「炎の街」を読んでハマッた!! この作品はその年のRTレビュアーチョイスにもなっている、とてもズシンとくる本だ。 翻訳済みは6冊でている。このすべての出来が良いとは思わないが、 順番に読んでみると、この作家への信頼感が増す。 もの足りなかった部分、もっと深く掘り下げて欲しかった部分、心の複雑なひだが 一冊ごとに書き込まれ、たかがロマンスと言われようと、とても真摯な 姿勢を感じることができる。 最初の本は、ひたすらヒーローが傷ついていて、ヒロインの愛を受け入れるには プライドが高すぎて、と話し合う余地がなく、ヒロインは苦しい愛の力に翻弄される。 2番目になると、 ヒーローの反省の色は濃くなり、また周囲の人間ドラマに深みが加わる。 3番目になると、 ヒーローの問題にくわえ、ヒロインにも鋭い目がはいる。 ヒーローに苦しめられた、ヒーローが一方的と当初思っていたが、それは本当なのか? 「こんなこと言うとヒーローが去ってしまうのでは、」と 自分の望む事をちゃんと伝えず、相手の望む事ばかり気にしていた自分がいたのでは? ヒロインを見つめる目は4番目以降もっとはっきりする。 心の内側を伝えることは難しいけれど、伝えなくちゃだめなんだ、 関係を確かなものにするためにヒロインは真正面から立ち向かうようになる。 性の問題も5番目には登場し、その問題意識が6番目につながっていると感じる。 描くテーマは生真面目だが、優しい気配りをしてくれるサブキャラ、ユーモアあふれる会話 子供の笑顔や涙、基本的に人をみつめる目が温かい。 ヒーローはむっちゃくちゃメロメロタイプ。ヒロインの歩く道さえ拝むほどじゃないだろうか(笑) 翻訳は90年の作品以降出ていないが、本国ではSIMでずっと書いていて、 そちらの方のリストとあらすじは、別にまとめた。こちらをどうぞ。
カテゴリー | 題名 | 過去 | 出版 | 系統 | ヒロイン、ヒーローの名前 | 感想 | 一言 |
S-20 | 赤と黒のボレロ | ヒーローは6年前に落馬事故で下半身不随になった | Jun-84 | 車椅子ヒーロー | 音楽教師・ボーカリスト、ジリアン、作曲家ピアニスト、ヤコブ | ポーランド移民のヒーロー一家とヒロイン一家は隣同士で家族同様のつきあい。ヒーローは二度と歩けず、ヒロインから離れていると苦しいがそばにいてもさらに苦しい、という、絶望の中にいる。。 | |
S-37 | 春の予感 | Feb-85 | 天使のようなヒロイン、プライド高いヒーロー | 地質学者レスリー、石油・天然ガス開発業ラムコ・エクスプロレーション重役スティーブ | ヒロインの両親の代の暗い愛が最後になって明かされる。これがとても切ない。ヒーローは男の沽券にこだわり、ヒロインを苦しめる定番。ひたすら耐えるヒロインだったが、周囲の人たちがあたたかい。 | ||
S-69 | 笑みをすてた女 | ヒーローの両親は憎しみ合い、相手が自分より幸せになるのが嫌で離婚しない | Jun-86 | 結婚を信じられないヒーロー 予期せぬ妊娠 | 研修医ロビン・エリナー・ミッチェル、外科医ポール・ウィルコックス | 恋に落ち、将来のこと、子供、と考えていくと必ずぶつかる結婚の問題。ヒーローがなにを望んでいるのか、ばかりを気にして、結局自分を窒息させてしまうヒロイン。ヒーローが悪いだけじゃなく、実はヒロインも自分の望むことを言うべきだったのだ。。ふたりの愛の深まりはとても楽しくラブシーンは甘く切ない。 | |
S-104 | 朝焼けの歌 | ヒロインの母11才でガンで死亡。9ヶ月前父は心臓発作で死亡 | Dec-87 | RT より戻し(4年) | クリス、夫、鉱山会社経営デイビッド・スペンサー 息子ティミー10、マーク8才 | 自分の思いを声に出そうとしても、心の中にどんどん溜まってシコリになり、言えない・・生活の中のシコリで窒息したふたり。やり直しから始まる物語はとっても勇敢で前向き。まわりの人の温かさ、子供たちのかわいらしさ、切なくてハナマル。 | うる |
S-139 | 夢ララバイ | May-89 | 年の差カップル(17才) | 下院議員のアシスタント、一時的牧場コック、スーザ(27)、牧場主ジェイスン(44) | うひひ、切ないわぁ〜。これまたまわりの人の温かさが救い。 思春期の娘のいるヒーローとの恋愛で起こる事件。自分の望むものを得るために立ち向かわなければならないこと。 | うる | |
S-204 | 炎の街 | ヒロインは11で母死亡。父から性的虐待を受ける。 ヒーロー事故後、3ヶ月の昏睡、神経障害、後遺症 | Feb-92 | RT ハンディキャップ、より戻し系(15年)、児童性的虐待 | 不動産会社社長シドニー、元刑事ニック | 頭を撃たれて重い後遺症に苦しむヒーロー、ヒーローを心より愛するヒロインもまた心に傷を負っている。ふたりの愛の真剣さがとても泣ける。この重いテーマでここまでの話にする作者の力に感心! サブストーリーも泣けるが、脇役たちがとっても温かい。 | うるる |
The Renegade and the Heiress | まだ |
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