スペクタクル・ミュージカル「十戒」&その前日 <無謀な多忙>
年甲斐もなく、徹夜の土曜日のあとに日曜のマチネをみた記録。
年甲斐もなく、どころか、どー考えても受験生の母親がやるような事じゃないね(爆)。

ガエル・ガルシア主演映画3本連続の荒業は、正直、きつかった〜。
「アモーレス・ペロス」「天国の口、終りの楽園」「モーターサイクル・ダイアリーズ」
ひとつひとつの映画は大好きなものばかりだが、いずれも劣らぬ力作ばかりで
脳みそ緊張しっぱなし。
しかし緊張を緩めると、あっというまにみなみ会館の心地よい椅子の誘惑が待っている。
わたし、途中で記憶の途切れたトコ、あるんですよねぇ。しくしく。

ちなみに客席(定員160)は3分の2は埋まっていた。
客層は、大学生ぐらい?20代女性カップルが一番多くて、わたしより年上と
思える(いや、向こうもそう思ってるかもしれないが 笑)女性が一人。
30代男性もちらほら。

さて、夜10時に家を出て、映画館に向かい、朝6時半に映画終了。
当初、京都駅ビル地下のお風呂に入ってから、ぶらぶらして、そのまま大阪に
向かおうと思っていたので、入浴セットや着替えを持参していたのだが、
寒々として人通りの無い道路に出た途端、萎えてしまい、いったん帰宅。
10時半に再び家を出発。
「行くの止めようかなぁ」と何度も思ってしまったが、死ぬなら前を向いて、
と、思ったか思わなかったか、いや、1万円を越えるチケット代が勿体なかっただけ?

大阪城ホールはほぼ満席。
わたしの席はアリーナの前から4列目で、ど真ん中の通路にすぐ出られる端の席。
とても良席だ。
これなら次回もダイレクトメールで先行予約する気が起きるというものだ。
女性同士か、夫婦という組み合わせがほとんどのなか、超めずらしく、
わたしの隣は30代後半の男性一人だった。開幕まで誰かを探しているかのように
立ち上がってきょろきょろしていたが、謎だ・・
イケメンだったら超ラッキー!だったのだが、残念ながらごくフツー。
(はっはっは、向こうもそう思ってるってば)

TVでのミュージカル宣伝番組(白井晃氏が出たもの)を見たり、ネットで
調べたりして、一応前知識をつけておいたが、
このミュージカルは2000年10月から2001年1月にかけてパリで初演され、その後
のべ400回を越える公演をヨーロッパで行ったという。
今回は、モーゼ役にイタリア公演キャストだったセルジオ・モスケットを起用、
フランス語大特訓だったそうだ。

想像よりも横幅の広い舞台で、更にその外側に日本語字幕テロップが流れるので、
文字を追うのはとても辛い。
おおよその意味を知ったら文字は諦めて歌い手を見るしかない。
しかし、それで別にがっかりなんてしないから大丈夫。
とにかく、歌がすごく上手いのなんのって!
ひとりひとりが素晴らしいソロシンガーで、ほれぼれと聞かせてくれる。

「十戒」のストーリーそのものは、ちょっと苦手な話じゃない?
そりゃ、ヘブライ人を奴隷にしたエジプトは悪いよ、ひどいよ。でも、
その復讐の容赦無さは、あぁ、やつらは「砂漠の民」なんだよなぁ〜、農耕民族の
日本人にはどーやっても分かんないもんがあるよな〜、と思ってしまう。
ヘブライ人を解放しろ、という願いを聞き入れないラムセス王に神は怒り、
10の災いをエジプトにもたらす。これがねぇ〜。

だんだんラムセスが可哀想になってしまう。モーゼのどこが救世主だっちゅうねん、
なんて気がしてきちゃうよ。。

そういうユダヤ礼賛の部分をこのミュージカルは上手くぼかして、
憎みきれない兄と弟の切ない愛にまとめていたのが、救いだったかな。
ふたりの歌の見事なこと!
これはサントラCDでは絶対に味わえない、生ステージの素晴らしさで、
低音から高音までの迫力ある歌に、震えがきたわ。
特にラムセスの高音には、ひゃ〜〜っっ
判官びいきもあいまって、ラムセスさまがやたらに麗しい(笑)。

カーテンコールの「Blessing」を歌う所でモーゼ役のセルジオ・モスケットが
お客に「立て」「立て」と手振りで煽る。
わたしはてっきりスタンディングするだけだと思っていたら、
花束を持った何人かが舞台に向かって走り出した。
「えっ!いいの?!」
ためらいもせず、バッグとコートを掴んで走り出したわたし(爆)。
もはや条件反射と言わずしてなんであろう。

舞台の真下から出演者を見ることができるなんて、予想もしなかった。
警備員も居ない!
いやぁ〜ん、ラムセス役のアメッド・ムイシ、近くで見るとますます素敵なお顔(*^o^*)。

このミュージカルは、ダンサーとシンガーが分かれていて、踊って歌うミュージカルという
イメージじゃなくて、歌手とダンサーがいるミュージカルなので、
それぞれのダンサーが得意技を披露してくれる。
そのたびに観客はヒューヒューと喜ぶ。
花束はなぜか、いや、当然? ラムセスさまに集中する(笑)。
大阪での千秋楽だったので、日本人スタッフも舞台上にひっぱられ、花束を贈られていた。

2時間半という時間があっという間の舞台。
フランス語のミュージカルもなかなか味があって良いものだった。
がんばって行った甲斐があったわ〜。。
と言いながら、最後はばてばて朦朧で、降りるバス停を乗り過ごすところだった・・・(笑)





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