2005年に読んだ本の感想など
スザンヌ・チェイズン「火災捜査官」「欺く炎」
なぜ、この本を買ったか?
それは翻訳が「中井 京子」さんだったからだ。
素人の思い込みと笑われると思うが、中井さんの訳した本を読むと心地良い。
セリフや語句のリズムがキャラと合うって思う事が多い。
サムが言う Mr.Frodo を「フロドの旦那」って訳してくれる瀬田貞二氏みたいな
快感のツボを時折感じるわけだ。

さて、ヒロインはその題名とおり火災捜査官で、火災の原因を調査する職務にある。
無関係に思えた事件や、内部の怠慢をごまかすために報告されなかった火災などが
一連の関連をもって進行しており、最終的にNY市消防局(FDNY)を震撼とさせる火災事故が
計画されていることを知る・・・

ってわけだが、そこに至るまでの細部がとても面白い。消防局のあれこれ、火災原因のあれこれ、
それらの細々とした描写を、うんざりせずにリズム良く読めるのは中井訳の力だと思うわたしだ(笑)。
消防の知識が一気に豊富になること請け合いである。

話自体はミステリーやサスペンス要素も強いが、これは上質のロマンスだと私は思っている。
っていうか、シングルマザーが肩肘張って生きているときに、男が絡まないでストーリーが
進行するほうがオカシイ。ヒロインはインテリタイプじゃなくて、現場タイプなんだしね。

いい男を見つけてくれよ〜と願う読者の祈りはかなえられる。
ヒロイン、ジョージアと、上司マックの微妙な関係が、くっくっく(^m^)。
このあたり、女性読者は100%満足するだろうが、男性読者は「ありえん」とか
思っちゃうんだろうか? もし、あなたが男性で、この本を読んで「ありえん」と思うとしたら
あなた、女性のツボがわかっていませんね? 要努力ですよ。

火災捜査官を読んでしまうと、彼らのその後が気になって「欺く炎」を読まずにはいられない。
うひひ、心配無用、きっと満足できるはずだ。

2冊ともひねった作風ではない。犯人や関係者はすぐにわかるし、ヒロインの行動も実直だ。
ストレートに奮闘するヒロインを素直に描いているところが、好感がもてるところかもしれない。


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