クレジットカードとキャッシュカードについて、雑感


アメリカのクレジットカード情報処理会社からの情報流出事件が世間を賑わせている。
被害総額は当初考えられたよりもずっと高額にのぼっていて、過去最大規模だという。

わたしもしょっちゅう海外の店からオンラインショッピングをするので、今回の事件で
番号や住所などがもれちゃっているかもしれない。
実はこの事件よりももっとずっと前に、わたしの良く使うカードは、誰かがどこかで
不正使用したらしく、真相は全然わからないが、番号変更を余儀なくされている。
利用明細書には不審な請求は無くて、何ゆえに番号を変更したのか詳細は不明だが
とにかく何かあったらしくて、新しいカードが送られてきた。

そんなことを呑気に言っているように、オンラインショッピングでのクレジット決済に
ついて、わたし個人はさほど心配していないのだ。

番号を盗まれて勝手にショッピングに使われた場合、心当たりのない請求に関して
異議を申し立てれば、今のところほぼ100%のクレジット会社が補償してくれる。

もともと信用取引なので、クレジット会社の方でも不正使用監視プログラムを走らせていて
顧客の買い物傾向、最近のクレジット犯罪傾向などを織り込み、不審な買い物があった場合
早目にチェックをいれ、会社も損害を受けないようにしている。
上に書いたように、既にわたしのカードは一度変更しているわけで、これも
クレジット会社側がなんらかの危険シグナルを得たからだろう。


唯一クレジットで気をつけねばならないのが、キャッシングだと思う。
私自身、キャッシングなど利用しないのに勝手に利用限度額があがっていた。
これまでそのまま放置していたが、クレジット情報漏れ事件を機に、
キャッシング枠をゼロにした。

なぜなら、クレジットで唯一補償が無いのが、暗証番号を使った場合だからだ。
生年月日や電話番号などから類推できる安易な暗証番号と、偽造クレジットカードで
引き出されたキャッシングは全く補償が無い。

一部の店では、レジのところでサインの代わりに暗証番号を打たせている。
この場合、偽者が暗証番号を入手して買い物をしたら、その代金はわたしが払わねばならない。
だが、高額の商品を売る店で、レジで暗証番号を打たせる店は少ないし、
犯人側も店員に顔を見られるのも嫌だろう。だから、論理的に考えても
偽者が一番利用するのは「キャッシング」だ。

で、キャッシング枠をゼロにする(ゼロでなくても構わない、好きな額に設定できる)のって、
簡単か?というと、簡単だ、電話一本で済む。
だが、現在のところ、クレジット会社には「わしの情報は盗られたのか?」的な問い合わせが
山ほどかかっているようで、なかなか電話が通じない(やれやれ・・)。


さて、
クレジットカードは暗証番号など使わなくても利用できるからこそ、ある意味安心だ。
一方、暗証番号が必須な銀行のキャッシュカードは、スキミングやら盗難やらで勝手に
預金を引き出されても補償は無い。多くの事件で司法に判断を任されたが、これまでのところ
不正使用の総額の大半が補償されていないという。

偽造キャッシュカード被害は深刻で、1988年以前に作られたキャッシュカードには
磁気テープに暗証番号も記録されているからスキミングでイチコロ、この頃は、盗難と
ばれないように、留守宅に忍び込んでもスキミングだけしてカードは置いておくそうだ。

1988年以降のキャッシュカードであっても、個人情報流出、スパイウェア、
ATM盗聴、盗撮、情報売買などがセットで重なると、暗証番号システムが
堅牢であるかどうか、不安にならずにはいられないだろう。


そこで一日300万円などという出金限度額をもっと低額に設定し直したいと
思うわけだが、それにはICチップ付きのカードを作り直すか、または印鑑を
もって設定変更にいかなければならない。
電話一本では済まない。これが勤め人には結構面倒なのである。
さらに、従来のカードの出金限度額を変更することに対応していない銀行もある。
わたしが日常利用しているみずほ銀行は2006年には対応するそうだが、
今は対応していない。

サービスで銀行を選べと言ったって、職場や自宅の近くにATMがあるとか、
人によって事情があり、遠く離れた銀行をサービスが良いからといって選べるわけでもない。


一律限度額を下げた上で、限度額を上げたい人は設定しなおす、とした方が一般利用客には
いいのではないかと思うがどうだろう?普通の人は一日300万円という額が必要だろうか?
有無も言わさぬ押しつけで、被害が出ればお前の責任というやり方はどうなんだろう?

みずほ銀行に「ATMでの出金額を引き下げたい」と言ってみた時の事だ。
窓口嬢が「それは出来ませんので、定期預金になさったらいかがですか?」と言った。

『はぁ?』

総合口座なのだから、たとえ定期預金にしたところで、普通預金から定期の90%は
引き落とされてしまうじゃないか。
総合口座方式も、今後考えなければいけない課題ではないだろうか?

今回の情報流出事件で分かった事は、クレジットカードよりもキャッシュカードに
細心の注意を払うべきで、銀行の対応は「補償しない」大前提に乗っているから、
悠長で問題意識が低いということだ。