午後から仕事を休んでしまいました。胸が苦しくなるほど気が気じゃなかったから。 私にとってフランスチームはいわばWCの代名詞でした。 海外サッカーは文字からしか知らないので、デサイーとビエラの顔の区別も つかないド素人です。日本でWCの決勝ラウンドが見たいという気持ちから フランスなら大丈夫だろうと、購入したフランスTSTチケットです。 でも、チケットを買ったことによって、 遠い話だったWCが、自分の見る試合という現実の話になり、 カレンダーを見て開幕を楽しみにしながらどきどき待つというものになったんです。 近づくにつれ、ネットでフランスチーム関係の掲示板を読んだり、 ワールドサッカー雑誌を買ったり、 5月に加入したスカパーで、毎晩のようにWC予選やプレミアリーグを観たり、 どんどんフランスに入れこんでいきました。 特にプレミアリーグの試合で観たアンリのダンスのようなステップ、 抜群のスピードとボールコントロールが忘れられず、 彼のプレイをこの目で観たい!とアンリ熱が上昇してました(^^;; でも、最近のフランスチームが親善試合であまりいい結果を残していないこと、 各国リーグの強豪チームに所属している選手が多いので疲れが溜まっていること、 守備陣の若返りができていないこと、 核となるピレスを怪我で欠いていること、 などなど、知識が増すと不安もつのってきました。 当初韓国開催分は、見に行かないつもりだったのに、開幕戦を見に行くと決めたのは、 今から思うとラッキーでしたね。 アンリが90分出場した唯一の試合だったわけですから。 直前のテストマッチでジダンが肉離れを起こし戦列から離れたため、 ジョルカエフが代わりに入りましたが、 わたしのように全盛期のジョルカエフを知らない素人サッカーファンに きっと残したくない印象だけを彼は残していきました。 フランスチームは、動脈硬化を起こしているような動き出しの悪さ、 なにやら重いものがのしかかっているような空気をふりはらえず もがいているかのようで、握りしめていた手が冷たくなってしまいました。 予選突破が危ういのでは・・・ 考えないようにしても、つい考えてしまう・・ それから、この3戦まで、嫌な気持ちは少しも晴れませんでした。 そうそう韓国に行くわけにはいかず、デンマーク戦のチケットは知り合いに譲ったのですが、 でも、どうしてもリアルタイムで見たくて、結局休みをとってしまいTVをつけると そこには包帯をまいたジダンがいました。 わたしはこれまで、これほど真剣にジダンのプレイを追ったことはありませんでした。 スーパープレイのシーンを流すテレビを、すごいねー、ジダンって、と 別世界の話として見ていただけでした。 でも、今日は違いました。 ジダン選手には迷惑でしょうが(^^;; 私のこの6ヶ月くらいのWCへの 思い入れすべてが彼に投影されていました。 肉離れは2週間足らずで直るようなもんじゃない。 力を入れたらまた激痛がはしるかもしれない。いや、きっと鎮痛薬を注射してるんだ。 彼にとってこれが最後のWCだから、足が折れても最後までやる、という決意なんだ。 ジダンが前線に走るたびになんだか泣きそうになってしまいました。 普段の彼ならボールを簡単に奪われるなんてこと、無いはずだし、 もっと踏ん張ることだってできるはずだけど、 それでもなお魅了するプレイを披露しましたね。 もっと見たかった。見せてもらいたかった・・・ 終了の笛が鳴ったとき、わたしのWCはこれで終わったかのような気分になりました。 明日になれば気持ちはまた日本代表に向くでしょう、 でも今日だけはフランスの事を悲しみ、そして ジダンにありがとうと言わせてください。 ------------ わたし、ようやくわかりました。 やっぱり、自分で感じないと他人(ひと)の気持ちってわかりませんね。 マラドーナのあのプレイとか、やっぱりマラドーナは違うっていう人の気持ち。 その時代それぞれにサッカーファンにとって神聖な選手がいるんですね。