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きまぐれ美術館
「芸術新潮」で連載されていたものだというが、正直言って、 芸術新潮を読んだことはなかったから、前評判など全く知らなかった。 では、一体なんでこの文庫本を手にとったのだろう。 不思議な予感としか言いようがない。 でも、本好きな人なら分かると思うが、目と目が合うとでも言える一瞬が 時としてある。 すきな画家を語り、絵を語り、そして生を語る。 絵のなかに生命の痕跡を見、描かずにはいられない情熱を見る。 本のなかで紹介されたどの絵も著者の語り口を聞いているうちに、とても 心に残る絵となる。 彼のコレクションした絵は、今仙台の宮城県美術館にあるという。 一度訪れてみたい。 著者の生き方は風狂の人ともいえる凄さがある。 ====================================== タクシー狂躁曲 これは映画『月はどっちに出ている』を見て以来、読みたいと思っていた。 あの映画よりももっときつい、在日朝鮮人の作者の生き様だ。 映画で使われたネタも端々にあるが、それよりももっと暗く疲弊している。 さまざまなタクシー客、運転手が在日とわかったとたん、態度を変える客。 日本への批判も痛烈だが、同朋に対しても決して目が曇っていない。 それが。また、彼の悲劇でもあるのだろう。 ======================================= 山頭火 種田山頭火の句と、彼の生きて来し方をつづった本である。 自己嫌悪と自己憐憫をくりかえし、酒浸りな乞食旅をつづける山頭火。 何でこんなに淋しい風ふく ふとめざめたらなみだがこぼれてゐた 酔えばあさましく酔はねばさびしく こんなことを平気で詠う山頭火。 臆病で陽気、さびしがりやでストレスに弱く、素直で愛敬がある。 分け入っても分け入っても青い山 日ざかり泣いても笑ふても一人 もりもりもりあがる雲へ歩む 一人が淋しいくせに、一人で歩きたいと思ってしまう気持ち。 わがままだなあと思いながらも共感する人、多いんだろうな。 (わたしもその一人・・)