2001年その6


タイタス Titus(1999年イタリア・アメリカ)

これは一体なんという映画なんだろう。。
美しく卑猥で残酷で恐ろしく悲しい、狂気のような映画だ。
シェイクスピアはなんて恐ろしい物語を紡いだのだろう。
 
イメージとしてのローマ帝国。この造形は賛否両論あるのだろうが
わたしはとても好きだ。
ビルのような神殿、バイクの行列、酒池肉林のゲームセンター、
パンクでキッチュな装い、
泥にまみれた兵士、重い鎧、鈍い切っ先の剣に不細工な義手、
どれもこれも、
デカプリオが演じたあの「ロミオとジュリエット」よりもっともっと
不思議空間の、それでいて確かにローマ帝国だった。
 
いや、違う。
これは、どこでもない、どこでもある、時間と空間をこえた、
完璧にまで作られた監督のアート作品に
ほうり込まれたのだ。
シェイクスピアの劇にインスパイアされたこの監督の世界に
映画の冒頭から荒々しく放り込まれたのだ。
 
こんなふうにシェイクスピア劇を表現することを
この監督Julie Taymorはずぅっと願っていたんだろう。
 
とても美しい映像と安っぽいピカピカした映像があって
時に分裂気味にもみえるが、これだけの世界を作ったことを賞賛したい。
 
「コックと泥棒、その妻と愛人」がなんとなく似ているのだが、
グリナウェイ監督の方が完璧主義者で洗練されている。
こちらの方がイッチャッテる感じ?
 
ただ、この手の映画を見るといつも感じるが、すべてが古典調のセリフであっても
字幕では悲しいかないつもと同じの外国映画になってしまうので
シェイクスピア劇の難しさが私には分からないのだ。とほほ。
 
アンソニーホプキンス演じるタイタスが偉大な男から復讐に染まるにつれ
つまらない男になってしまうところが恐ろしいところでもある。
 
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ファイナル・デスティネーション Final Destination (2000年アメリカ)

始まりから途中まではとてもよかったと思う。
緊迫感、むずむずする恐さ。
だが、物語が一転「皆殺しだぁーーー!」調になったとたん、
なんだかなぁ、、になってしまった。
どうあがいても死ぬっきゃない。死神がストーカーのようにつきまとうんじゃ
人間に勝ち目はない。
 
やだな、やだな、やられちゃうんだよ、あの人、、、と思いながら見ているのは
精神衛生上よろしくない。ずばっ!ぐちゅう!系のホラーは苦手だぁ。
 

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ジュラシックパーク3 Jurassic Park 3(2001年アメリカ)

筋はどうでもよくて、これは恐竜世界を楽しむものと割り切って見る映画でしょう。
部分模型とCGを組み合わせているのでしょうが、巻き起こる土埃や振動など
虚構の世界とは思えないテクニックに感心です。というか、もう当たり前のように
この手の映画を見ている自分がいます。
話は単純でむちゃくちゃ、道づれで恐竜に殺されてしまった人が可哀相ですが、
お話としてはしょうがないか。
前作のJP2ロストワールドよりは原点に戻った作品で、よかったんじゃないでしょうか。
 
それにしてもインジェン社?だったっけ、いろんな所で恐竜復元研究所を造っているけど
一体この会社はどうなってるの?作りっぱなしで潰れたの?それともまたどこかで
研究所を続けているの?そのうち地球は恐竜だらけになってしまうわ・・
 
思ったほど映画館が混んでいなかったのが寂しかったです。
 

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ケイゾク/映画版ビューティフルドリーマ(2000年日本)

TVドラマ「ケイゾク」をレンタルビデオで借りてはまってしまい、
映画版も見た次第。
まずTVの方から感想を書くと、
ぶっはっはっは、、とことんおばかドラマなのに、
いったん見出すと止められない。
前半は一見硬派の推理ものに見えて、実はつじつまあわせでいい加減な真相(笑)。
てっきり「迷宮課事件簿」のようなものかと当初は期待し、肩透かしを
くらったが、それもケイゾクワールドへの入り口と割り切ればよいのだ。
後半は一転してサイコキラーもの、しかし「フェイス/オフ」もびっくりの憑依?!
をいをい、それはないだろう、って思うようなことばかり。
それなのに、それなのに
中谷美紀さんと渡部篤郎さんのコンビが絶妙でなんでも許す気になってしまう。
この物語における2人のキャラ設定は実に上手く出来ている。
この2人が核になっているから、鈴木さりなさんや竜雷太さん、泉谷さんなどが
また活きているのだと思う。
最後のシーン、
頭くせぇ、頭くせぇよ・・・
こんなセリフがせつないラブシーンにぴったりするんだからねえ。
(思わず泣きそうになってしまったわ、^o^;;)
 
いやはや音楽と映像の不思議とんでもドラマってところでしょう。
 
で、TVのその後のスペシャルと、映画版を次に借りてしまったわけだが、
映画版はさらに遊んでいる(^o^;
おかしな世界爆発〜。またもや筋なんてどうでもいいっ!という感じ?
柴田ー真山ペアをもう一度見たいという欲求を満足させてくれたら
もういいの。
節操なくなんども死んでは甦り、あれは夢だったの?とやって欲しいわ(笑)。
 
堤監督の作品は他のものも見てみたくなりましたね。
新宿なんとか、っていうのも今度借りてみようっと。
(後日つけたし。新宿じゃなくて、池袋でした、笑)
 
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初恋のきた道 The Road home (1999年中国)

邦題がちょっとロマンチックか?
とにかく主役の少女の可憐なこと。
グリーンデスティニーのわがままお嬢サンの役を先に見てしまったから
余計びっくり。
とにかく、、かわいい!!!!
あまりにも清らかで純粋で、心が洗われるような美しさ!
そして、走る!走る!走る!
これは、グリーンデスティニーでも同様なんだが、なぜか彼女の役は
走る!走る!走る!びっくりするほど走る。
 
たぶん走る距離なら女優ナンバーワンじゃないかな。
必死に走る姿がまた可愛らしい。
 
文化大革命の頃の、辺境の地に咲いた純愛。
一途な愛にこたえる若者もまたなんというか、それなりに良いのだが、
やはり主役は彼女だろう。
あんなに可愛らしい彼女が、この老女ではちょっと、、と思わないでもないが、
時の流れと中国社会の変化を感じさせられた。
昔と変わらないもの、一途な思い、変わり行く中国の中で振りかえりたい何かなのかもしれない。
 
チャンイーモウ監督の作品はこれがはじめて。
みずみずしい美しさとせつなさ、詩のような世界。
そして女性を美しく撮るのがとても上手い。
 

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チャーリーズ・エンジェル Cherlie's Angels (2000年アメリカ)

とくに言うことなし(爆)。
お色気とアクションが適当にまじっておじさま達をうっとりさせる作品ってとこ。
やはりテレビ向きの企画だなあと思わなくもないが、ビデオで見るには悪くない。
 

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アヴァロン Avalon(2001年日本)

押井 守監督の世界。
よくRPGのテレビ宣伝でみるCGとも実写ともつかないそういう映像で、
セピアカラーがとても美しく、とても懐かしい色合いの世界だった。
なぜか皆ポーランド語をしゃべるから、それが私にとって非現実感と重なる。
きっと日本語や英語でしゃべられたら、うそくさくなったのかもしれない。
 
テーマ的にはよくある話だと思う。
この世界は現実か、それとも自分自身がゲームの所産なのか。。
天然色の世界のほうがうそで、セピアカラーの方が本物。
いや、それとも、それもみんなうそで、、と、どこまでいっても本当の世界が
わからない・・
が、、正直言うとそれほど感動しなかった。
どうも、今は本当の現実社会が映画世界を凌駕していて、『一寸先は闇』という気分に
満ちているからじゃないだろうか。。
 

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スコア The Score (2001年アメリカ)

ロバート・デ・ニーロとエドワード・ノートンとマーロン・ブランド
この3人の組み合わせで、恋愛エピソードを抑えて渋い話です。
 
カナダの税関で没収された宝物を地下の金庫からいただく話。
だが脚本にはどうも無理があり、??と思うところがいくつかある。
計画どおりに犯行が進んだとしてもかなり無理がある計画だ。
途中から計画が狂うわけだが、これも定番といえる。
 
デニーロはこれを最後に盗みから引退しようと思っているのだが、
これがねえ、体力・気力の衰えを痛感するのがよくわかるのよ、、およよ。
息切れしている場面なんて本当に切なかったです。
 
エドワード・ノートンは、、うーーん、もうちょっと頭のよいはずなのに、
愚かな役をやらされたって感じ。可哀相なり。
 
「僕には才能がある。」
「成功するのに必要なのは才能じゃない。選択だ。刑務所を見ればそれがよくわかる」
 
これが気に入ったセリフでした。
 

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ショコラ CHOCOLAT(2000年アメリカ)

この監督(ラッセ・ハルストレム)の世界には独特の空気がある。
古い絵画をみているような柔らかで落ちついた光がある。
そして痛みと癒しがあり、風変わりな世界でいながら人生そのものを描く
まさに優れたおとぎ話の世界をつくりあげる力がある。
繊細で知的で暖かい。
うーん、極上のチョコレートというわけだ。
 
主役のジュリエット・ビノシュに限らず、どの役者も素晴らしかった。
そういえばこの監督の作品は役者が光るというか、みな実にいい演技をする。
ジョニー・デップも登場するだけでぐっときたわ(#^o^#
ビター、スウィート、クリーム、ホットチリ、、
チョコレートが象徴する人生のいろいろに、決してスーパーマンではない普通の人々が
ちょっとずつ変化して成長する。
映画なんてそういうパターンさ、うん、そうなのに、そうなのに、こうして
良い映画感動する映画とそれほどじゃない映画があるのはどうしてなんだろう。
 
とにかく、見るべし見るべし。
 
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リトル・ダンサー BILLIY ELLIOT (2000年イギリス)

これはもう、見るべし!見るべし!
だって言葉では表しようがないんだもの。
まずはビリーのダンスを見なくっちゃ。
 
夢、家族、親子、友情、希望、失望、笑わせて泣かせて、
映画館の中は、もう鼻をすする音、音、音(困った事に鼻をかむおじさんまでいた・・)。
 
決してアメリカンドリームのような明るいサクセスストーリーではないし、
炭坑労働者の実情はブラス!などと同様暗く先が見えないのだが、
ブラス!やフルモンティとは異なり未来への希望がこれにはある。
体からわきでるダンスのようにエネルギーが外に向かってほとばしる。
現実はこれほど上手くいかないのかもしれない。でも私達は未来を望むことが
できるのだ。
最後にほんの少し登場するプロダンサー、アダム・クーパーの背中が
それはそれは美しかった・・(白鳥の湖のDVD、買おうかなぁ)
 

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ブリジット・ジョーンズの日記 Bridget Jones's Diary (2001年英・仏・米)

レニー・ゼルウィガー演じるブリジット、出版社に勤める32才独身。
やせたい、美しくなりたい、恋したい、いい男をみつけたいという女の究極の願いを
かなえるべく奮闘する日々。
「彼氏はいないの?」お決まりの世間様にうんざりしながらも愛想笑いをかえし、
ああ、ブリジットは今日も行く。
決して馬鹿じゃない、シニカルに世の中を見つめる目もありながら、なぜか
やることはどじが多いってのもお約束。
それが嫌みにならないのは、彼女の魅力だろう。かしこさと無邪気さが同居している。
どこにでもいる32才のシングルを観客は自分と同化させてみている。
 
しかぁーーし、なんやかんや言っても、これは、もうもうもう!
むっちゃくちゃうらやましいラブストーリーなのだっ!
くそーー、う、う、うらやましすぎ!
 
ヒロインが自分達に近いからこそ、余計うらやましさがつのるぜっ!(^o^;;
 
さて、今年のお正月にNHKが再放送した「自負と偏見」を見てMr.ダーシーに
はまってしまった私は、ブリジット・・を見てまたもやコリン・ファースにやられてしまいました。
というか、原作がそもそも現代版「自負と偏見」なのです。
冒頭のパーティシーンでお互いが悪印象を持ち、間違った情報から誤解したままとなり、
でも誤解がとけて・・・と、恋愛プロットは「自負と偏見」のまんまなんです。
だから”マーク・ダーシー”(名前までダーシー)を演じるのはMr.ダーシーを
演じたコリン・ファース以外いない、と作者も製作者も考えたのでしょう。
さらに共同脚本家のうちのひとりはこの「自負と偏見」の脚本家でした。
ですから、この2作品は私にはまさに重なって見えました。
「自負と偏見」のラストはエリザベスとMr.ダーシーのキスシーンなんですが、
この作品のラストも素敵なキスシーンで、、もう、口開けてみちゃいましたね(爆)。
 

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レニー・ゼルウィガー、「エージェント」を見た時はこれほど存在感のある女優に
なるとは思ってもいませんでした。下手じゃなかったけれどはっきりいって印象薄かったし。
すごいですね、感心しました。
 


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