2000年その3


 

ハムナプトラ(1999年米)

原題は「The Mummy」(「ミイラ男」)。これをハムナプトラという題にして
本当によかった。この題なら恋と冒険の物語でも違和感がない。
そう、この映画は意外なほど面白くって、ユーモアもあって、ちょっぴりぞわっとして
基本どおりのお約束設定にも満足できて、超おすすめだ。
 
ヒーローとヒロインが基本的に好感が持てるのがこの映画のいいところ。
エジプト学なら学者顔負けのヒロインは気が強くてしっかり者でいて、
可愛らしくて恋する乙女にもなれる。
ヒーローはけっこう強くて大胆不敵、でも超人的でもなくそこそこな感じで、
インディジョーンズより知性的ではない(笑)。
攻撃力80知力65運100って感じかな?
とぼけた役で頼りないようでいて抜け目無いヒロインの兄がまた良い味だしてる(笑)。
ミイラ男も最強無敵のくせにけっこう”いいもん”に反撃のチャンスを与えてくれる(笑)。
いつもこ狡く立ちまわる裏切り者キャラもうってつけの顔した俳優がやっている(笑)。
 
ホラーとコメディとアドベンチャーロマンスのごった煮なんだけれど、嫌味にならない
ほどほど感はこの監督の上手さなのかもしれない。どうやらThe Mummy 2を作っているようだ。
 
 
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イン・アンド・アウト(97年アメリカ)

私のおきにいりのケビン・クラインの作品。彼のキャラクターにぴったり
なのかもしれない。とても誠実でまじめで、とてもばかげていてクレイジー。
ばかばかしい話のようでいて、実は本質的なものをユーモアにくるんで描いている。
ゲイをとりまく状況をわざとおおげさにワンパターン化してみせながら、
何を大騒ぎしているの?大事なのは彼がゲイであるかどうかじゃなくて
彼がどういう人かでしょ、とやんわりたしなめる。
そのたしなめ方がユーモアがあって優しい。
 
自己啓発テープのシーンと、老婦人たちのおしゃべりシーン、これが
笑える笑える。特にテープのシーンは、、、ぷっぷっぷ。。
 
ケビン・クラインの両親役のふたりがとても良い。
 
 
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女と女と井戸の中(97年オーストラリア)

2人の女のどちらに共感を覚えるか、もしくは分かる(好きなわけじゃ
ないけど・・)って感じるか、で年がわかるよなぁ。
はぁあ、わたしゃもちろん、年上の女性の方(よよよ、、泣)。
わかりすぎて辛い。自分までみじめになってしまう。。
いやらしい井戸。見たくない物が入っている。
うまい映画なのだが、なんか気分が落ち込んでいるときに見るべきじゃなかった。。
ラストは考え様によっては、「風と共に去りぬ」の初老版か・・
 
 
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エマ(96年イギリス)

これまた感想は複雑。英国人はオースティンが好きなんだな。
なんどもTV化や映画化された世界なんだ。
でもって、そのオースティンらしい世界が楽しく美しく繰り広げられる。
適度なユーモアとロマンス。教養があり一見毒舌家のようでいて実は
とても心暖かい年上の彼。自分がその人を愛してることに
なかなか気づかない彼女。ようやく自分の気持に気付いてみると、
もっちろん!彼は「ずっと君を愛していたんだ」と言ってくれるんだ(笑)。
ひやぁあ。これぞ王道なんだよねえ。
 
でも正直いって高得点をあげるほどの映画だとは思えなかった。
イギリス英語をグィネスがちゃんとしゃべってるとか、分からないし・・
 
 
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ライフ・イズ・ビューティフル(97年イタリア)

これは直球一本。ひとつもボールをいれない3球連続のストレート。
だから、成り行きが見えてしまって映画としての良さを少し
無くしているかもしれない。
でも、そんなものを補ってあまりある作者の思いがある。
人生に対する強い信念。愛の力を信じる者がいかに強いか。
愚かな行いにたいする絶望を最後に覗かせるが、(医者とのやりとりの部分は
胸が痛くなる・・)それをも強い非難の目を向けない。
愛だけを信じている。ほんとに涙がボロボロと出てきて止まらなかった。
ボンジョルノ、お姫様!
このセリフにことのほか泣けた。。(ま、いろいろあるんです)
 
 
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完全なる飼育(99年日本)

和田勉監督だとは知らなかった。てっきり竹中直人の監督作品だと思ってた。
完全な愛を求めて、身も心もひとつになるような愛を得るために、
少女をさらい拉致し、飼育する。
奇妙な生活に、非日常の心地よさが混じり出す。
 
新潟の事件がなければこれはこれで面白いと言えるのだけれど、
あの事件があった今となっては、気楽に面白いと言えなくなってしまった。
 
 
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スピーシーズ(95年アメリカ)

ごめん、たいしたことのないSF映画。なんかいやなことがあって
頭をぼーっとさせていたい時には好都合か。
 
 
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エナミー・オブ・アメリカ(98年アメリカ)

言いたいことがストレートすぎて分かりやすすぎるのが難点。
だが盗聴盗視社会は現実のものだろう。衛星から2台の自動車が見分けられる
世の中なのだから。
しかしハイテクの極みとも言うべき追跡に、ひたすら走る走るってのは・・(笑)
なんていうか、予算の少ない映画なのかなぁ、なんて感じがした。
 
悪玉の親分、矛先を自分に向けられるととたんに弱気になるのがちょっと変。
 
 
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聖なる酔っ払いの伝説(88年イタリア・フランス)

・・・・言葉がでない。とても簡単な話なの。でもこれが人生?
重くて悲しくて滑稽で、、。ちょっと沈んでしまいました。
 
橋の下がねぐらの浮浪者が200フランをプレゼントされます。
「返せる時がきたら、セントテレーズの教会に返して」と言われて。。
返そう、返そう、と、思うのに、なにかがずれて返せない。
思わぬお金が他からも舞い込む。
今度こそ返そうと思うのに、またそのお金を使ってしまう。
昔の恋人に再会したり幼なじみに再会したり、新しい恋におちたり、
だまされたり、次々といろいろなことが起こるのですが決してうるさくないです。
それどころか、セリフもあまりない、動きもあまりない映画なのです。
しかしこの映画に出てくるすべての人に、なんともいえない存在感があります。
 
結局人生は神様から借りたお金を返そう返そうとすることなんでしょう。
 
それにしても、『なんて自分はだめな人間なんだ・・』という気分になって
かなりおちこみます。。。
 

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