1999-4  
1999年その4

ラッシュ・アワー RUSH HOUR(98年米)

とてもおもしろかったです。ジャッキーはえらいね!まともな作品で
自分の持ち味だしてちゃんと向こうで勝負している。
ジャッキー・チェンとクリス・タッカー。
定番の白(黄色?)黒コンビの警官もの。一方がたいてい型破りで
署の困り者。基本的によくあるタイプの作品なんだけれど、でも随所に見られる
体をはったアクションはやっぱり楽しい。
きっと私が東洋人だから、よけい胸がすくんだろう。
へーんだ!ざまあみろ!東洋人をばかにするなあ!って気持ちが
どこかにあるんだと思う。
でも、東洋人の味方ってわけにはいかず、話の中でけっこう東洋人を
おちょくって笑いをとるシーンがあるんだよねえ。
 
クリス・タッカーは超うるさい(笑)。
まあ、よくしゃべる。でも、そのうち気にならなくなってきて
最後にはあの声が全然いやじゃなくなった(笑)。
 
 
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CUBE(97年カナダ)

こわかった。。予想のつく迷宮ものなのに、予想を超える重苦しさ。
CUBEの色、触感、音、どれもが妙に神経に刺さる。
予想通りに本性が剥き出しになって諍いがおこり、人が死ぬ。
予想通りの人間が予想通りの行動に出る。
それなのに、なぜこうも圧倒されたのか。
そこここに不条理な味があって、映像自体が監視している目のようで
生きる事死ぬ事の不条理で情け容赦ない選択がいやらしいCUBEに
凝縮されているような気持ちになるからか。
セットもほとんど要らないし、低予算で作った映画だということは
聞いていたが、才能さえあればこんなに面白いものを作る事ができるんだと
感心した。
 
 
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マトリックス The Matrix(99年米)

面白かった。
まず、作り手が映画を愛していると、見ているものに感じさせるところが好きだ。
そして、CG映像に慣らされた目には新鮮なワイヤーアクションが
とても爽快だった。
 
男たちの挽歌のユンファ、と、燃えよドラゴンのブルース・リー、
それに押井の攻殻機動隊、、なじみのものが交じり合い、どこかおたく的で
ありながら、派手なハリウッド的味もあり、うまくまとまっている。
 
キアヌ・リーブスが役にはまっているのは、彼がなんとなく表情に乏しいからだ。
東洋風の顔だちが、何を考えているのか、思っているのかをわかりにくくさせている。
そこが、彼のぱっとしない点でもあり、また、こういう映画にははまる長所でもある。
黒のいでたちのなんと格好良いこと。
彼の表情のなさが、かえって精神性の高さのように見えてくる。
 
またキアヌにはどこか鈍重に見えるめりはりのなさがあるのだが、
今回アニメ的なアクションを彼に課したことで、マンガに見られるような
めりはりを手にしている。つまり、超人的な動きと普段の彼の動きがコマ割りのように
調和して、めりはりを生んでいる。そう、キアヌにはアニメ的な役が合う。
意外なほど現実感が漂う。
スーパーサイヤ人でいうと、悟空や悟飯というよりトランクスだ。
静と動の対比が際立つ感じ(なんのこっちゃ?!)
 
あの未来世界のコンピュータは銀河鉄道999のマザーをもっとエグく
させた映像で、一見似ているのだけれど、命の火という抽象的なものではなく、
”電気”をとるために人間を栽培するという発想が、強烈に西洋だと感じた。
 
 
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 2 Wong Fei-hung ji yi: Naam yi dong ji keung (92年香港)

寒いギャグ!ちょっとしみじみ。ばったばったとなぎ倒すものすごい強さ!
息詰まる決闘シーン。恋する男女。。ははは、なんでもあり!
でも底に流れる正義感がすがすがしくてうれしい。いまどきこんな映画を作るのは
香港だけと笑われるかもしれないけれど、ほんとはみんなこういう正義感あふれる
主人公の活躍ってきらいじゃないんじゃないかな?(私が単純なだけ?笑)
 
主人公の役者の名前がでない。。(後日付け加え、ジェット・リーだよ!!)が、
彼のカンフーがもう見事で見事で・・
いくら特撮がまじっているとしてもあれだけの動きと切れは、すばらしいの一言!
辮髪と、あの鼻の穴さえなければ、もっと素敵なんだけどなあ。。(笑)
 
どうして急にこんなビデオを借りたかっていうと、単純!そのもの。
マトリックスの武術指導した人が関わっているから。
戦いのシーンのアイディアにはもう感心する。ほんと、こういうの考えられるの
香港だけだと思うなあ。一体誰が机を4つも重ねた上で戦うんだ?!(笑)
最後の決闘シーンは黒澤の「用心棒」を思い出した。絶対意識してると
思うんだが。。
濃い顔で、あまり好きじゃなかったロザムンド・クワンが、濃い顔を活かして
なかなかいい役をやっていてかわいらしい。
 
 
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恋愛小説家 As Good as It Gets(97年米)

もう、たくさん、泣いた、笑った。主人公は極端な強迫神経症だけれど、
彼の行動や心の揺れは、誰もが経験したことのあるものばかりだ。
神経症のジャック・ニコルソンが、好きになってしまう行きつけのレストランの
ウエートレス、ヘレン・ハントも、また実に好い。
ストレートに気持ちを表す、あの雰囲気。励まされる笑顔。でも彼女も
自分の人生を嘆きたくなったり孤独だと感じる時がある。そんな二人が
気持ちを添わせて行く様子は、あがったりさがったり。ついさっき、
最高の瞬間だったのに、一気に最低の状態になって落ち込んだり。
恋愛の王道なんだなあ。。
 
傲慢な態度、無礼な態度と、中に潜んでいるあまりにも優しい気持ち、
こういうのをやったら、もうニコルソンにかなう人はいないわ。
ニコルソン最高。。。あんな誉め言葉を言われたら何を失ってもいいなあ。。
 
脚本は、まったく無駄がない。へちゃむくれの子犬のエピソードから
彼の人となりがよくわかるし、ラストの部分なんて、うれし泣きをしてしまう
くらい絶妙。。こうくるだろうって思っていたのにやっぱり泣けてしまった。
 
恋愛というより人生の再出発についての映画なんだね。
そして、それを見つめる目がとても優しいんだよね。
 
 
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Wolf(94年米)

あらまあ。私の好きなジェイムス・スペーダー様も出演していると分かった時に
いやな予感がした。まずい。こうなってこうしてこうなりそうだ。と思った通り、
見たくないものを見てしまったー。ニコルソンとスペーダーがあの格好で
撮影したかと思うと、う、う、う、泣ける。しかしニコルソンは変身しなくても
むっちゃ狼顔だよ。スペーダー様は悪役しかこの頃見ない(悲)。クールビューティ
だから、ほんとに悪人面。はまるから余計に悲しい。くすん。
 
 
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スライディング・ドア  Sliding Doors (98年米)

もしもあの時、こうなっていたら、、
扉の閉まる寸前に地下鉄に飛び乗った主人公と乗り損なった主人公、
運命は変わってしまうけれど、どうなんだろう、本当にまるっきり
変わってしまったんだろうか?
先のことなど誰もわからないし、幸せになる予感は意外と色々な所に
あったりする。
まあ、そこそこの映画だったが、それほど感動なし。
グィネス・パルトローは、ブルジョア社会のほうが際立つ。
ハンバーガーショップの店員だと品の良さがじゃまになるし、貧相になってしまう。
 
イギリス人ってほんとに辛辣ジョーク、モンティパイソンが好きなのね。
 
 
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白いドレスの女 Body Heat (81年米)

悪女にたぶらかされる弁護士。むし暑い夏の夜。肌にすいつく白いドレス。
建物も雰囲気も脇役もいづれも悪くないのに、のりきれなかったのは
キャサリン・ターナーにおぼれる男性心理がいまいち分からないからだ。
彼女にだまされるなら本望だ、というほどの上玉?
こういうのは女だと全くわからない。
 
 
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ドライ・クリーニング Nettoyage sec (97年仏)

フランス映画。美青年を愛してしまうドライクリーニングを営む夫婦の話。
 
人の汚れ物を一生洗いつづけるのかと、ふと思ってしまうと、
急に毎日が息苦しく、輝きはどこかにあるはずという気持ちに襲われる。
偶然知り合った美青年に心を奪われたのは妻だけではなかった。
夫のほうの気持ちの高まりが爆発したときに、劇もまた幕を閉じる。
床の血をこすり必死にふき取る妻、汚れたものを一生洗いつづける人生を
歩むしかないということなの?
 
 
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トゥルーマン・ショー The Truman Show(98年米)

前評判でどういう映画が分かっているのに見ごたえがあって満足。
ジム・キャリーの持ち味が発揮されている。普通人なのにTVの人気者になっても
違和感ないキャラクターと、ナイーブな内面の様子がしっくり合っていた。
 
クリエイターの自負も苦悩も超えて、大衆は次のおもしろいものにあっさりと移ってゆく。
マスメディアが大衆をのせているのか、大衆がマスメディアをのせているのか。
 
 

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