2年半の間、姿を隠していたアシュレイの元にブレイダンが現れたのは
クリスマスの20日前のことだった。
アシュレイはストーカーに狙われている元辣腕弁護士。
ブレイダンはアシュレイの殺された姉ダナ(彼女も弁護士だった)の夫で現職の警部。

2年半前、アシュレイがつきあっていたBFを仕事のトラブルから殺そうとした二人組がいた。
その二人組チャップマン兄弟(トレヴァーとハイアット)は、アシュレイや姉と
子供の頃からよく知った間柄だったため、アシュレイは弁護を引き受けてしまった。
そして、弟トレヴァーは精神的に不安定だったが、アシュレイはその事実を裁判で言わなかった。
アシュレイの主張どおり、殺人の意思は無かったということになり、
トレヴァーは執行猶予、ハイアットは5年の懲役となるが彼は逃亡する。
また、つきあっていたBFマイルズは、自分を殺そうとした男を弁護したアシュレイを
恨んで、姿を消してしまう。
その後、姉はトレヴァーから電話を受け会いにいく途中、
ライフル3発を頭に受けて即死。犯人はつかまっていない。

ブレイダンは、トレヴァーの精神的不安定を隠していたアシュレイを非難する。
弁護士として裁判に勝てればそれでよかったのかっ!

アシュレイはその後電話による嫌がらせなどのストーカー行為に悩まされ、
しかも、ブレイダンから「君の顔は二度とみたくない」と言われ、
キャリアを捨て姿を消していた。。


ブレイダンと亡き妻ダナの間に生まれた息子は3才になったが、
最近になり白血病と判明し入院している。骨髄移植が残された手段ということで、
ブレイダンは私立探偵を雇い、アシュレイを探し出したのだった。

父親側・母親側双方の係累、健康で連絡がとれる人はすべて調べたけれど、
移植適合性がなかった。
アシュレイ自身もドナー登録をしていたから、ブレイダンは事前に調べたけれど、
適合性がなかった。

息子が助かる可能性は唯一つ。それは、ブレイダンとアシュレイの間でつくる子供。
アシュレイと死んだ姉の間で共通に持っているDNAに望みをかけるわけだ。

自分との間に子供をつくってくれ、と頼むブレイダンを、断ることなどできやしない。
だが、事の重大さにアシュレイは悩む。
生まれてくる子供はただの骨髄提供者ではない、それはひとつの命なのだ。
アシュレイは生まれてくる子を愛したいと思うわけだけれど、
ブレイダンの頭の中は、アシュレイには迷惑をかけない、
生まれたら自分が2人の子供を育てる、、それしか考えていない。

ブレイダンが私立探偵で探し出した途端、アシュレイには再びストーカーの脅威が
おそってくる。気がつくと、きな臭い匂いが漂っている。
寝室から炎があがっていた。カーテンにキャンドルの火が燃え移ったようだったが
アシュレイはキャンドルをつけた覚えは無かった。


飛行機で5時間とび、ふたりはさっそくサンアントニオの病院に行く。
そこには彼の息子コルトンが入院しており、人工授精もその病院で行う予定だった。

(もちろん、便宜妊娠は、人工授精で行う。
ブレイダンがクリニックで精子をとり、アシュレイの排卵日にクリニックで注入する。
排卵日前後に数回トライする。
妊娠が確認されると、つぎは羊水検査して、適合性を調べ、
移植に適さなかったら、どうやら中絶させて、また妊娠を試みる、
というかなりシビアな説明が為される)

アシュレイは検査をすると、まさに排卵時期なのでさっそく明日人工授精をしよう、
ということになる。
2年半ぶりに会うコルトンは、とても可愛らしい子供だった。
病院には煙突がないから、サンタクロースがこないんじゃないかと心配する甥に
心いためるアシュレイ。
夜、彼の家でなかなか寝付けない。車の通りが少ない住宅地のはずだが、
何回か深夜にヘッドライトがはしる。不審なバンがゆっくりと走り去る。。

次の日、病院の予約は夕方である。その前にアシュレイが昔住んでいたアパートに
でかけてみると、止めていたはずの電話が開通していて、不気味な留守録がはいっていた。
さらに、追い討ちをかけるようにブレイダンの携帯が鳴り、
病院で火事が起き、人工授精を行えない、という知らせ。
ふたりは、今月の排卵日を無駄にするか否かの選択に迫られる。

下着を脱ぎだすアシュレイ。
これはクリニカルセックスなのよ、何も考えないで!!

挿入だけのセックス、もちろん、互いの心は傷つく。
ブレイダンは自分が頼んだ妊娠だけれど、肉体的接触をすることは全然考えていなかった。
すぐに勃起した自分が許せない。
アシュレイは、喜びを感じてしまったら姉への裏切りになると思って、何も考えないように
していたけれど、ブレイダンの後悔した表情が辛すぎる。

しかも終了後20分間は横になっていたほうがいい、、なんて白けた会話を
しなければならない。

20分たったあと、バスルームに行ったアシュレイはそこにキャンドルと
ドライフラワーを見つけて、恐ろしさにおののく。

話し合わなければならないことを抱えたふたりだったが、
悪い夢をみたコルトンが興奮して泣き止まないという知らせに、
朝まで病室でコルトンに付き添うのだった。
ブレイダンの家に疲労困憊で帰ってくると、アシュレイは仮眠したが
ブレイダンはそのまま、人工授精を施してくれる医者を電話で探し続ける。
それほどわたしとの接触が嫌なのね・・・
こんなことのために電話をかけ続けて疲れきったブレイダンに、
理不尽だと分かりながらもカッとするアシュレイ。

互いの惹かれあう気持ちや怒りや混乱や疲労が一挙に押し寄せて
アシュレイを直前までイカせてしまうブレイダン。これはお情けのオーガズムなの?
みじめで混乱していたたまれない。
電話で頼んだ医者が間の悪いことに(いや、タイミング良くかな?)やってくる。
精子の採取は時間がかからずに済みそうね。。

処置のあと、アシュレイはヴァージニアに帰るという。
ここに残っていても意味がない。妊娠がわかったら知らせるからと。。

車を出そうとガレージに向かうと銃撃にあう。
銃で対応するブレイダンを、アシュレイは手助けしようとする。
警察がかけつける前に、銃撃した車は去ってしまう。
あんなばかなまねはするな、とアシュレイを抱きしめるブレイダン。

2年半暮らしていたヴァージニアに帰ることは危険なようで
しばらくブレイダンの家で生活を共にせざる得ない。。
夜、コルトンのそばでうたたねしていたアシュレイを起こし、
何か欲しいものある?となにげなく訊き、互いに赤面する。

これを聞いたら少しは楽になるかしら、わたし、今ちょうど排卵期でしょ、
だからね、人間のもつ種の保存の欲求なのよ。
深いところに根ざした本能で逆らえないものなのよ。

アシュレイの機知、優しさに惹かれる自分を、ブレイダンは抑えようとするが・・

トレヴァーやマイルズを探し出し尋問しているところにアシュレイがやってくる。
彼らに会えば、自分を脅かすストーカーかどうか、分かるかもしれないと思ったが、
結果は二人とも怪しいとしか言えなかった。

警察に来たのは、ふたりに会うためじゃなかったの。
これを見せに来たのよ! 妊娠チェッカーをブレイダンに見せ、
喜びが隠せないアシュレイ。 そう、自分の体内に新しい命が育っていると
いう感覚は、彼女の想像以上のものだったのだ。
医者の診察が済み次第、ヒューストンに移るつもりよ。
自分がいると危険だから、自分はここにいない方がいいという。

ふたりは初めてダナの死について語り合う。
お互いに自分自身が抱える罪悪感を語り合う。。

だが、医者の駐車場にハイアットが現れ、銃とスタンガンでふたりを襲う。
ブレイダンは肩に傷を負い、ハイアットがアシュレイを連れ去ってしまった。
トレヴァーが警察でアシュレイとブレイダンの会話を盗み聞きして、
兄の電話にそれを教えてしまったのだ。

トレヴァーを痛い目にあわせてハイアットのいる場所を白状させ
急いで市のはずれにある家に向かうブレイダン。

。。。。。。。。。。。

へっへっへ〜、
まだまだ一難去ってまた一難、なんですが、全部書いちゃうとね。

過去の恨みをひきずり続けてアシュレイを追っているストーカーは、
同時に、ダナの死という過去をひきずっているふたりと重なっていて、
この事件を通じて、新しい人生を踏み出すことの大事さをふたりに教えてくれる。

それにしても、このとんでもなく気詰まりで気まずいシチュエーションが
良いのよ〜。とっても真面目なヒーローがね、うひひひ。


エピローグはとても優しくて、HQらしいほっこり。