Hiding Jessica  あらすじ
マフィアのボス、レス・カプルッシオを逮捕できる証拠を携えて
彼の愛人ジェシカ・ガヴォニーは警察に現れた。

アイスエンジェルの異名をもつスーパーモデルのジェシカ。
彼女を思い知らせてやると誓うカプルッシオ。
そして、証人保護プログラムを請け負う、元FBIエージェントのミッチ・ギネス。

5ヶ月後、ジェシカはFBIのエージェント2名とともに、ミッチが暮らす
ニューハンプシャーの人里離れた山小屋にやってくる。
ここで新しいアイデンティティを身につけるため2週間の訓練をうけるのだ。

彼女に新しい名前や職業を与えることはできる。彼女の髪や目の色を変えることもできる。
ちょっとした整形手術で人相を変えることだってできる。
だが、それだけでは昔の自分を新しい自分に変えることはできない。
昔の自分を捨てなければいけない、とミッチは繰り返しジェシカに言うが、
彼女は自分の過去をいっさい口にしない。
16才から8年間モデルをしてきた彼女だが、16才より前のことは
どこにも記録に残っていない。

「君はわかっているかい?
人は、君が証人保護プログラムに入ったことを知っているんだから、
これまでの姿の君を探しはしないんだよ。
独特の身のこなし、ちょっとしたしぐさ、くせ、そういった君らしいものは
自分ではわからないだろうが、それこそが
あれ?知らない人間のはずなのに、初めて会った気がしないなぁ、
どこで会ったんだろう、と、人の頭に残ってしまうんだ」

ジェシカ・ガヴォニーをジェス・マクモランと名前を変えたヒロインに、
日中、ふとした時にジェシカ!と呼びかけたり、ミス・マクモランと呼びかけたりする。
初日に早くも張り詰めた糸が切れそうになった彼女は、しばらく見なかった悪夢をみる。。
心のうちを見せようとしないジェシカ、誰ひとりとして信用しようとしないジェシカに
苛立つミッチ。
一度でいいから自然な笑顔を見せてみろ。
作り物の笑いしかできないジェシカ。

最初から強く惹かれるものを感じるふたり。

僕を信じてくれ。
この男だけは、この男性だけは信じられるかもしれない、いいえ、何を
ばかなこと考えてるの、信じられるのは自分だけよ。。

銃の扱い方を教えてくれと言うジェシカに、君に必要なのは銃じゃない!
銃を持っていれば安全だということにはならないんだと怒るミッチ。
だが頑強に言い張るジェシカに、取引をもちかける。
わかった、射撃練習をしてあげよう、その返礼は笑顔だ。

射撃は彼女の心の底にしまっていた悪夢を一層ひきずりだし、ジェシカは
どうやっても笑顔を見せる事ができなかった。

襲撃をうける山小屋。
ジェシカの居場所は極秘のはずだが、どこから情報が漏れたのか・・
必死で逃げるミッチとジェシカ。

物語は逃亡劇と、ふたりのくっつきそうでくっつかないイライラロマンスと
ジェシカの過去と。。

とうとう一夜を共にした翌朝、ジェシカはミッチを置きざリにして、
刑務所にいる母親をたずねてゆく。
だが、カプルッシオの手の者がここも見張っていた・・

まだまだアクションシーンがあって、またまたふたりで逃げて、
でも、とうとうつかまってしまって・・・

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「人を信頼する」というテーマがとても上手い構成。
ジェシカの母親がどうして何年も夫の凄惨な暴力を甘んじて受けて
悲劇が起こるまでみじめな生活を自分と娘にゆるしていたか。

ジェシカが母に問う。「なぜ?なぜ、抜け出そうとしなかったの?」

「誰を信頼していいか、わからなかったのよ。
良く知ってる事以外のことは恐かった。前よりはましになるんじゃないかと願いながら、
知っている愚かな生き方を繰り返したの」

自分が母親と同じことをしていたことに気付き呆然とする・・・


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ただし、う〜ん・・なんていうか、ラストのあたりがちょっとねぇ。
ハーレクインじゃなかったら、もうちょっとここの部分を厚くできたのかなぁ。
急に一件落着になってしまうのよねぇ。
ジェシカが山小屋にいたことをリークしたのは誰だ?ってトコも
肩透かしだったし、残念だわ。