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2000年その1
エイリアン4 Alien: Resurrection(97年米)
4ともなると、趣向を凝らさなくてはならないのだろうが、今回の スプラッター趣味はちょっとしつこかった。 血わき肉おどるってことをそのまんまやったわけでかなり食傷気味。 あの鋼鉄をも溶かす体液は一体なんなんでしょうねえ。凄すぎます。どうやって 体の組織を維持できるんでしょう(笑)。 エイリアンとロボット、いずれも親殺し、子殺しの十字架を背負っていた。 似ていて非なるものを憎むという、憎しみの本質をもっと描いたら面白かったかも。 ----------------
ブラッド・シンプル Blood Simple (83年米)
コーエン兄弟のデビュウ作なのかな。 この緊迫感の上手さといったらない。 It is very difficult, very painful and takes very very long time to kill someone. ヒッチコックの言葉どおりのこのとおりの映画。 足りているような、足らないような会話の妙。クールな描写。どれをとっても 無駄がなくて堅牢な作品だ。そして役者のはまり具合がにくい。 私立探偵の下卑た笑い、まぶたをひくつかせる様、寝取られた亭主の悔しさ情けなさ。 なぜかコーエン兄弟の映画に出てくる女性っていつも似たような顔なんだ。 美人とはちょっと違う、生真面目で思いつめた感じで、何かを心に隠していそうで こういう顔が好みなのかな。 ----------------
ユー・ガット・メール You've Got Mail (99年アメリカ)
メグ・ライアン向け映画ってとこかな。 メール特有の恋する気持ちなどよく分かるが、「HAL」を見た時ほどドキンとしなかった。 日本とアメリカの違いなのか、「HAL」の方がずいぶん前だからか、 「HAL」にはとてもみずみずしいものを感じた。 文字と絵文字のやりとりが青春のいらだちや不安、もやもや感や恋する気持ちなどを うまく表現して、手が届きそうで届かない相手とのやり取りがせつなさを 盛り上げ、深津さんと内野さんの組み合わせも良くてかなり気にいった作品だった。 一方、このユーガットメールは、メールによる恋と言っても、なんていうか 足長おじさんのメール版に落ちついてしまった。単に観客はいつ気付くかを 楽しみに見ているだけになってしまった。 トム・ハンクスは不思議。けっしてハンサムではないのに、恋におちても おかしくないって気にさせる。上質のユーモア精神と人の痛みがわかるまなざしと あの素晴らしく素敵な声! ----------------
ロープ Rope (1948年アメリカ)
ヒッチコック作品。後味悪いこわさ。鶏肉の挿話といい、メトロノームといい 神経を逆なでする。 ----------------
夢翔る人 色情男女, Viva Erotica(1996年香港)
どたばたものなんだが、それなりに楽しめる。いつもえらい!と思うのだが 美男美女で売っている俳優でも香港映画ではおばかな役やおばか演技をちゃんと やる。レスリーのまぬけな顔とシリアスな顔のギャップに喜ぶべきか悲しむべきか。 それにしても分かりやすい筋なんだが、サッカーの試合を見ながらしみじみと 職業にかける思いを語るなんざ、変だぁ。でもちょっと泣けた(笑)。 「ラヂオの時間」と同じテーマ。 ----------------
ストーム The House of Yes(97年米)
原題は「THE HOUSE OF YES」という。どういう意味なんだろう。 感謝祭の前夜・・嵐の一晩におこる出来事。都会の大学に行っている男が 故郷の家に婚約者を連れて帰ってくる。家には男(マーティ)とは双子の ジャッキー・Oと弟、母がいる。ジャッキーとマーティの誰も入りこめな いような濃い結びつきがだんだん世間的な婚約者との愛を壊して行く。 ジャッキーを演じるパーカー・ポージーの奇妙な迫力に圧倒される。 ケネディの暗殺をモチーフに使っていて、それがこの一晩の非日常の世界を 支配する。暗殺ごっこで暗殺者役であると同時に妻役であるジャッキーは、 究極の愛の体現でもある。 ----------------
ライアー Deceiver(97年米)
脚本の面白さが前提にあるこういう雰囲気の作品は好きだ。 愛情と憎しみ、うそと真実。話のほとんどはうそ発見器の部屋で 進行する。父と子、妻と夫、自分の心の中に抑えこんでいる感情が この部屋でフラッシュバックする。幸せではない人間ばかり。。。 私が思っている真相は本当に正しいのだろうか。 見た人の意見を聞きたいな。 ----------------
ファイトクラブ Fight Club (99年米)
生きているという実感が得られない毎日。 精神的に去勢されていると感じる日常。 管理されている社会につばを吐いてやりたい。。。 素手で戦うことによって荒ぶる心を取り戻せたかに感じたのに。 狂気がそれぞれを支配していったあと、何が生まれるのか。 私には、社会に対する『反社会的行動・反抗』すら別の去勢に すぎないように見えた。管理された日常にいやいやしていた はずなのに、ファイトクラブで結局質問も許されない全体主義に 染まってアーナキーな行動をしている彼ら。 狂気さえも管理されている・・・ 精神の自由を得ること。生の実感を得ること。それは可能なのだろうか・・ ブラッド・ピットってカリスマアナキストの役がすごく似合うねぇ。 12モンキーズの時もはまっているなあと感心した。 ----------------
ウォーゲーム WarGames(83年米)
マシュー・ブロデリックが若い!可愛い!(笑)話もおもしろいし、 ちょっと甘いハッピィエンドだけれど、嫌いじゃない。 冒頭の部分がすごく上手いと思った。 コンピュータ好きの高校生が国防省のサーバーに入ってしまうお話なので、 最近のハッカー騒ぎにふとこの映画が見たくなったのだ。 パスワードを一番上の引き出しの中に貼っている人、いるんだよねえ(笑)。 ----------------
バウンド Bound(96年米)
二人の女優の味がいい。ジェニファー・ティリーの甘ったるいようでいて 実は乾いたハスキーボイスが、役に合っていてぞくぞくした。一方のジーナ・ ガーションの格好いいことといったら! 実によくある筋なのだ。 お金を盗む計画、相手をどこまで信用できるかという緊張、予想していた通りに ならず思わぬ展開になり、ピンチになる。 大掛かりなセットもないし特殊撮影もない。でもホントに面白かった。 小道具も効いているし、ちょっとくせのあるカメラアングルもカットも 映画が好きなんだろうなあと感じるものだった。 そして『俺はおまえをよくわかっているんだ』という男に対して 『いいえ、私はあなたの思っているような女ではないの』と coolにとどめを刺すのが最高。 同性愛にしたのがこの映画の成功のポイントだね。もし相手が男だったら 単にベッドの相手を乗り換えただけのようなうそっぽさがつきまとうが 女性に設定したことによって愛が真剣である真実味が増した。 ----------------
東京フィスト(95年日本)
塚本晋也にいつも感じるもの、鉄やコンクリートや高層ビルなどの 人工物と血の出る肉体の近親相姦のような愛憎。 昔『鉄男』を見てわかったような分からないような、でも忘れられない 疾走感を味わった。見た人でないと分からないと思うが(笑)、 どっどっどっとロックのリズムで走る走る走る。 そして、体を突き刺す鉄。肉を破る鉄。あふれ出る血と鉄。 東京の風景に愛と憎しみを持っている、不思議な映像。 『妖怪ハンター・ヒルコ』ではちょっと違った雰囲気だったけれど 疾走感は変わらない。この映画はけっこう好きなんで何度も見ている。 沢田研二がいい。驚いた顔がすごく好き。竹中直人が恐すぎ(笑)。 そして『東京フィスト』。疲れ切った営業マン、人なんて押しつぶすような 高層アパート。画一的な窓窓窓。。。ボクシングを軸に 肉体を感じたい、生身を感じたいと切れ始める三人。 藤井かほりさんが恐すぎ!女は恐い。 体のあちこちに突き刺すピアス。殴りつづけるこぶし。 あふれかえる血。生きている実感を手にしたいという気持ちが 東京の風景の中で爆発する。 夢物語だったかのような終わり方も嫌いではない。
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