Maria V. Snyder  2010年11月初出
三部作の最初の1冊しか読んでいないのだが、とりあえずまとめておく。

もっと硬質のサスペンスを期待したが、結果的には剣と魔法のなんちゃって中世、
ヤングアダルト向けのロマンティックファンタジーであった。

冒頭は斬新な設定とサスペンスフルなストーリーに驚いた。
今すぐの死の代わりに、毒見役といういつ死ぬかわからない運命を受け容れるヒロイン。
共産主義的ユートピア。軍事独裁のコマンダー。本心の読めない戦略家などなど
新人作家とは思えない出だしだった。

ところがこの本の評価は途中からどうにも揺らぎ始めた。
物語世界が、なんというか、真に機能している気がしない。
キャッチーな設定をそこここに散りばめているが、Ms. Snyder は咀嚼しきれていないのではないだろうか。
現代のような中世、監視の行き届かない共産主義、、違和感だらけなのである。
ワーツの「帝国の娘」などと比べると違いは歴然としている。

居心地悪く読んでいるうちに、ヒロインの方も剣の勇者になるわ、ピッキングの熟練ワザを身に付けるわ、
ハリー・ポッターみたいな運命の子になって、ヴォルデモートみたいな超ワルをやっつけるお話になってしまう。。

非常に興味深いヒーローだったが、後半まったく精彩を欠いた。>_<
期待した分だけ、失望も強い。

続く2冊目以降、物語世界はリアルになるのだろうか?
平板になってしまった人物像が、再び深みを帯びてくるのだろうか?
カテゴリー 題名 過去 出版 ジャンル ヒロイン、ヒーローの名前 感想 一言
Mira Poison Study ヒロインは孤児、IXIAという軍事独裁共産社会で将軍Brazellの息子を殺害し死刑を宣告された身。 2005 ファンタジー 救世主型ヒロイン成長もの Yelena(19)、 最高司令官の護衛長官&諜報長官Valek(33?) 出だしは圧倒的で非常にワクワクしたが、失速。ヒロインが毒見係である意味も無くなり、クールで掴みどころの無いヒーローも並の人となり、背景もアイデア倒れで生かせず、普通に剣と魔法の少年ジャンプ系がんばりものになってしまった。 残念


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