監禁
ディーヴァーの作品はこれがはじめてだからそれほど悪くないと思った。
どうやらこの本が日本で出版されたのは日本でディーヴァーの人気が高まってから
だったので、評判の高いこれより後期の作品と比べられてしまい、
ひどい言われようなのだがそれはちょっと可哀相だ。
これより良いものを知ってしまっただけに文句も出るのだろう。
私も正直いってこの本だけでは世間で言うようにディーヴァーって凄いよ!とは
ならないかもしれない。でもこの本を読めばこの作者が次に書くものを読みたいと
思う。十分期待できる質の高さだ。
問題点はいくつかある。まず話の流れがなんていうか、ノンストップサスペンスで
エンターテイメント過ぎ。ちょっと安易な流れが映画ぽくて、もう少し本ならではの
じっくりした楽しみもあって良かった気がする。
それに犯人が超天才悪者って奴を設定するとちょっと面白く無くなるんだよね。
なんでもありって感じになるから。
大事な主人公といってもよい犯人なのだが、その人物像もときおりわけがわからなくなる。
ミッション・インポシブルじゃないんだから、なんにでも化けられるかのような
変貌ぶりはちょっと疑問。
そして前半の魅力が最後まで続いていない気がする。
というか、出だしのアーロンとミーガンの会話が上手すぎるのか。
これは本当に上手い!!凄い迫力だと思う。
人の心を覗き込み掴み出す手腕と来たら、、もう恐いのなんのって。
静寂の叫び
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長かった・・上下巻で内容ぎっしり。読み出したらとまらない面白さなのだが
一度止ってしまうとこの緊迫感に戻るのに苦労する。絶対にお勧めできる本なのだが
休み休み読むには向かないとだけは言っておきたい(笑)。個人的には読みかけの
ままなかなか読めずにいたのだが、磐田までの往復の時間のおかげで(?)
再び読む勢いがついた。新幹線デッキでひたすら読んだからね(笑)。
人物の描きわけも上手く、登場人物すべてに手抜きがない。ものすごい緊張感を最後まで
持続させる力量には感心の一言。
凶悪脱走犯が聾学校の生徒たちを人質にとって廃棄されていた食肉工場に篭城する。
いやがおうにも緊張がはしる。
助けて!と叫ぶ事もできず、警官らの声も届かない。
いったいどうやって犯人をつかまえ、人質を助ける?
FBIの危機管理エキスパートチームと地元州警察の軋轢、選挙を控えた州の高官たちの思惑、
センセーショナルなニュースにむらがるマスコミ。
外には冷酷で自信たっぷりの犯人、内には政治がらみの干渉、足をひっぱる捜査員。
いやはや、ハリウッド大作といったノリだ。
もうすこし小品だったら、少々不出来な所があってもよいだろうが、ここまで
大きな舞台を設定してしまったらつまらない終り方になんてできっこない。
物語の内容そのものもスリル満点だが、作品として考えてもスリル満点だ。
こんな大仕掛けをどうするんだっ、心配する読者に対して作者は期待を裏切らない!
綿密な取材力なのだろう、人質交渉のやりとりは真に迫り、手に汗をにぎる。
ろうあ者の生活、歴史、環境に対してもその取材は徹底しており、作者の深い教養と
合わせて感心させられる。
原題の「乙女の墓」がある種のモチーフで、聾学校見習い教師のメラニーの過去の悲劇と、
これからの悲劇の予感を象徴している。運命の先に冷たい墓があるような暗い怒りと哀しみで
最後のどんでんがえしは幕を閉じる。
眠れぬイブのために
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ディーヴァーの初期の頃の作品。
嵐がせまっている一夜、精神病院から殺人犯マイケル・ルーベックが脱走する。
数日前から治療薬も飲まず計画した(かのような)脱走。
彼が向かおうとしているのは、当時彼の犯行だと証言した女性の住む家・・・
いくつもの人間関係とそれぞれの思惑が交差し、緊迫した不穏な空気をはらみ
時間は刻々と過ぎて行く。
ルーベックを追うのは、証言した女性リズの夫オーエン、元警察官ヘック、主治医コーラー
なのだが、この人選がね、ちょっとね、真相とはいわないものの、結末を予感させちゃうんだよね。
驚くべき真相が明らかになる!って感じじゃないのよね。
でも、話作りはうまい。じりじりとする恐さ、もどかしさ、この緊張感の持続はさすがです。
さらに描写される世界が細部までしっかりしていて安心できるというのもディーヴァーの良さかも。
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