水に眠る
うーん、あんまりおもしろくなかった。北村薫のミステリを 期待して買ってしまったから、期待と違いすぎた。 彼のミステリにはいつもこの作品と同様の雰囲気が存在していて 独特の世界があるが、ミステリ抜きだと、ちょっとかったるい。 私は彼の理路整然としたところが好きなんだ。 ============================== 鉄塔武蔵野線 とても変な話だ。電車にのっていると、必ず私も 目で追ってしまうが、あの鉄塔についての薀蓄がひたすら述べられるファンタジィだ。 確かに鉄塔は不思議だ。あの腕の形、碍子のかたち、それを男型鉄塔や女型鉄塔と なづける主人公、76号から1号までをたどる旅は、日常的な風景でありながら 不思議な冒険と化す。鉄塔図鑑がファンタジィになるなんて。 とことん、人工物を愛したとき、そこに不思議な世界が広がるのは 男の子の特権のようだ。鉄道や車や鉄塔に夢中になれること自体が 私からみたらファンタジックなことである。