メキシコ・ドキュメンタリー映画「僕は・・・」(Soy)を見て、
この映画に登場した脳性マヒの少年と、彼の詩に強く惹かれた。
映画のなかで15才だと紹介された少年は、うっすらとひげが生え始めてはいるが
まだあどけなさが残る面差しで、彼が静かに話しだすと
それは普段の言葉なのに、静かで美しく英知に満ちた言葉になった。
パンフレットも無かったので彼の名前を忘れてしまい、メキシコ人であることと
「Soy」という詩集を出したことしか思い出せなかったけれど、ネットで調べた結果、
以下のことが分かった。
Ekiwah Adler-Beléndez エキワ・アドラー=ベレンデス
1987年生まれ、父親はアメリカ人、母親はメキシコ人
Ekiwah というのはメキシコのPurepecha 語で「戦士」という意味だそうだ。
最初の詩集「Soy」( I am )は2000年に出版、(当時彼は12才・・)
第2詩集 「Palabras Inagotables」 ( Never Ending Words ) は2001年に出版。
上記2冊は主にスペイン語であるが、彼は二重国籍をもち、バイリンガルでもあり、
2003年には英語で「Weaver」を自費出版した。
エキワは自分のHP(英語)を持っていて、米国内なら彼の父親にチェックを送ると
上記の詩集を直接購入することができるようだ。
ネットで見つけた「Soy」の中の詩を紹介してみる。。
(スペイン語の和訳はあまり自信がないので、変なとこがあってもご容赦を)
[Mi nombre]
Me llamo guerrero.
Un mago,
un pájaro sin alas,
un hechicero de las palabras,
una piedra.
Voy en busca del hombre
detrás de mi nombre
ぼくの名前
ぼくの名前は戦士という。
一人のマジシャン、
翼のない一羽の鳥、
言葉の呪術医、
一個の石。
ぼくは男を探しにでる
ぼくの名前の陰にいる男を
[Nada]
Soy un áirbol sin sus ramas
soy un guerrero que ha fallado su misión
estoy encerrado sin salida
la tierra tiembla, desolada
sólo calles sin final ni destino
sólo el sonido de máquinas
ni siquiera el canto de un pájaro.
Soy nada
no soy ni aire ni roca inmóvil
el peor de los ladrones ha robado MI sonrisa
el mar me traga
el cielo cae, me aplasta
soy una ilusión, un fantasma,
conozco a lo vacío y el vacio, me conoce a mí.
無
ぼくは枝のない木
使命を果たせなかった戦士
出口のない部屋に閉じ込められている
大地は震え、人気のない
空っぽの道は終点も果てもなく
ただ車が通り過ぎる音だけ響き
鳥の歌う声もない
ぼくは無、なんでもない
空気でさえ 動かぬ岩でさえない
最悪の泥棒がぼくの微笑みを盗っていった
海がぼくを飲み込む
空が落ちてきて、ぼくを押しつぶす
ぼくは実体のないまぼろし、ゴースト、
ぼくは無を知っている、そして無もぼくを知っている
[ Detrás ]
!No más gravedad!
Voy volando hacia arriba
con el viento y las nubes
el sol y las estrellas,
donde soy parte de la tierra
de lo verde y lo salvaje
de la lluvia y de las flores.
Búscame en el silencio
ahí me encontrarás...
ビハインド
もう重力はいらない!
ぼくは空に飛び立つ
風と雲を連れて
太陽と星を連れて
そこではぼくは地球の一部だ
緑色と野生のものたちの
雨と花々の。
静寂のなかでぼくを探せば
君はぼくをみつけるだろう・・・
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