ビリー・グリーン STARWALKER Loveswept #771 あらすじ
「弟にかかった呪いをとく儀式をやってもらいたいの」
呪いだなんてばかばかしい。
そう、そんなもの、わたしだって信じていないわ。でも大事なのは、
弟がそれを信じきっていること。どんな治療をしても直らず、日に日に
衰弱していってることよ。
どうかお願い、弟にとり憑いた悪霊をはらって欲しいの。。
八方手をつくし、残る希望はあなたしかいないと訴えるヒロイン。
だが、ヒーローがすんなりOKするはずがない。
そりゃ普通に考えたって、悪霊退散!なんて頼み、建築家として名を成し
忙しい日々をおくっている男がきくかってんだけど、それだけじゃない。
彼は25年前にコマンチの祖父の元から引き裂かれて以来、
心を閉ざし、感情をみせることをやめ、引き取られた父方の家で
過去をふりかえることを自分に禁じて生きているのだ。
白人の父とコマンチの母の結婚は彼が生まれたあとすぐに破綻し、母は
父の懇願を受け入れずヒーローを連れてコマンチの居留地に戻るが、
ヒーローが2才のとき死亡してしまう。
ヒーローの父はヒーローをコマンチとして育てたいという祖父の元に
彼を残すが、ヒーローが10歳の時に死亡してしまう。
すると、もとよりコマンチとの結婚に反対だった父方の名家が
裁判を起こしてヒーローの養育権を祖父の手から奪い、彼を無理やり
つれていってしまう。ヒーローはこのとき12歳。。
そして5年後、祖父が亡くなる。
このとき以来、ちらっと、ほんのちらっとしか、ヒーローは感情を見せなくなった。。
ヒロインは25才、7年前自動車事故で両親を失い、13才年下の弟を育てている。
事故当時5歳だった弟を養うため、進学をあきらめ働いているが
将来は法律の道に進むという夢を捨てていない。ビリー・グリーンヒロインならではの
ガッツと明るさで、岩のようなヒーローを説得する。
アイスマンと影で呼ばれている、感情のない男マーカス・アウレリウス・リーズ。
ヒロイン、レイキンは邪険にことわられても無視されても、つきまとって、
つきまとって、仕事の関係のディナーに乗り込み、一幕を演じ
とうとう彼はレイキンの頼みを聞き入れることに同意する。
「あれが女性とのディナーだったらあんなことはしなかったわ。
仕事上のディナーだとわかっていたからあなたのテーブルに近づいたのよ」
「何が言いたい?」
「つまりね、もし食事の相手が女性だったら、うまくいかなかっただろうってこと。
あなたは相手がわたしのことをどう思っても気にもかけなかったでしょう。
わたしの馬鹿げたお芝居に、彼女が気を悪くして、怒って出て行ってしまい、
二度と会えなくなったとしても、あなたは残念に思わないでしょうからね」
・・・
山奥でキャンプをする彼ら。
マーカスが言うにはヒーリングの儀式を行う前に身を清める期間が必要で、
清流のそばで彼らは古来の様式にのっとり穢れを取り去る儀式をする。
やなぎの枝を編み、蒸し風呂をつくり、上流で水浴し、、
レイキンのおしゃべりに心の壁が少しずつ崩されてゆく。。
マーカスはレイキンに惹かれる自分が許せない。
自分の心に立ち入らせたくない、自分のもろい部分を感じたくない。
高まる緊張に腹を立て、ちょっと街に下りてみようと言い出すマーカス。
わざと彼女を侮辱し、どこにでもいる普通の女だと思おうとするが、
金持ちたちのパーティに連れていっても、彼女は見劣りしないどころか、
独自の彼女らしさが男たちの気をひく。所有欲に駆られ、嫉妬してしまうマーカス。
彼女が欲しい。彼女が必要だ・・
ふたりは一夜を共にし、深夜、いったん目覚めたとき、
彼は心の奥にしまいこんで思い出さないようにしていた祖父の思い出を
レイキンに話してしまう。。
次の朝、彼は清めの儀式はすべて茶番だったことを告白する。
仕返しをしたかっただけだと。仕事の邪魔をした彼女を懲らしめたかっただけだと。
君のことを好きにならなかったら、このまま茶番を続けたんだが。。
わたしのことを好きですって?
驚く事はないだろ、君はとても魅力的だ。あのパーティにいた男は
みな君に惹かれていたさ。
あなたは他の男たちと張り合いたかっただけなのね。
・・・・
昨夜、彼の傷ついた魂に触れたとさえ思ったレイキンだったが、
彼はガンとして愛を受けつけようとはしなかった。
すまない・・
何を謝っているの?
すべてに対して。ヒーリング儀式のこと、昨日の夜のこと、すべてフェイクなんだ。
時間をくれたら、誰か適切な人を探して君の弟の治療を・・
いいえ!フェイクでもなんでもやるのよ!あなたは私に約束したはずよ。
コマンチのシャーマンを演じるって。
友人に連絡して弟と一緒にきてもらい、ヒーリングの儀式の手はずを整える。。
マーカスを信じきっている弟CJ。
コマンチのシャーマンの神聖な場所でヒーリングの儀式は始まる。。
何かが、何かが起こり、、魂が体から抜けて触れ合うのを感じるレイキン。。
弱っていて一人では歩けなかったCJが、立ち上がる・・・
ちゃんとお礼を言っていなかったわ。
元の生活に戻れて嬉しいだろう。
これがいつもあなたが女に別れを告げる時のやりかた?
いいや、君はこれまでの誰とも似ていない。いつもはここで小切手をきるんだ。
あなた、小切手をまだ切っていないわ。
ああ
わたし、それほどの値打ちがなかった?
ばかなことを言うな。君は違うんだ。。
そう、それじゃ、小切手のあとはいつもどうなるの?礼儀正しく握手でもするの?
いいや、、、最後のキスをかわすんだ。。思い出にね。。
・・・
2ヶ月たって、11月。
マーカスが忘れられないレイキンに、CJがはっぱをかける。
何事もやってみなけりゃ、始まらないよ!
マーカスの元へ、シカゴへ、再びレイキンは旅立つと、
彼は職場から長期休暇をとり、家からも出てしまっていた。。
コマンチの居留地でマーカスを見つけるレイキン。。
白人上流社会は自分の居場所ではないが、コマンチ居留地もまた
自分の居場所ではない、、マーカスは自分がどこにも属していないと感じ、
うつろで空っぽの自分を抱えている。
いいえ、あなたは自分で思っているよりたくさんの人から気にかけてもらっているのよ。
傷ついた獣と同じで、どれほど愛されたいと思っていても人を近づけようとしない。
どれほど愛しているといっても、どれほど私たちの間には何かがあるといっても、
彼女から去ろうとするマーカス。
そうね、行けばいいんだわ。人間以上のものでいればいいのよ。
そうすれば、何の問題も起こらないわ、でもね、
あなたがなんと言おうと、なにを信じたいと思っていようと、
心の中ではわかっているはずよ。CJを癒したのは本当の事だったと。
呪いは本当にあったのよ、そしてヒーリングの儀式も本物だったわ。
だから、わたしはあなたに呪いをかけるのよ。
マーカス、わたしは、ふりまくハーブも呼び寄せる霊魂もないけれど、でも
絶対に効くと思ってるのよ、この呪いが。
11月10日、今日この日ここで、わたし、レイキン・パジーン・マーフィーは
健全なる精神をもってマーカス・アウレリウス・スターウォーカー・リーズに
永遠の冷たさの呪いをかけるでしょう!
あなたの心の中は、これから永遠に11月よ。これからの一生、あなたはずっと
ひとりぼっちなの。温かさはどこにもないのよ、マーカス。
一人の子供も、一人の孫も、膝の上で遊ぶ事は無いし、老いたあなたを
なごませはしない。あなたが死にゆく時、誰もあなたの手をにぎらないのよ。
あなたを愛してるって気づいたとき、喜びは信じられないほど強烈でまるで
痛みのように感じたわ。これまで感じたことがないものだった。
あなたは?あなたは痛むほどに圧倒される幸せを感じたことがあって?
そのとき、その瞬間、あなたが私のことを愛してくれるかどうかは
問題じゃなかったの。大切なのはわたしが愛しているってことよ。
わかる?大切なのはあなたを愛したってことよ。
それからずっと、苦しいのよ、、この痛みは喜びから生まれたものじゃなくて、
あなたの冷たさのせいなのよ。あなたの傷に手が届かないこともそう、
わたしが感じたような信じられないほどの幸せをあなたが感じなかったってこともそう、
わたしはあなたがそう感じてくれたら、と願ったわ。
あなたがこれまでひどい苦しみを感じていないってこともそう、
いま、今わたしは、あなたをここに留まらせることができない辛さに、
この身を引き裂かれそうなの。。でも、あなたに何がわかって?
これまでの痛みをすべて合わせたって、わたしの感じたあの喜びを打ち消すことはできないの。
どんな喜びも感じたことが無いんですって、それを聞いてとても嬉しいわ!
そしてこれからだって、わたしの呪いのせいで決して喜びを感じることがないの。
あなたは愚かで頑固な臆病者だわ
あなたなんて大嫌いっ。冷たくて憎たらしくて、あなたなんか、あなたなんか、、
激しく泣いて、言葉にならず、そのまま身をかがめ、土を握り締めて
投げつけた。
マーカスは立ち尽くしていたが、肩に土が当たると、彼女の方へ動き始めた。
・・・
ここに来るなんて、君はどうかしている。そして、そんな君の話を聞いている俺も
どうかしている。一体ぜんたいなんで君は俺を行かせないんだ。
なぜ君の顔をみると、キスをしないではいられないんだ。。
それは、あなたが抵抗できないほどわたしが可愛いからじゃない?
わたしをベッドに連れていきたくてたまらないからじゃない?
私の元から去ると死んでしまうって思うからじゃない?
あぁ、全部だよ・・・
呪いを解いてくれ。
。。。。。。。。
。。。。。。。。
Fin (^m^)