三本の矢

スリルとサスペンス、そして雑学がばっちり身につく、しかも
おもしろい。こんなの読んじゃうと、優秀な学生は官僚には
なりたくないなあと思うだろう。
とてもよく分かるのは、同期のライバルが四谷大塚時代からの
ライバルだってところだ。ここは大受け!
そうなんだよね。たいていの上位陣は、子供の頃の模試や塾で
名前を知ってるんだよね。
今だって、河合や駿台の模試でテレホンカードとかもらう面子は
名前だけならお互い知ってるもの。
小学校時代以来、あいつに負けたことがなかったのに、と
悔しがる様子はなんとも情けない・・これが日本を背負って
くれているのか・・
国会審議や政治家、官僚の生々しい様子と、日本の金融界をどう
牛耳るかの主導権争いと、で、読み出したら止まらない。

途中、経済理論に大変なページが割かれていて、ここが最大の
苦行だった。数値モデルや予測理論、はっきりいって、右の目から
はいって左の目から出ていった。。

資本主義原論

独特の語り口で楽しい。非常に分かりやすくて(少しくどい所もあるが)
説得力がある
今まで思っていた資本主義のイメージがこの本のおかげで変わった。

日本の経済は本当の資本主義ではないということ、
商業活動があれば資本主義になるというものではないということ。
資本主義には公正さと明朗さが必須であるということ。

今の様々な問題は少なからず資本主義が機能していない点に原因がある。
「公」と「私」の所有に関して限りなくルーズな国民性が
資本主義をねじまげていると喝破している。

日本とは何か

94年の本だが、それ以降の日本の姿を的確に予想している。
ということは、なるべくしてなっているということか。

日本は特殊だ、と、日本や日本人の特殊性を言う人は少なくないが、
中国やアラブ諸国ほどに欧米からかけ離れているとは誰も言わない。
それにもかかわらず「アラブ特殊論」や「中国特殊論」は
声高には叫ばれない。それはなぜか。
それは、中国やアラブ諸国は、自立した文化として認められているので
欧米とは違うことは当たり前のことだからだ。
日本は自立した文化国家としてより、欧米世界の変形として自分自身を
捉えている。これを、自立した文化国家であるといえるようになったとき
日本の再生はあるのかもしれない。


土壇場の経済学

この世は食うか食われるかだ!ということを知っておくのも悪くない。
お金に振りまわされる人々。けっして一部の話ではない。
労働を担保に借金づけにされながら消費行動に走っている人々がどれだけいるか、
聞けばひっくりかえってしまう。
クレジットや無人機械、カードローンのお手軽さに借り上げた金額は
なんと75兆円。(96年調査)
これは住宅ローンや車ローンが含まれていない数字だ。
国民ひとりあたり60万円の借金。(もちろん赤ちゃん、老人すべて含む)。
ってことは、実際に借りている人はもっともっと多額ということ。
自己破産者が年間六万人。その予備軍である多重債務者が150万人・・
消費者金融会社が日本のトップ企業であるという現実なのだ。

本書は借金地獄の種類や手口、はまってしまう人のパターン、切り抜け方など
修羅場を切り抜けてきた著者たちならではの語りで読んでおいて損はない。
というより、自分の身を守るにはこれくらい知っておくべきか。
ひっかかるほうが悪いというが、知らなすぎる面もあるのだ。
もう少し消費者教育という視点が学校にも必要だと思う。



現場レポートー不良債権ークレジット社会の闇

消費者金融を巡る焦げつき債権がふくれあがる原因を現場にいる著者が
訴える。この人は去年読んだ高杉良の「小説消費者金融」のモデルとなった人だ。
多重債務者や自己破産の増加、大手銀行の不良債権、これらは他人事のような
気がしているが全くそうではない。
超低金利で100万円を預けたところで、利息は1万円にもならない。
預金者が受け取るはずの利息はせっせと不良債権のロスを消すのにあてられている。
同様に、まじめにお金を返却するユーザーにはじめからロスを見込んだ金利が
設定される。

なぜAで信用を失った者がBで借りられ、Bで信用を失ってもCで借りられるのか。
債権回収の効果的手段は何か。

信用情報の共有化は急務だと思うのだが、今朝のニュースでもまだ足並みが揃うには
時間がかかりそうな話だった。


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