2002年その5


パニック・ルーム Panic Room (2002)

あまりにひどい竜頭蛇尾映画。
期待したぶんだけ肩透かしを食らった気分なり。
 
前半と後半が、違いすぎる。
導入部分のあの緊迫感は一体どこへ行ってしまったのか・・・・
筋もまったく納得できない。論理の破綻があるし、主人公の行動も
むちゃくちゃだ。
映像を楽しむんだ! と割り切らないと最後まで見れない。
この脚本を気に入ったと言ったらしいジョディ・フォスターが許せないわ。。。
 
話は、大金持ちの夫に若い愛人ができ、娘を連れて離婚したジョディフォスターが
家探しをしているところから始まる。
金融界の大物の改築した家はかなりの高額だったが、夫への腹いせから買うことにする。
その引越しした一夜目に、こそ泥がしのびこむ。
しかし、この家は完璧なセキュリティシステムを装備したパニックルームと呼ばれる
隠れ部屋があるのだ。そこに逃げ込む母子。
しのびこんだのは、亡くなった元の住人(金融界の大物)の甥と、パニックルームの
工事を担当した者と、なぞの覆面男。
遺産の一部がまだパニックルームに隠されたままだというので、
それを奪いにきたわけだ。
 
ここからネタバレ。改行10こ
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前半は、大変緊迫感があった。
謎の覆面野郎の正体もわからないし、やばそうな野郎だから
はらはらもするし、他の目的もあるのかもしれない、と思った。
 
と、ところがぁぁぁ〜
 
覆面男はただのいっちゃってる野郎、ってだけだった。
しかもかなり最低の間抜けだ。バカなんだ、これが。
 
そして娘と賊がパニックルーム、ジョディ・フォスターと元夫が
家の中、という状況になってからの後半が最悪としか言いようがない。
 
せっかく様子を見に来た警官をジョディ・フォスターが玄関で
断ったあの時点で私は理解することを諦めた。まったく納得できない。
パニックルームからは映像は見えても音声が伝わらないのは、
彼女はわかっていたはず。前半にそういうシーンが何度もあった。
だから賊がいて娘を人質に取られていることを口で警官に
伝える事は十分にできた。
それなのに、まるですぐ後ろに賊がいるかのごとくに振舞った。
 
しかも、監視カメラで賊から監視されているからこそ、
警官を追い払ったはずなのに、そのあと監視カメラを壊す暴挙。
暴挙といわずして何と言う?!
わたしが賊なら、っていうか、普通の賊なら、
「カメラを壊すなら娘を殺す」とでも言うはずだ。
賊がとたんにまぬけになってしまった。
これでは家の中に警官を呼んだのかどうか賊からは分からないではないか。
 
ジョディも頭が変だ。カメラを壊すつもりなら、警官に
「後からカメラを壊すから、それから中に入ってきて」と
頼めばよかったのだ。
瀕死の夫がいるのだから、カメラを壊してから夫を病院に運んでもらい
夫の代わりに警官を夫の上着でも着させてころがしておけば
よかったのだ。
 
警官の助けはことわるは、カメラは壊すは、瀕死の夫には
無理やり銃を持たすは、では、もう、なにがなにやら。。
ジョディは「ダイハード」のまねをしたかった、
ついでに自分を離婚した夫には死んでもらいたかった、
 
って話かい?!
 
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ペイパーバック・ヒーロー Paperback Hero (1999年 オーストラリア)

Claudia Karvan(ルビィ) というヒロインとHugh Jackman(ジャック) というヒーローの、
どこからどこまでもハーレクインって感じのロマンチック映画。
 
楽しくてちょっぴり胸が痛くてどきどきして、、とってもお得な作品でした。
これが見たくて、あわててスカパー!の260chに加入したわけですが、
加入した甲斐がありました(笑)。
 
いまや日本映画もアメリカ映画もこんなに素直で赤面するようなロマンチック映画を
つくらないんじゃない?
ところが意外と観客はたまにはこういうロマンチック映画を見たいのよ。
だっていつだって「カサブランカ」や「風とともに去りぬ」をみてうるうるするんですもの。
 
ジャックは、長距離トラックのドライバーで、いやはや、オーストラリアって広いのなんのって、
日本では考えられないほど、なんにもない大地を延々走ってる。
体中から男性の匂いをぷんぷんさせているような、ハンサムで陽気でちょっとワイルドで、
でもって、ものすごい田舎のドライブインをやっているルビィのこと、子供扱いしてからかうのよ。
ルビィは男まさりのお転婆で、羊卸業をしているおとなしいハーミッシュともうすぐ結婚する予定なの。
 
実はジャックはこっそりとロマンス小説なんぞを書いてたんだけど、これが
ベストセラーになってしまったわけ。
ただ、ジャックは作者の名前を自分じゃなくて勝手にルビィにしていたの。
男がロマンス小説を書くなんてバレると恥ずかしいから。
でベストセラーになったので編集者が作者に会いに来る、、というところから話は動き出して、
ルビィは本なんて全然読まないタイプなんだけど、ジャックが書いた本の原稿を
シドニーに向かう途中、読むはめになり、、
「あら、この彼女、わたしに似てるわ」「あらやだ、これってわたしの口癖よ」
 
普段はうすぎたない格好のトラック野郎ジャック、タンクトップにショートパンツのお転婆ルビィが
パーティ用にドレスアップしたお互いをみて、、、。
 
見え見えの筋なのにとてもわくわくするんです、これが。
ってことは、役者がいいのかな?
そうね、きっとそうなのよ。ヒロインとヒーローが程よくセクシーで程よくユーモアがあって、
品がよいの。
 
ヒュー・ジャックマンってXメンのもみあげ君よね?全然イメージが違うっ。
すっごく素敵だったから、彼の出演した映画を見てみようという気になりました〜(笑)。
 

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スパイダーマン Spider-Man ( 2002 アメリカ)

売れなきゃ困るというプレッシャーがあったと思うが、その点はちゃんとクリアしているだろう。
でも、なんとなく中途半端な消化不良感が残った。
NYの爆弾テロの影響でか、ドンパチと派手にビルを壊しながら闘うことができず、
両者ともすごい力の持ち主なのに、一対一の素手で戦う、いつもの日本の特撮ヒーローTV番組に
毛が生えたようなものになってしまった。
 
しかも、コミックスがそうなのか、とってもベタな背景である。
隣のねーちゃんは、ヒーローがずっと片思いのねーちゃんだが、
アメリカの高校生ってあんなにふけたねーちゃんなの?けばいぞぉ。
飲んだくれの父親、尻軽な母親、リストラされた叔父、頭の中からっぽのアメフトヒーロー。
労働者階級の辛い生活感とは対照的にリッチなお宅の度派手なリッチ感。
なんちゅう城みたいな家に住んでるんだ。
軍事産業の大企業っていうのに、たったふたりでこそっと実験しちゃうのかよぉ。
 
蜘蛛にかまれただけで、なにゆえ、遺伝子変化までおきるんだァァ。
それを言うなら煙すっただけで、なんでスーパー人間なんだぁぁ。
つっこみどころ満載のお手軽感が、いかにもアメリカンコミックスか。
 
しかし、人間関係は、これがまた、どろどろ。
親の因果が子に報い、復讐の予感ばりばり。
突如暗い話になり、まるで日本版「スパイダーマン」。
 
そう、日本版「スパイダーマン」は、わたしが子供のころ、池上遼一の漫画で、
サンデーかマガジンかで連載されていた。(それって大昔?!)
ちゃんと筋を覚えていないが、スパイダーマンはやたら孤独で暗い悩める奴だった。
池上遼一の絵柄は、本当に暗かった(いまでも暗いよね?)
とても画力があり、ハンサムな主人公を描くのだけれど、なんかやたら寂しく不幸せな顔なんだ。
 
だから、今回の本家スパイダーマンが、ビルからビルへ、スピューン、スピューン、と
飛び回るシーンとどろどろ人間関係とは、違和感あり(笑)。
(それにしてもスパイダーマンはビルの立ち並ぶ都会でしか活躍できないネ)
 
スパイダーマンが闘うのは、地球規模の悪というより、マッドサイエンティストで、
実は知り合い、そう、親友の父。
スパイダーマンが守るのは、片思いの彼女で、いまは親友の彼女。
うへ、どろどろ。。
ちょっと貧乏臭い、とってもローカル、とっても個人的なヒーローなんだな。
 
で、何が可哀想って、この親友(ハリー)が一番かわいそうなのよ。
父親は自分よりもピーター(スパイダーマン)を気に入ってるみたいだし、
でその父親はスパイダーマンに殺されちゃうし
けばい彼女もピーターの事を愛してるなんて言ってるし、、、
どうする、ハリー?マッドサイエンティストを引き継ぐのか?スパイダーマンに復讐するのか?
パート2もこのどろどろ路線をひきつぐのか・・・?
 
さて、映画から離れて(?)
心のうちをあまり人にみせない少し遠い人で、かつ、おだやかで正義感にあふれる人、
これはトビー・マグワイアにぴったり。
彼は本当に上手いわ。
体も小柄で顔を中より上、くらいなのに、あの存在感。
そしてあの目。あんなに青い目とは知らなかった・・・・澄んだ大きな瞳。
素晴らしい演技力と努力なのね、あのマッチョな肉体(笑)。
 
ただ、トビーがスパイダーマン、という時点で、もうなんていうか、静かな痛みが
映画に存在するんだよね。
痛快アクション、すっきり爽やか、よりも、心の痛みが勝(まさ)ってしまう、が、
監督の狙いどおりすぎ?
 
ウィレム・デフォー
怪演なり。思い切り楽しんでやってるんだろう。
マッドで漫画チックな悪役キャラをそれなりに見るべきものにしたと言える。
 

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ボーイズライフ This Boy's Life (1993 アメリカ)

この映画の感想は、、、、、感情の嵐!嵐!嵐!
 
ぎー!もう、いやっ!なんて嫌な奴なの!あったまくる!ぐぐぅ(歯ぎしりの音)
 
そうなの、デカプリオ君がうますぎて、デニーロがうますぎて、
あったまにくるのよ。思う壺なんでしょうね、監督からしたら。
見終わったあとの、わたしの気分は最低。むかむかむかむかと、映画の中の
デニーロを憎んで憎んで、デカプリオ君とおかあさんのニューライフを喜ぶよりも何よりも
デニーロの顔を思い浮かべるだけで腹がたって。。。(笑)
 
とても考えさせられる映画でしたが、口で説明できないほど、感情を逆なでされて、
自分自身が理不尽な抑圧を受けた気になってしまって、とても疲れてしまいました。
ほんとうにレオナルド・デカプリオとロバート・デニーロが上手すぎました。まいったな。
いくら天使のように美しいデカプリオ君が見れるとしても、
しばらくは頼まれても見たくない映画。。って気がしました。
けなしているわけじゃありません。見る価値ある映画ですが、
男性観客と女性観客では感想が違うんじゃないかな。
あの、傲慢で暴力的で愚かな「父性」「男性優位性」は、胸かきまわす辛さでした。
 

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少林サッカー SHAOLIN SOCCER/少林足球 (2001 香港)

うはっはっはー!理屈なしのばかばかしさ。
いいよね、こういうのもアリだよね。
B級映画ならではの面白さでした。
チャウシンチーは、日本では某作家のペンネームで逆に知られたくらいですが、
元はといえば、某作家がチャウシンチー(周星馳)のファンで名前をもじって
自分のペンネームにしたというのにね。
 
サッカーは爆爆シーン満載。
あんな無鉄砲なカウンター攻撃でいいのかっ
ディフェンスは何をやってるんだっ
キーパーが手で投げたボールはゴールとして認められるのか?
 
饅頭売りの少女、ヴィッキー・チャオがものすごくかわいらしかったですね。
あの太極拳の饅頭生地つくり。
しょっぱくなるほどの涙。
アップリケつきのスニーカー。
ベタなのに、なんだか、許せるかわいらしさでしたね。
 

 

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