2000年その5


インサイダー The Insider(99年アメリカ)

まいったね。何がまいったといって、これが実話に基づく話だってことだわ。
正義と信念を信じて行動した者が、数々の嫌がらせ、脅迫、圧力にも屈せずに
最後は勝利をつかむ。。。って感じのお話だから、映画ならではのお話だと
思ったら、これが実話だったとは。。
 
アメリカの底力を感じないわけにはいかない。
 
社会正義を貫こうとする者を、巨大権力や利権が押しつぶそうとする。メディアも
長い物にまかれるの寸法で、うやむやにしようとする。
ところがそのメディアの中でも真剣に支援する者がいるし闘ってくれる者がいる。
 
日本のマスメディアにこれほどの信念があるだろうか・・
 
アル・パチーノとラッセル・クロウが、またいいんだわ。いい組み合わせだった。
爆発するところと抑制するところを互いにバランスをとっているようだった。
ラッセル・クロウはハンサムってほどでもないし、パンフレッドの写真とか見ると
格好良さが伝わりにくいんだけど、映画では引き込まれるほどのオーラがある。
知性的でおだやかな話し方、声が絶品、まなざしは思慮深く少し悲しみをたたえている。
でもうちに秘めた激しさ強さをなぜか感じずにはいられない。
うーーん、かなりやられてしまった・・ほれぼれ・・・
 
ラッセル・クロウの役どころが日本語が堪能との設定なので、彼の日本語が聞けるのだけれど
なぜか英語と違って日本語になると甲高い声(笑)。ここがねぇ、、ちょっとねぇ、、(笑)
  
  
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エヴァー・アフター Ever After(1998年アメリカ)

ウェディングシンガーでドリュー・バリモアが気に入ったので借りました。
彼女の魅力って不思議ですね。
けっして美人じゃないのに人の心をつかんで離さないものがあります。
ウェディングシンガーのときは知的というよりは無垢で素直な娘でしたが
今回の役ではとても頭のよく逆境をみずから切り開いていく
勇気ある娘でした。そしてそのどちらもが彼女だと感じさせます。
どちらも自分の欲するものを分かっているという点において
自分の人生を生きているって感じられるキャラクターなのです。
 
シンデレラストーリーから魔法を取り除いたお話として中世のフランスを
舞台に上手くできていますが、ちょっと疑問を感じる部分もあります。
でも基本はおとぎばなしですからね。
レオナルドダヴィンチが関係していたってところが面白いです。
 
ジプシーから王子を救う場面はおお受け!ここは彼女ならでは、です。
クレア・ディーンズなどがやったら絶対こうは出来なかったはず。
 
 
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スネーク・アイズ Snake Eyes(1998年アメリカ)

ボクシング試合観戦中の国防省長官が狙撃される。犯人は?って
映画だけど、推理してゆく途中までの編集は面白かった。複数の場内
カメラに写った映像や記憶、会話などをうまく組み合わせていた。
でも犯人が観客側に分かってしまってからは、並レベルになってしまった。
 
ゲイリー・シニーズは悪役顔なのか、あまりいい人間の役をやらないね。
配役を見ただけで『きっとこいつが悪の元締めなんだろう』って
思っちゃうよ。
おっと、ニコラス・ケイジが主役だよ。でも、まあ、そこそこ。
 
 
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ミッション・インポシブル2 Mission Imposible 2(2000年アメリカ)

予告編で何度も見ているのに、トムが登場するロッククライミングシーンは
どきどきしてはっとします。この撮影はほんとに凄い。そして、トム・クルーズの顔がまた、
素晴らしいんです。
一緒に観た息子と帰宅後どこが良かった、あそこが良かったと盛り上がったのですが、
息子「あのグランドキャニオンみたいなとこで片手一本になって、
深く息を吐いたやん、そっからぐっと顔をあげた、あそこ、あそこカッコいいし。」
母「ああーー、わかる!わかる!私もあの顔が一番好きー!」
さすが我が同志って感じで遺伝子半分おんなじだぁって思いました(笑)。
 
映画の作りはいかにも、ジョン・ウー監督でした。足技とか必殺キックってハリウッド映画では
あまり見かけないのですが、トム演じるハントの得意技になってました。
途中ブルース・リーのようにアチョーって言ってたみたいだし(笑)。
先端兵器が活躍する一方、なぜか一騎打ち。
さっきまでバンバンピストル撃っていたのに、なんで接近戦?なんで殴り合い?って
突っ込むところはあるのですが、でもさすがのアクションシーンです。
これはもう芸術の域に達してますね。
トムの身のこなしも鍛え上げられている印象で美しかったし、自信に満ちたいい男に
なってますねえ。
 
脚本には文句があるんだけれど、アクション映画を見に行った、と割り切ればいいか。
 
でもぉ。。。ぎょぇー。。
あの王子様が、つい先日見たエバーアフターの王子様が、あんなに悪い奴なんて。
トム・クルーズの敵役で、それはそれは憎たらしい奴でした。ショック(^^;
 
 
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チャリングクロス街 84番地 84 Charing Cross Road(1987年アメリカ)

ニューヨークに住むシナリオライターの女性がイギリス文学本を
イギリスの古書店に注文する。彼女とその店の人々は本のやりとりを介し
20年にも渡って交流が続くが、一度も会うことはなかった。
 
アン・バンクロフトとアンソニー・ホプキンスの演技を見るだけでも
この映画を見る価値がある。しかし、この映画はそれ以上だ。
描く風景、親しい人々との暖かい交わり、時代の流れ、
そのどれもが優しくて苦くて切なくて、心にしみる。
本を愛する人なら、アン・バンクロフト演ずるヘレーネに惹かれずにはいられない。
彼女の人となりがじんと伝わってくるような映画だ。
 
彼女の夫のメル・ブルックスが心をこめて製作総指揮をした、まるでプレゼントのよう。
音羽信子と新藤兼人監督を勝手に連想する私(笑)。
 
この原著(もちろん著者はヘレーネ・ハンフ)も探さなくちゃ。
 
 
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パラサイト(原題 The Faculty 職員室って感じ)(1998年アメリカ)

この邦題だと原題の皮肉がなくなっちゃうのが残念だよね。
先生たちの様子がなんか変だ。。職員室の中で一体何が。。ってとこが恐いような笑える所なのに。
 
 
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100万回のウィンク(原題 Home Fries 家庭崩壊って感じ)(1998年アメリカ)

これもまたクレイジーな家族の部分が売りなのに、ラブラブ系の題に
なってしまった。ドリュー・バルモア見たさに借りたもの。
話はそこそこ、、。でも母親はやっぱ、恐いねー!
 
 
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グッドナイトムーン(原題 stepmom 継母ってこと)(1998年アメリカ)

思っていた話と全然ちがってた。
どういったらいいのか。。困っちゃうね。
出演者の演技はとても素晴らしいのだけれどあまり好きなタイプの話じゃないのよ。
 
バツイチの男を好きになる。男は子供二人をひきとっているが学校の送迎やら
何やかやはすべて別れた母親がやっている。母親と子供はとても愛しあっている。
母親スーザン・サランドンはかなり良く出来た母親なのだ。ここで私の疑問。
「んじゃ、なぜ子供たちは母親と暮らさないの?」
そうなの、金銭的な問題があるとも思えないし、なんでわざわざ父親と暮らしてるんだろ?
 
ジュリア・ロバーツはその男と愛し合っていてふたりは結婚しようと思ってる。
もちろん子供たちはジュリアを嫌ってる。
なんたってスーザンの方が完璧な母親をやるんだもん、勝負にならないよ。
それでもどんなふうにきり抜けて関係を構築してくんだろうと思っていたら、
なんとスーザンは癌で余命短いことがわかる。
なんだなんだ?涙ものになってしまったよ。博愛主義の新しい家族のかたち、、
母も継母もみんなファミリーよ。。
こういう話を好かん私は、ひねくれもの?
 
 
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デューン Dune(1984年アメリカ)

84年の作品であることを鑑みると、SF世界構築をここまで出来たことは
素晴らしいといえる。デビッド・リンチ監督の世界像がハーバートの世界とマッチしている。
衣装、セット、音楽、配役、どれもが違和感なく原作を愛する者を満足させる。
だからこの際原作のあそこが生きていないとか、はしょられてる、とか
終り方がおかしいとか、文句たらたらなのは言わないことにしよう。
しょせん膨大な原作を映画化することには無理があるのだ。
だからその世界が感じられたと思えればよいのだ。
 
砂の惑星、この話はギリシア悲劇、宗教戦争、優生思想、生態系破壊、多重人格
もういろんな読み方ができてしかも愛と冒険とサスペンスがあり、
一度読むとかなりはまること請け合い。
 
映画に話を戻すと、スティングの演技が突き抜けている。カイル・マックラクランも
かなりいい。TV版は3時間強で劇場公開版ではカットされたシーンを入れ、より分かりやすく
なっていてこっちのが良いと思ったが、冒頭の絵がちょっといただけない(笑)。
 
 
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交渉人 The Negotiator(1998年アメリカ)

予想よりずっと面白かった。
negotiator、ネゴシエートって今ではそれほど違和感ない言葉だけれど、はじめて見たとき
訳が全然思い浮かばなかった。たしか、モデム経由でサーバーに接続したとき
ネゴシエートしています、という言葉を初めて見たと思う。なんのことやら
さっぱり分からなかった。そう思うとなつかしい。
 
サミュエル・ジャクソンとケビン・スペイシーが熱演。
真相は一体・・・というスリリングな展開がだれることなく続いた。
 
 
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25年目のキス Never been Kissed(1999年アメリカ)

まったく、、、こうなってああなるって分かっているのに、
泣けて泣けて、、。
よくある筋で、結末まで見えていて、陳腐だという人だっているかもしれない。
 
でも、ドリュー・バルモアにはやられちゃいます。
なんでこうも人を泣かせるのが上手いんだろう。
彼女がやったからこんなに泣けたのかもしれない。
私自身の暗い青春を思い出して(笑)作品世界に入ってしまいました。
 
街を歩いていたらスカウトされた、とか、ミスなになにだった、とか
そういう人には絶対分からないと思うけどツボをついてるんです(^^;;
 
ドリュー・バルモア自身がいつもプロデューサーに名を連ねているのにも
感心。そして、映画の終りのクレジットが良いの。すごくいいのよ。
このあたりのセンスもいいなあ。
 
お勧め!と言いたいところだけれど、こりゃちょっと青春の暗い影を
ひきずっている人じゃないと楽しめないかも(笑)。
 

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