三部作の最初の1冊しか読んでいないのだが、とりあえずまとめておく。 もっと硬質のサスペンスを期待したが、結果的には剣と魔法のなんちゃって中世、 ヤングアダルト向けのロマンティックファンタジーであった。 冒頭は斬新な設定とサスペンスフルなストーリーに驚いた。 今すぐの死の代わりに、毒見役といういつ死ぬかわからない運命を受け容れるヒロイン。 共産主義的ユートピア。軍事独裁のコマンダー。本心の読めない戦略家などなど 新人作家とは思えない出だしだった。 ところがこの本の評価は途中からどうにも揺らぎ始めた。 物語世界が、なんというか、真に機能している気がしない。 キャッチーな設定をそこここに散りばめているが、Ms. Snyder は咀嚼しきれていないのではないだろうか。 現代のような中世、監視の行き届かない共産主義、、違和感だらけなのである。 ワーツの「帝国の娘」などと比べると違いは歴然としている。 居心地悪く読んでいるうちに、ヒロインの方も剣の勇者になるわ、ピッキングの熟練ワザを身に付けるわ、 ハリー・ポッターみたいな運命の子になって、ヴォルデモートみたいな超ワルをやっつけるお話になってしまう。。 非常に興味深いヒーローだったが、後半まったく精彩を欠いた。>_< 期待した分だけ、失望も強い。 続く2冊目以降、物語世界はリアルになるのだろうか? 平板になってしまった人物像が、再び深みを帯びてくるのだろうか?
カテゴリー | 題名 | 過去 | 出版 | ジャンル | ヒロイン、ヒーローの名前 | 感想 | 一言 |
Mira | Poison Study | ヒロインは孤児、IXIAという軍事独裁共産社会で将軍Brazellの息子を殺害し死刑を宣告された身。 | 2005 | ファンタジー 救世主型ヒロイン成長もの | Yelena(19)、 最高司令官の護衛長官&諜報長官Valek(33?) | 出だしは圧倒的で非常にワクワクしたが、失速。ヒロインが毒見係である意味も無くなり、クールで掴みどころの無いヒーローも並の人となり、背景もアイデア倒れで生かせず、普通に剣と魔法の少年ジャンプ系がんばりものになってしまった。 | 残念 |