俳句をつくろう


俳句の入門書なのですがとにかくお勧め!です。 俳句の説明としても平易で明快ですが、同時に 芸術とは何かが優しく語られています。 とても面白くてしかもすがすがしいのです。 季語を解釈するということが俳句であること。 ディテールこそが俳句のすべてであること。 という話にはじまって、俳句の姿を説明されているうちに なにやら俳句の世界が急にわかってきた気にさせられました。 「自分の中にある得体の知れない感情に、なにか一定のかたちを 与えること」、その「一定のかたち」を手にいれた感触、それは 俳句の寡黙さゆえに伝わってくる・・・ どうです?なんだか俳句を作りたくなりませんか? そして通俗との違いの説明がまた面白い!(以下抜粋) ”俳句はその定型性、リズム、季語により通俗とのすれすれにいます。 ここでいう通俗とは、だれにでもわかりやすいこと、普遍性があるということです。 普遍性は芸術の必須条件であるけれど、芸術はその普遍性という目標へ到達する過程が 重要なのです。 サッカーは点をとるゲームだから点を入れることが目標です。でもゴールキーパーのすぐ前に 待ち構えていること(オフサイド)を禁じました。それはこれではゲームがおもしろくないからです。 得点することは目標だけれど、同時に得点にいたるまでのプレイを楽しむものであり、 スポーツとしての価値観はむしろ後者にあるのです。 通俗性とはこのオフサイドのプレイのようなものです。わかりやすいけれど深みがない。 人は初めはたんなる遊びだったものが精神の自然な過程として通俗に 飽き足らなくなるのです。 俳句はいつもオフサイドライン近くにいるフォワードのようなものです。 すれすれのところでオフサイドを切りぬけてうまくボールを貰えば得点につながるし ちょっと気を許せばすぐ反則になります。そんなプレイが俳句の醍醐味だと いっておきましょう” 面白さを紹介していると全文書かなくてはならなくなりそうです。 本の最後の部分なんて本当によくわかるんです。 私自身、通俗なみーはーな気持ちに浸りながら一方で通俗に満足できない気持ちが あるみたいな、つまり著者がいうように誰でもそうなんですよね。 だから俳句になんとなく惹かれる気持ちが起こるんでしょうね。
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