Tender loving care「思い出の夏にしないで」 スーザン・マレリー
未訳と勘違いをしてしまい、注文してしまった本でした。
普段、翻訳が出ている本まで原書を買うことなんて無いっす。
(いや、オリジナルの表紙絵がみたくて買うことはあるんだけど・・笑)
ま、とにかく翻訳のほうは入手していなかったので、そのまま
原書で読んだのでした。
正直言って、この話はスーザン・マレリーの能力からしたら
中くらいの、そう、ものすごいお勧め本ではないし、
だから、この原書が陽の目をみることは無いと思っていたら、
意外にもこんなところで大活躍(笑)。
目の怪我をしたヒーローと、その看護をするヒロインの話なんだけど、
ヒーローの目は深刻な事態というわけでもない。
すぐに元通り見えるようになる。
ストーリーは、美しい元妻に裏切られたヒーローと、
容貌にあまり自信のないヒロインの間で繰り広げられる。
このストーリーをマレリーは、たぶん、最後の言葉から連想して作ったのでは?
そう思ってた。なぜって、
最後の言葉
Beauty is in the eyes of the beholder
英語のことわざなんだけど、「美は見るものの目の中にある」。
双子を出産したヒロイン、ベッド脇のヒーロー、
ふたりの言葉にも見つめ合う瞳にも愛があふれている。
そんなラストシーンで、ヒロインが心の中でつぶやく。
「あの格言は本当なんだわ・・・」と幸せをかみしめながら。
Beauty is in the eyes of the beholder
「真実の美というものは、心の目にうつるものだよ」、という
きっぱりとしたニュアンスがあるよね。
おそらく、作者はこの言葉を元にして、
元妻の見た目の美しさと、ヒロインの内面の美しさを対比、
またヒーローの目の怪我、などを連想したんじゃないかな。
と、と、ところが・・・
マレリーのこの「思い出の夏にしないで」の最後の文章を日本語版では
「蓼食う虫も好き好き」
と訳している。。。(>_<)
機械的に英語のことわざと日本語のことわざを並べているような場所では
「あばたもえくぼ」「蓼食う虫も好き好き」などと訳すが、絶対に違うよ〜。
日本語のこのことわざの場合、対象は「イマイチ」と暗にほのめかしている。
へんてこだけど、不細工だけど、人それぞれだからねぇ〜、、というニュアンスがある。
真に美しい心の美を賞賛するときに、使うことわざじゃない。
ましてやロマンス本である。
「なんてきれいなんだ、君は、まるで、はきだめに鶴だよ」(くえっくえっくえ〜)
「この家から出たいと言うのか?なぜだ?」
「あなたにわけを言っても無駄だわ」
「言ってみろよ、犬も歩けば棒にあたるじゃないか」(わんわん)
あぁ、あの人はわたしのすべてを愛してくれている、
蓼食う虫も好き好きってほんとだったんだわ・・
(はははっ)
んなこと、言う奴、いねぇよっ! ですよね。
まさに訳者のセンスを疑うってやつですね、これ。
笠原博子という訳者さんなんで、一応覚えておいとこ。