、すぐに元の道を戻る恥ずかしさ。

一番前はロペスとジョアンカルロス監督。えーと横の外人は誰だっけ?
寝ている選手もいるけど、なんや?このおばはん。という顔でちらっと見る選手もいる。
福ちゃんは爆睡。後ろに平野さん。歩きながらあまり顔を見ない様に、ただ
ちょっと用があって外に歩いていったという顔をして、、でも、挙動不審で、みえみえですよね。
楢崎さん、望月さん、山口さん、、あれええ、、ピクシーがいないみたい。

席に戻ってからも心臓はどきんどきん。
ああ、どうしよう。ピクシーはいないじゃん。ああ、それじゃ、誰のとこに行く?でも
もう恥ずかしくて行けないよぉ。ひたすら時計の針ばかり見つめてます。

7分前。ドアがあき、前の車両からピクシーがはいってきました。
うわー、ピクシーだけ別席だったんだあ。個室なのかな?やっぱり。
車内放送が流れ出します。ああ、もう行くっきゃない!!
車内に『ご自由にお持ち帰り下さい』と置いてある雑誌L&Gを持って
(とほほ。。でも、他に無いんだもの)
これの一番白っぽいページに書いてもらうことにしました。
前から2列目の席のピクシーのところに近寄り、
『ストイコビッチさん』
この呼び方だけでも何がいいかずぅっっと、考えていたんです(爆笑)。

『Could you give me your sign on this?』 と雑誌を開いてみると

『yes』
きゃあーーーー。ハスキーで優しい声だわーーーー。
左ページにピクシーと書いたサインと今日の日付を入れて下さいました。
もう恥の上塗りだー!と勢いで
『thank you very much!  I hope you will win tomorrow's match』

『yeah』
私のど下手な英語を腰をかがめて聞いてくれます。もう感激。

そして、もうどうせみえみえなんだから、と席に戻る途中で
楢崎さんに、『楢崎さん、サインをいただけますか?』と右のページを差し出し
『あの、中国戦のチケットを買ってあります。楽しみにしてます。がんばってください』
『あ、はあ』
し、しまったぁ。開幕戦の前の日なんだからと慌てて
『明日の開幕戦もがんばってください』
『あ、はあ』

ふぅ。。席に戻る途中、私の後方の一般人の視線が・・・辛い。

でも虚勢をはって、降りる時は選手たちの方のドアじゃなくて、後ろのドアから出ました(笑)。

そして、息子がホテルで待っていることを思い出し、いそいで歩き出すと、名古屋ー東京間を
寝ないで固まっていたのでとっても肩と首筋が凝っていることに気づきましたー(爆)。

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