2002年その1


ゴー・ナウ Go Now (1995イギリス)

イギリス労働者階級のジョーク?下ネタばかりの話、辛らつできつーいジョーク、
これが笑えないんだわ、わたし。
テーマは、純愛。
多発性硬化症になった主人公に変わらぬ愛をそそぐカレンとサッカー仲間たち、
悪くない話だし、お涙ちょうだいものでもない。
でもなんとなくだめだったのは、ロバート・カーライルの良さがよくわからないから。
みーはー心をくすぐらないんだもん。。。(爆)
 
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プリシラ The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert (1994オーストラリア)

98年にレンタルビデオでリメイク版(三人のエンジェル)をみて以来、
見たいと思っていたオリジナルをようやく見ることができました。

あらまぁ、ずっとずっとこっちの方が良いわ!
リメイク版も悪くはなかったし、結構感動したのですが、でもこうやって見比べてみると
違いは歴然。
リメイク版はいかにもハリウッド映画にし上がっていて、愛と勇気があればなんとやら、ハッピィエンドも軽いノリ。一方こちらの方はほろ苦くて大人の味わいです。
とにかくテレンス・スタンプが素晴らしいの一言!
その気品、そのプライド、その孤独、一体全体この女っぷりは、、、俳優って本当にすごいですね。
 
おかまショーのためにオーストラリアの荒野を旅する3人。
それぞれの成長、道中に出会う人々、いい人ばかりじゃないし、傷つくことも沢山ある。
大切な何かを見つけ、少し強くなって、自分の場所を再発見する。。
評判どおりの出来。お勧めの映画です。
 
それにしてもあのガイ・ピアースがフェリシアちゃんなのがびっくり。
「LAコンフィデンシャル」でも「メメント」でもどちらかといえば堅い感じなのに、
このおかまっぷりはどう?
うっとうしいほど陽気な脳みそ空っぽ系お喋りで、、、これまた俳優ってすごいわ。
 
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サイダーハウスルール The Cider House Rules (1999アメリカ)

映画はとても美しく出演者たちの演技も素晴らしい。
ジョン・アービングの原作を知らないから、こういう話なのかどうか分からないけど、
社会のルール、個人のルール、人としてのルール、様々な決まりをめぐる話を横軸に、
父と息子の愛を縦軸にしている。父と息子といっても本当の親子じゃなくて
孤児院の院長先生と主人公のことだが、そこに流れるものは父子の愛情だ。
 
孤児院で育ち、孤児院の中しか知らないホーマーだが、大変愛され保護されている。
しかし彼には自分の未来像が見えない。というか、すべて人に定められた人生に思える、
院長先生の持つルールとはどこか噛み合わないものを感じている。
衝動的に孤児院を飛び出す決意をする。
自分のルールを見つけに。
 
トビー・マグワイアは上手い!だけど、、にやけ顔がもうちっと締ればもっと良いのになぁ。
ナイーブでイノセント、はっとする強さ、ハンサムとは言えないけど、そうだなぁ、
第2のトム・ハンクスって感じかなぁ。
 
中絶が大きなテーマなのだが、ホーマーがキャンディと愛し合ってしまうシーンが
実は私は一番怖かった。どう考えても避妊をしているシチュエーションじゃなかったし、
これで妊娠なんかしたらもうブラックだぁぁ、、とこの後の展開をはらはらして見てしまった。
作者はそこまでブラックではなかった。
でもホーマー君、きみは中絶にあれほど反対しているのに、安易に激情に駆られるなよー!(^-^;;
 
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ザ・セル The Cell(2000年アメリカ・ドイツ)

予告編で見た透明な箱に閉じ込められたジェニファーロペスが印象的だったのに、
このシーンはあれだけ?!という予想外な展開(笑)。
 
映像センスが独特で、色彩と構図、光と影、不思議な遠近感、あまり詳しくないけれど
現代絵画を見ているようです。特に冒頭の砂漠は魅力的なんですが、後半になるに
したがってイメージの力が落ちてくる。最後の桜は、もうトホホ。
 
人の頭の中に入れる装置って奴で、ジェニファー・ロペスが心理療法を行うのだが、
この装置が摩訶不思議。
なぜに筋肉スーツが必要なのか。。
で、シナプス接続は顔に布をのせるだけ??
つっこみどころ満載(笑)。
 
でも嫌いじゃないな、こういう不思議空間を作ろうという気持が伝わってくるのは。
最後の桜さえなかったら(まだ言うか、笑)。
 
連続女性殺害犯をようやくつかまえたと思ったら昏睡状態になっていた。
まだ生きていると思われる女性の監禁場所をつきとめたい。
タイムリミットは40時間。
ジェニファー・ロペスが犯人とシナプス接続して彼の心の中にはいる。
シリアルキラーの心の中とは一体。。。
 
ヒエロニムス・ボスやベーコン、ダリなどを連想した。
初めてノルウェイの画家ODD NERDRUMのことも知った。
絵画に詳しい人ならきっと沢山の「元になった絵」が分かるのだろう。
腸まきとりシーンには絶句。
 

それを言っちゃおしめーよ、だけれど、FBIは一体捜査をしてるのかいな?
もうちょっと調べろよって言いたいわ(^o^;;
 
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地獄の黙示録・特別完全版 Apocalypse Now Redux (2001年アメリカ)

1979年の映画だ。CGが使われていない時代なのだ。途方もない映画だ・・
最近はどんな映像にも驚かなくなっているが、この映像は圧倒する迫力だった。
これをみて生の映像のもつ空気を感じた。
 
話はもっと難解かと思ったら、とても素直な話だった。
ずっと前にオリジナルをみたはずで、やや退屈した気がしたのだが、
今回は「え?もう3時間半?」と思ったほど。
 
これを見て改めて思ったのだが、近代国家が誕生した瞬間から、
戦争は「欺まん」でしか無いのではないだろうか。
戦争は超法規な存在である。
裁くのは勝利した方であり、正義など存在しない。
人殺しとの違いを明確に出来る人などいやしない。
そうみんな思っている。
頼るのは自分側の論理でしかない。
 
戦争という名の欺まん、国という名の欺まん、
欺まんの糾弾にこれほどの情熱を捧げることが、もう新鮮で初々しいとも思えるほど
現代人はひねてしまったのかもしれない。
 

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ワンダー・ボーイズ Wonder boys (2000年)

マイケル・ダグラスがとっても良いです!
こんな渋い感じになっていたのか、、物欲、性欲の強いキャラって感じで以前はあまり
好きじゃなかったのですが、この作品の彼はとてもしみじみとしていました。
 
マイケル・ダグラスは小説家兼大学教授だ。作家といっても書いたのは一作だけ。
すばらしい作品を世に出したが、それから7年たった今も2作目は完成していない。
書けないというのではない、ただ結末が見えずやめられずに膨大な量となっているのだ。
だらだらと美しい文章も不要な文章もいっしょくたに綴られている。
それは彼の人生でも同じで、何か目的を失ってしまっているのだ。
 
毎年恒例のワードフェスタが大学で開かれた数日間、教え子のトビー・マグワイヤや
編集者ロバート・ダウニー・ジュニア、学長のええっと(フィーゴで妊婦警官を演じた彼女)など
彼を巻き込んでさまざまなことが起こり、そして人生は大きく変化する。
 
雪のふりつもるピッツバーグで起こる心温まる物語。
 
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トラフィック Traffic(1971年フランス)

タチ監督のファンの方、すみません!間違えたんです(爆)
 
ソダーバーグ監督のトラフィックを見たいと思っていて、そのつもりで借りたのでした。
でもすぐに変だとわかりました(そりゃそうだ、英語じゃないんだもん、笑)
こちらの方が古いわけで、映画通の人にとってはこっちが本家なんでしょうね。
 
しかし申し訳ないのですが、この手の過剰な笑いはすごく苦手なんでした。
あらゆるところに馬鹿馬鹿しさを詰め込む、このエネルギーに参ってしまうんです。
さらっと流れる場面が無いんだもんなあ。
 
愛犬そっくりのモップがあって、タイヤの下にそのモップが・・
車で轢いてしまったと思って泣くマリア。
ユロ氏が「犬じゃないって、モップだって」と持ち上げるがまともに見ようとしない。
ほら、モップだって、、と踏んでみる。ウエーン。
ちゃうって、ほら、モップだって、と靴底をなすりつける。ウエーーン。
ちゃうって、ちゃうって、ほら、モップだって、と裏返して。ウエーーーン。
ちゃうって、、と、こういうようなパターンを十回以上繰り返す感じなんです。
 
でもこの監督、普通の人じゃないって事はよくわかりました。
(いや、この執拗なほどの笑いの追及はホント普通じゃないんですが)
無声映画ののりで、びっくりするほどスタイリッシュ。色彩のセンスも良いし、
人や車の動きも計算されている。リズムがある。とことんおしゃれなのです。
マリアの衣装ときたら凄すぎ!
元気な時に見る映画じゃないかな。疲れている時には集中力が続かないかも。
 
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イギリスから来た男 The Limey (1999年アメリカ)

うーーん、渋い!!
テレンス・スタンプ、かっこよすぎよ。
 
これはちゃんとソダーバーグ監督作品です(笑)。
 
Limeyなんて単語、今日まで知らなかったわ。英国人って意味なのね。そのまんまやん!
独特の編集で、いろいろな場面を時間軸とは別に挿入していて、流れるセリフと画面が
違っているので戸惑うが、慣れると悪くない。濃密な時間という感覚になる。
すべては帰りの飛行機の中でロスでの出来事を思い出しているテレンス・スタンプの意識の
流れであり、逆につなぎ合わせの映像がリアリティを持つから不思議だ。
テレンス・スタンプの若い頃の出演映画の場面をうまくつなぎ合わせて
過去を回想するシーンとしているのも、リアリティを生んでいる。
 
刑務所を出所した男が娘の事故死の真相を求め、イギリスからアメリカに渡り、
その原因だと思われた男をようやく追い詰めたとき、
娘を死に追いやったのは、、そう、、自分の生き方だったと知る・・・
 

この手の映画で困るのは(いつもの事なんですが)、英国人とアメリカ人のアクセントの違いが
重要なのにそれが私にはちっとも伝わらないってことですね(爆!)
海外のシネマ感想サイトを見ると、テレンス・スタンプの英国人なまりには
文句続出。どうもすごく大げさにやっているようで、「自分はイギリス人だが
あんな英国語を話す人はいないよっ」って感じらしい。
変な関西弁を聞かされて文句いいたくなるようなもんか。
 

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カルテット (2000年日本)

あまり期待しないで借りたのですが、結構いけました。
 
もちろん、くっさー!と思う演出部分が多々ありました。
久石譲第一回監督作品というわけでして、こんなところでピカッ!ドドーン!
わざとらしい雷鳴なんていまどきパロディじゃなきゃやらないよっ、とか、
をいをい、おひょいさんに説明させるの、無理やりだなぁとか、
別のコンサート会場からなんで走るんかいな?とか、
特に後半はもっと大胆に編集したほうがいいと感じる部分がありました。
 
それでも十分に堪能できました。
なにがよかったって、演奏シーンが凡百のドラマとは違って
かなりの出来なんです。ヴァイオリンをちゃんとやっている人にはきっと不満も
あるでしょうが、私から見たら、全然違和感無し!!
これほどまでに袴田君がちゃんとやるとは、、、
 
袴田くん、君はフットサルだけじゃないんだ!見直したよー!
 
これも一言でいっちゃえばよくあるドラマなんでしょう。
苦い挫折、再挑戦、過去との決別、自己発見。
でも音楽への情熱が一本のしっかりした軸になっていて、それを損なわない演奏シーンと
BGM(久石作品のオンパレード)によってすがすがしい青春ドラマになっていました。
 
ただ、そういっちゃ悪いですが、久石さんは音楽抜きの監督は
なさらないと思いますが、もしその気がちょっとでもあるなら、
おやめになったほうがよいと思いました・・
 

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タイタンズを忘れない Remember the Titans (2000年アメリカ)

黒人差別が強く残るバージニアのある地方で、ハイスクールの統合が行われた。
そしてアメフトチームのヘッドコーチとして黒人のコーチが招聘される。
反目するチームメイト、敵意をつのらせる街の住民、
これまでの白人ヘッドコーチはアシスタントコーチとして残ることに
 
そう、見え見えの筋なんですが、悪くないんですよ。
 
まずデンゼル・ワシントンが立派で格好よすぎです。
彼はもういるだけで立派すぎて、下っぱの役なんて出来ないわね。
100%完璧というのではない部分もにじませつつ、すばらしいカリスマ性を出してました。
差別とはなんだ、人種とはなんだ、というお説教がテーマなのに
ちゃんとエンターテイメントになっていて面白い。
 
キャプテンがいいんです!ほんと、猿顔なのに格好よく見えました(笑)。
 


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