「失意の向こう側」 とほほ。なんか変でしゅ。。
もちろん、全部をきちんと調べたわけじゃないけど、
他のことで調べてたら、ついでに見つかったものとかを。
もし、真面目に調べたら、もっと見つかるだろうと思うが、
それってどうよ。
1)言うべきじゃないこと (翻訳p142)
ー車で食料品の買い物に行くシーンー
何を考えているか教えてくれ。だめよ。じゃあ、僕もこれこれこういう事を教えないよ。
そう言って、言うべきじゃないことを、つまり、とてもセクシーなことを言い続けるシーン。
ここは、長いセリフが3回続く。
1番目は、足が素敵だとかなんとかは言わないよ、
2番目は、胸が素敵だとかなんとかは言わないよ、
そして3番目のセリフで、瞳が素敵だと言うのだが、
翻訳者は3番目のセリフを、ヒロインのセリフにして、女言葉にしてしまっている!!(>_<)
そりゃないぜっ(ぷんすかぷん!)
3個ともヒーローのセリフである。
そうじゃないと、文脈が変になるし、セリフの中の人称が矛盾してしまう。
3番目のセリフ(A)で質問したあと、(B)で返事をうながし、(C)で質問にこたえている。
(B)はヒーローのセリフで、(C)がヒロインのセリフというのは、文章に書いてある。
(A)が誰のセリフかは、文章には書いていない。
だが、(A)の「I」に(C)の「You」が対応してるんだから、(A)と(C)は別人物なのだ。
(C)がヒロインなのだから、(A)はヒーローでなければならない。
本来の3番目は正しく訳すとこうなる。
「そして、君の瞳ほどうっとりと引き寄せられる瞳に出会ったことが無いなんて言わないでおこう。
そして、君の口は、といえば、何ヶ月ものあいだ、僕のファンタジーの主役だったと言えば
十分かな。他に僕が言うべきじゃない事はもう残ってないかい?」
(A)"Is there anything else I shouldn't say ?"
ハンターは車を駐車場にまわし、タイヤをきしませて止めるとカリーの方に向いて言った。
(B)"Well?" 「どう?」
彼女はこくんと息を飲み込み、
"No. I think that about covers all that you shouldn't say."
(C)「ええ、(あなたが)言うべきじゃないことは全部カバーしたと思うわ」
いや、別に人称なんて気にしなくたって、常識的に読めば、たたみかけるように
ヒーローがしゃべって、ヒロインをどぎまぎさせたのは分かるはずなんだけど。。、
2)わざとそんなかっこうをするのかい?(翻訳p161)
起き上がってセーターを脱ぎ、また横になった。ブラジャーはつけていなかった。
思わずハンターをうめいた。
「わざとそんな格好をするのかい?」
ここは原書ではセーターを脱いでから、ながいあれこれの行為があるんだけれど(^m^)
翻訳では省略されている。
でも、「ブラジャーをつけていなかった」という文章は原書では出てこないのである。
もっともっとずぅっと前のほうで、「君はブラジャーをつけないのかい?」という会話が
あるが、それを意識したのだろうか。
だが、本来は、
彼女は腕を頭の上にのばして、背中をそらして胸を突き出したので、
「わざとそんな格好をするのかい?」とヒーローは、どっきどきになってしまったのである。
どうせ省略するなら、
セーターを脱ぎ、裸の胸を突き出すように腕を頭の上に伸ばしながら横になった。
と書けばいいのに、なぜに、ブラジャー???
3)「まったく、とんだとばっちりだ」(翻訳p211)
ここは獄中。
ヒロインを励ましに、ヒーローは法をやぶって(?)忍び込む。
ふたりの甘い会話のなかで、激しく違和感を感じたセリフがこれだ。
「すまないと思ってるわ、ハンター。心からごめんなさい。
わたしはこれがあなたへの個人攻撃になるなんて思ってもみなかったの」
(まったく、とんだとばっちりだ)「Well. That's a switch.」
彼女は笑った。「どうやって名誉回復をはかるつもりなの?」
That's a switch が 問題の箇所だが、彼女が笑うのだから、それほど
深刻なことを言ってるはずがない。そして「とばっちり」というのもひっかかる。
なぜなら、ヒーローは、カリーを牢獄に入れたら、騒ぎが起こることを
十分予想していたのだから。
起こるべくして起きた騒動なのだ。
で、スイッチ(何かと何かが切り替わる)スイッチ、スイッチ、と考え続けると、
そうです。
カリーと大衆が反転したってことなんですよね。
以前は、カリーだけが、ハンターのことを個人攻撃して中傷していたわけだけど、
今度は、「あなたにすまないと思ってるわ」とカリーだけは同情していて
他の人たちが怒っている。
だから、
「おや、前と逆になったね」
みたいに訳すと、カリーが笑うのも自然な流れになるはずなんです。
どうでしょ?
4)できることをしただけです (翻訳p219)
とりかこむ報道陣に対して、カリーがハンターについて話すシーン。
「わたしがもっている情報に、喉から手が出るほどの関心がありながらも
不法な手段でそれを手に入れようとは、けっしてしませんでした」
うーむむ、むりやり、わかりにくく訳している気がするわ。
あなたを監獄に入れたのは単なる意地悪な仕返しじゃないか?って、マスコミが聞くので
違うわ。彼はプロとして正しいことをしただけよ。と答えてるんですよね。
日本語として意訳したのかもしれないけど、あまり意味がないような・・・
He felt strongly about my withholding information.
He acted upon it in the only way he could.
「かつてわたしはミスター・マッキーに対して個人的な恨みを抱いていました。
そして、プロとして恥ずべきことに、わたしはメディアを利用して彼を中傷したのです。
そんな私と違い、彼は個人的感情をきりはなし、プロとしての義務でこの事件を扱いました。
彼はたいへん高潔な人です。たとえ個人的にどれほどの犠牲を強いられようと
信念を貫いたのです。彼はわたしが持っている情報に強い関心があり、それで
ただプロとしてできることをしただけですわ。」
4)一睡もしなかったんだろうか (翻訳p220)
ここは激しく間違っている。
こんなことはどこにも書いてないのだ。
まずは原書直訳を見てください。
部屋にはいるやいなや、バーに向かいスコッチを自分でついで一息に飲む。
部屋に入ってきたとき、脱いだコートとベストを人指し指にひっかけて肩にかけていたが
ソファの横を通ったとき、それをソファの上に放り投げていた。
彼の様子は、シャツはよれよれ、ネクタイはゆるんでて、ひげはのびてるし、頬はこけてるし、
目の下にはくまがあるし、いつもなら威厳のあるめがねも、ただ鼻の上にのってるだけって感じだし、
髪は指でといたようにぼさぼさだし、、
でも、愛で一杯の目でみると、これほど素敵な彼をみたことないわ。
翻訳はこれ。
「上着とベストをソファに放り投げ、ネクタイをゆるめると、
ソファにぐったりとからだを投げ出した。
シャツはよれよれ・・(書くのが面倒なので略)・・目の下にはくまができている。
ゆうべ一睡もしなかったんだろうか」
英文の時制をちゃんと見ないのかな?
スコッチを飲んで、今はホームバーのところに立っているんだよ、ハンターは。
ソファにすわってなんかないよぉ。
で、部屋にはいってきて、バーに直行しながら、上着とかをソファに放った。
(ここは、ちゃんと過去分詞になっている)
そして、どこにも「一睡もしなかった」なんて書いてないっ!
なんでこんな創作をしちゃうのかな。
もしかしてここをそう訳したのかな、まさかね。
To her loving eyes, he had never looked better.
これは今よりもっと良くみえたことは一度もなかった→つまり、今が一番素敵!ってこと。
めがねやぼさぼさ髪を省略するんだったら、せめてこう訳せばよかったのだ。
シャツはよれよれ・・・・目の下にはくまができている。
でも、今ほど素敵にみえたことはなかった。」