The Wolf and The Woman's Touch  ざっとあらすじ
テレパスなヒーローは過去にとても辛い目に会っていて、それ以来5年、
人里離れた山奥で、それはそれは孤独に暮らしている。
群れから追われた狼が死にかけていたところを助け、Smokeと名づけると、
Smokeはそのまま居つき、付かず離れずの奇妙な同居をしている。

ある日、助けを求める声が聞こえた気がして、何度も否定しながらも
吹雪の中を出てゆくダミアン。
雪の中で倒れていた女はジェンナ、彼女は2ヶ月前に姪と動物園に
出かけ、そこで姪を失ってしまった。。
警察、私立探偵、八方手を尽くしたが、いまだ何一つ手がかりが無い。

お願い、あなただけが頼りなの。
頑なに断るダミアン。
僕はもうそういう力は無いんだ。今晩は泊めてやるが
明日の朝、ふもとに送ってゆく。
でも、あなたはわたしを探しにきてくれたじゃない。
偶然だ。

手助けを懇願するジェンナには、自分の要求がどれほどダミアンに
苦しい思いをさせるか、わかっていない。

翌朝、ふもとのホテルの前まで車で送ってもらったとき、
ジェンナは最期の懇願をして、思わず彼の手首をつかむと、
あっ・・・
ダミアンはいやおうなくジェンナの感情にひきずられてしまう。。
夢遊病者のように歩き出すダミアン、
そして崩れおちるように倒れてしまう。
町の者達の、冷たい視線、気味の悪い物をみるかのように寄って来ない。

小屋に連れて帰ってくれ・・・

人に触れると、人と人とを結ぶ強い感情の糸をたどる事が出来る能力をもつ
ダミアンだが、それは決して楽しいものではなかった。
彼はジェンナの姪エミリーのいるところに意識が飛ぶ。
彼はエミリーの意識をとおして世界を捉える。
だがエミリーはまだ3才であり、しかも聾唖なので、一体ここがどこなのかわからない。
おうちに帰りたい、おうちに帰りたい、、という苦痛の声が彼の心のなかを占め・・・
	
テレポート状態になったあとは、体力が消耗し、意識を失ってしまう。
その過酷な疲労ぶりを目のあたりにしても、なおも、エミリーの居場所を知るために
ダミアンに同じ事を繰り返すよう頼まざるえないジェンナ。。

「大丈夫?具合はどう?」
彼女はおれのことを心配しているわけじゃないんだ、おれができることを
心配してるにすぎないんだ・・・

おれの魂をけずる代償に君はなにを支払うというんだ!
。。。
おれの魂を与えるかわりに、エミリーを見つけたらきみの体をもらおう。

最初は腹だちのあまりにつきつけた対価だったが、彼女の優しさと強さに
惹かれてゆくダミアン。。そしてジェンナもまた、傷ついている彼を
愛し始める・・・

手がかりを見つけた事を母や姉、警察に連絡し、出向くと、
ジェンナは思いもかけない不信や敵意に直面する。
母親は「娘をだましてるとしたら承知しないっ!」とダミアンに食ってかかり
姉や警察は「何か知っているのね!わたしの娘を誘拐した者たちと関係があるのね!
何が望みなの!」
「長いこと行方不明者探しの手助けをしていなかったのにどうしたわけだ?
金が底をついたのか?」

ダミアンが長いこと避けていた苦しみを、再び自分が招いてしまった事に
彼女は気づく。。

もう耐えられない、こんなことはこれ以上耐えられない、俺は小屋に帰らなくては。
ごめんなさい、うちの家族がひどいことを言ったわ。
いいんだ。
ちっともよくないわ。
俺のかわりに守ってくれなくていいんだ。
でもわたしが守らなくては。あなたは自分を守らないんですもの。

こんなことをひきうけるべきじゃなかったんだ。
待って!エミリーは?約束はどうなるの?
だから、今すぐにとりかかる。
だめよ!少なくとも2週間は空けないと体がもたないわ!


前回のテレポートのあと、死んだように冷たくなってしまったダミアンだったが、
これ以上激しい感情の海にさらされていることにも耐えられなかった。

手袋を脱ぎ、ジェンナの手首を掴む。
考えるんだ、エミリーのことを考えるんだ。

窓の外に高い教会の塔がみえる、雪がふっている。。
テレビの上に置いてある時計は2時10分だ。。あ、もうひとり男の子がいる、
女が来た、彼をどこかに連れていこうとしている。。
またひとりぼっちだ。おうちに帰りたい。。。

体全体ががたがたと音をたてて震える・・・

ダミアン!ダミアン!戻ってきて!もういいのよ!もう十分よ!
わたしのところに戻ってきて! 必死でダミアンのからだを自分の体で
おさえ、その痛みを、その冷たさを自分も分かち合おうとするジェンナ。

少年の顔はどこかで見た顔だった。
そう、警察の壁に貼ってあった白黒写真だ。
もう一度ふたりは警察に行き、刑事を説得する。
この少年が行方不明になったのはわずか4日前だった。
母親とモールにショッピングに来ていて、ふと目を離したすきに
いなくなってしまったのだった。

奴らは誘拐団だ。組織で3才ぐらいの子供を計画的に誘拐しているんだ。
あの少年はすぐにどこかに連れて行かれるようだ。
おそらく、彼らはエミリーが聾唖だということに気付かなかったんだろう。
誘拐してからわかったんだ、だから、他の子供のようにすぐに売れないんだ。
そ、そんな、、

前科者のデータベースを必死で見ると、「この女だ!」
エミリーの目を通してみた女の顔がそこにあった。

女は仮出所期間がちょうど終わったところで、現住所はわからなかったが、
最期の住所はシカゴだった。
刑事は女の行方を調べてみると約束してくれた。

ダミアンは山小屋には戻らず、シカゴに行くと言い出した。
 あの窓からみた景色と同じものを探せば、あのビルがどこだかわかるはずだ。
でも、シカゴにいるとは限らないでしょう。
 シカゴは、天候やタイムゾーンも条件に合うし、なにより
 犯罪者は自分のよく知ったテリトリから移らないものだ。
こんなことまでしてくれて、どうもありがとう。
 ただでやってるんじゃない。
ダミアンは、ジェンナに思い出させるように、というよりむしろ、
自分に言い聞かせるように言うのだった。


すべての教会をチェックする、、それはとても根気がいる、疲れる作業だった。
その晩ジェンナは、生後2ヶ月で我が子を突然失ってしまったことと、
自分の子供のように愛していたエミリーを失ってしまった罪悪感に
押しつぶされそうになり、涙に暮れるとダミアンが優しく抱きしめる。。
(肌に直接触れられないのダ、ものすごく切ないのダ)

愛する者を失う辛さを知っている。
そう、ダミアンもまた、5年前に最愛の妻をガンで失ったのだった。
かれはテレパスゆえに、妻の死の最期の最期まで彼女を死から連れ戻そうと
死の国まで行ってしまったのだった。
以来、荒涼とした厳しい自然を撮る写真家として、人間と一切触れ合わない暮らしを
しているのだった。

翌朝、まるで何事もなかったかのような振る舞いをするダミアン。
そんなふうにわたしを扱わないで。
なんの事だい?
思わず口論が続く、、
君が守ってくれるとき、嬉しいと思いたくないんだっ
朝目覚めたとき、きみの香りをかぎたいと思いたくないんだっ
わたしは別に一生の約束をして!と迫っているわけではないわ!
あっ
テレパス状態のときにみた景色がそこに・・
。。。。

警察の突入、女の逮捕、少年とエミリーは無事に保護された。
エミリーはダミアンをみると、手話で語る。
「エミリーはなんて言ってるんだい?」
「友達って言ってるのよ」

その夜、ふたりは初めて結ばれる。それはめくるめく体験だった。
光の中心に包まれたように、心がつながり、ふたりはひとつだった。


違う、これは俺がくれと言ったものじゃない。
俺は単なる体が欲しかったんだ、だが、これは違う、
これは、、、、君は俺を愛してるんだ。
愛は、俺が一番欲しくないものだ。
5年かかって、やっと正気の世界に帰ってきたんだ。
二度と誰とも深く関わるまいと決めたんだ。
ジェンナを突き放すようにして去ってゆくダミアン。

2週間の時が流れ、ジェンナは考える。
あのときの気持ち、あの一体感、あれはわたしが彼を愛しているから?
ふたりの間の感情の糸は一方通行のものなの?
違うわ、この気持ちはわたしだけのものじゃないわ。
彼もわたしを愛してるんだわ。
ダミアンを説得しなくちゃ、急いで山小屋に行かないと、彼は
撮影の仕事に向かってしまう。


そうだー! がんばるんだー!
強情なふりをしてるダミアンをノックアウトするんだー!

ここで何をしてるんだ。
お帰りなさい。スープがちょうど出来てるわ。
あなたが要らないというなら、Smokeに全部あげてしまうわよ。

 愛なんて要らないんだ。
愛はね、頼まれたからあげるものでもないし、
要らないからといって消えるものでもないのよ。
愛はね、Gift なのよ。
 君は俺にはもったいない人なんだ。俺なんかよりもいい男にこそふさわしい。
 俺は他の人間たちとうまくやってゆけないんだ。
そんなことないわ、ちゃんとやってゆけたじゃない。
 それは君がそばにいてくれたからだ。

をっとっと。。。

エピローグも、、、うひ、、

(^m^)