Da mi basia mille
カトゥルスの詩集の5番、通称レスビア。
ここに出てくる有名な言葉。
我に千のくちづけを・・わたしに千のキスをおくれ・・・千回のキスを・・
 
外国詩の素養ゼロのわたしは、ガバルドンのアウトランダーを読まなければ、
カトゥルスなんて名前も、???だった。
アウトランダーでジェイミーがクレアに贈った結婚指輪、その内側に、
古代ローマ詩人カトゥルスのラテン語詩からの一節が彫ってあった。

これはたいそう有名な詩で、西洋諸国の人なら、一般教養で知っているみたいだ。
というのは、「あしながおじさん」のなかでもジュディーが、ロックウィロー牧場の牛に
レスビアという名前をつけた、と書いていて、授業で習ったことをうかがわせる。
カトゥルスの詩の各国語訳は、したのホームページが素晴らしい。

http://aphrodite.jaze.net/~catullus/catullus2.htm

アウトランダーでは、クレアがその英訳を話すシーンがあるが、それは、
17世紀 リチャード・クラシャウ(Richard Crashaw)が英国に紹介したとおりの
詩文だ。すこし文意が変わり、お互いにキスしあう意味合いの
「千のキスをかわそう」 になっている。

http://www.theotherpages.org/poems/2001/crashaw0101.html

こちらのほうがロマンティックで、個人的には好みだ(笑)。
秋の日のヴィオロンの。。日本の堀口大学みたいな翻訳詩のイメージかもしれないね。

さて、ネットで「千のキス」「千のくちづけ」「千回のキス」をそれぞれ検索すると
なにかに当たる。
ところが、「千回のくちづけ」 と検索すると、何も当たらない。 
ををっっ!! 微妙に、くちづけには「回」をつけてはいけないようだ。

そんなこんなで検索すると、、レスビアの日本語訳などが見つけられる。
たとえば、こちらとか
http://www.babu.com/~laurel/eroica/1000kiss.html

さらに、てっきりロマンティックな詩だとばかり思ったら、
実はだじゃれ風の詩だという、ラテン語専門家?のページもある
http://www11.ocn.ne.jp/~mare/catul.html

そんなことをやってるうちに、
数字もアリ?と思い、「1000回のキス」を検索すると
「プレゼントありがとう。Tabu」 という、現代ドイツの携帯メール事情、
そんなニュースにまでぶちあたる。
Tabuは「Tausend Bussis」(1000回のキス=とても大好き)の略語だそうだ。

さらには、松浦亜弥が「100回のキス」っつう歌をうたってた、なんてことまで分かる(をいをい)。

そして、フランス語で「1000回のキス」を意味する「Mille Baisers」 ミルベーゼ
恋人どおしの手紙の最後につける慣用句だと書いているHPもあるが、
元をたどれば、カトゥルスの詩から来てるのだろう。
だが、このミルベーゼ、、
なんと、 かな〜り、がっくりしたことに、結婚式場やら結婚指輪のブランドやら、、
どっぷりと結婚色にそまっている言葉じゃありませんか・・・
アウトランダーで、素敵な言葉だわ、、、と感動したのに、あらまぁ、
「1000回のキス」は、結構いまではお約束の言葉だった(>_<)。



一時間に1000回のキスをすると、一日で2万4千回のキスになる。
そういうわけで、
「2万4千回のキス」という有名なイタリアン・ポップスがあるそうだが、
ここまでくると、切なさもへったくれもない・・・
この詩の故郷、本場イタリアで、こんな姿に変身しちゃうんじゃ、
カトゥルスの詩は、やっぱ、哀愁を帯びたものじゃなくて、
そもそもおふざけ調だったという説が、正しいのかも、、と思えてくる(笑)。