「SHADOW'S FLAME」

ざっとねたばれ

お金で動く傭兵のふりをしているDEA潜入捜査員シャドウ。
感情を全くみせない灰色の瞳。傷だらけの体。
ミャンマーで一年半、いや、ミャンマーに来る前にもう何年も武器商人としての
裏の顔をつくって、すべてを犠牲にして、ミャンマーの麻薬王を
捕まえることにかけてきた。。あと数日で、ハイテク武器取引をえさに
麻薬王が動く、、という時に、新聞記者ヒロインがゲリラに捕まり、
ジャングル奥地に連れてこられる。
彼女を助けることはあまりにリスクが大きい。これまでのすべてを壊してしまうのか。
へびのような麻薬王コンタン。生命の危機と緊張の日々。魔法のような一夜。
苦悩の末、彼はヒロインを連れてジャングル脱出を決行するが、その間も
あくまでも自分のことを無情で冷酷な傭兵だと信じ込ませる。
なぜなら、自分のことを知らなければ知らないほど、彼女は安全のはずだから。

だがときおり瞳にうかぶ痛みの色。切望の色。彼女は、ほんのつかのま感じた
優しさを、気のせいだと思いながらも惹かれずにいられない。。
よくある定番なんだけど、ヒーローは小猿を連れていて、
昔見世物芸人がひどい扱いをしているのを見て、買い取った猿なんだ。
ゲドが連れていたオタクみたいに、孤独で無口なヒーローにとてもなついている。

ジャングルの端まで逃げたとき、ずっとついてきた猿のネモを彼は邪険に追い払う。
都会に連れていっても猿にとって幸せじゃない。
「行け!行けと言ったら行け!」何度もなんども追い払う。
あれほど優しかった人間に手荒にされ、傷ついた表情でうろたえるネモ。
木の陰からそれを見てしまうヒロイン。
ネモがとうとう去ったとき、彼は背中をむけたまま
「あっちに行け!あそこで待ってろと言ったはずだ。。」
	
ラガーディア空港に着いたあと、喪失の痛みに押しつぶされそうになりながら
「それじゃ(See around)」というヒロインに
「二度と会うことは無い、さようならだ(Good bye)」と人ごみに消えていくシャドウ。
もちろん、これで終わったらHQじゃないので(笑)、
シャドウは何者かにはめられコンタン殺しの容疑者となってしまう、、
ヒロインを頼って夜の3時にヒロインの部屋の戸をたたく。。。

君が必要だ。
今度はちゃんと説明をして。
シャドウの説明を聞いたあと、わかったわ、ネットにつながったPCもあるし、
ソファもあるから大丈夫よ。
ソファ? リリー・・

ふと口からでた言葉。
突然わきあがる抑えがたい想い。。
リリーは黙って手を差し伸べ、寝室へといざなう。。


一体誰が麻薬王を殺したのか、一体誰が俺をはめたのか、
シャドウは捜査の手を逃れ、独自に調べだす。
NYの闇に溶けこんでしまうような、明るい光の中にいられないようなシャドウ。
ミャンマーのむせ返る、うだるような暑い夜と対照的な、
誰もが目をあわせない場末の暗いバーやチャイナタウンの夜、
まじでハードボイルドの、夜の匂いがする。うまいっ!
ヒロイン、リリーを餓えたように見つめ、I need you と告げる暗い瞳。
対するリリーもすごくいい。
今は訊くべきじゃないと思えば、何も訊かないが、言うべき時はばしっと言う。

中略
〜事件が解決したあと〜

自分は君にふさわしくない・・・
プライドもかなぐり捨てて愛を告げるリリーを、こっぴどく突き放すシャドウ、
リリーは去っていく。
俺の人生の唯一の光を失って、このあとの人生ってなんなんだ、、
走り出すシャドウ、「愛してる!リリー・マクダグラス!助けてくれっ、愛してるんだ!」
はしって走って、夜の闇を走って、
「愛してる、愛してる、愛してる」
「ばか!なんでこんなに時間がかかったのよ。こんなみじめな思いをさせて」
「あぁ、、そうだ、わかってる、このさき永遠につぐなってやる」


惜しむらくはエピローグだ。
甘ったるい3年後のエピローグがある。

シャドウの生涯で忘れられない人がふたりいて、ひとりはジョニー、
軍隊とDEAでともに過ごした親友。潜入捜査中に銃で撃たれて死亡している。
そしてもうひとりはサンドラ・ダンカン、
14歳のときシャドウがしばらく過ごしたシェルターの運営者だ。
15でシェルターから離れ、それ以後一度も連絡をとっていなかったが
サンドラに手紙を書いたというのだ。で、ここで終わりにしたら
まだ余韻があってよかったんだが、サンドラはとても幸せで、
シャドウからの連絡をとても喜んで、トーマスと一緒に
ふたりの結婚式にきてくれた、とか、娘が生まれたとか、
今なにをやってるとか、ね、ちょっとね、、ハードボイルドじゃないの(爆)。
だから、頭の中からエピローグは抹消するのダ・・・・