サロメ フェスティバル・ホール 2004年3月13日
前から11列目、ほぼ正面の席
ダイレクト・メールの案内に心惹かれてチケットを購入。
最近、このパターンが多いわ。

アイーダ・ゴメスは、元スペイン国立バレエ団芸術監督にして伝説的フラメンコ・ダンサーだそうで、
36歳の小柄で美しい女性。経歴を調べると、12歳でスペイン王立芸術高等学校を主席で卒業、
18歳でスペイン国立バレエ団の第一舞踊手に昇格、背中を痛めて退団後、5年間コルセット着用、
再び踊りの世界へ、などなど、魂の舞踏家というキャプションがつくのにふさわしいダンサーです。

公演は2部構成。いづれもスペインの暗い情熱、官能性、まさに光と闇のダンスでした。
第1部の小作品群、フラメンコ風味創作バレエを堪能して、
第2部の「サロメ」は、女の情念がめらめらめらと、、。

本物のフラメンコを知らないから、どこまでがフラメンコでどこからがフラメンコ風なのか
わからないんですが、腕のポーズが独特なんですよね。
横にひじを張ったようなポーズや、肩からまっすぐに腕を上に伸ばしたポーズ、
つねに手首を内側に曲げ、まるでカスタネットをはさむと似合うような形。
純粋なフラメンコじゃないけれど、普段みかけるバレエでもない。
男性ダンサーのセクシーさもね、きゃいん、ラテン系。
肩、背中から腰、お尻にかけて、なんともいえないラインがあってぞくぞくする。
女性ダンサーは、膝下丈のフレアタックの多いスカートと、肩をだしたえりぐり、
独特のフラメンコ風味。
男女の踊りが、なんていうか、大人のおとことおんな。
プリンセスとか、王子さま、じゃないの。

手拍子や掛け声や足を踏む音、、ぞくっとする官能性がこうした動作にある。
全部で6作品かな、一部のトリはアイーダ・ゴメスのソロ。現代的でセクシーなダンス。

20分の休憩をはさみ、第2部「サロメ」

舞台装置は、一部とほとんど変わりなし。いたってシンプル、つまり
ほとんど何も無し。光と闇と、椅子くらい?
この椅子にすわった義父ヘロデ王は、2本の長い棒を持っているんです。
スキーのストックというか、弁慶のなぎなたみたいにね。
見た人にはわかるんですが、それを両手同時にバンッと床におろす、その瞬間が、
おっそろしいほどの欲望、力を感じて、ものすごく上手い振り付けでした。
サロメの挑発的な踊りに、「バン!」と床を刺すように打つ棒の音。
こわいくらい官能をゆさぶるんです。
両手の棒を支えにして椅子から立ち上がるヘロデ王、
ばん!
2つの棒をサロメの前方に、檻の柵のようにたてて、退路を断ち、自分のものとせん!と
欲望をにじませるヘロデ王・・


舞台上にはふたり、月の映像だけが背景にうつる。
上半身はだか(つるつる君)、白いタックたっぷりのスカートのような衣装のヨハネ。
聖職者ヨハネの愛を得たい、狂おしい想いを告白するサロメ。
サロメにひきずられるように抱き合い、そして拒絶して離れていくヨハネ、
ついては離れ、離れてはつく、、
月の狂気・・


ヘロデ王をまるで誘惑するかのように狂わせ、褒美をねだる踊り。
衣装が一枚ずつ取り去られていく、
ああ、おまえの欲しいものはなんでもくれてやる、、
ああ、おまえの望みはなんだっ
言えっ 言ってくれっ
最後の一枚をとったそのとき、
ヘロデ王が「うっ」 下半身衝動〜っまさにっ!!立ち上がったっ、、と
群舞のものたちに抱きかかえられ布に覆われるサロメ。


銀の盆にのったヨハネの首。
ヨハネの首にすりより嘆くサロメの絶望。
自分のものにならぬのなら殺してしまいたい、自分の情念が招いた結末に
自分の首をしめるサロメ。。。
ヨハネを覆う白い布がサロメの首にまきつく・・・
アイーダ・ゴメスの踊り、演技力、ぞくっとしました。

何度も拍手、拍手。

カーテンコールにこたえてくれた彼らは、うってかわってラテンのノリ
出演者全員が、ひとりずつ持ちネタ?を披露するんですが、
手拍子がえんえんと続きました。
それぞれが超絶技巧をみせるわけですが、ヘロデ王さまがもう芸人でねぇ(笑)。
笑いをとるんですよね。
実は、ヨハネまで、下着を披露しちゃうし、、(白いブリーフパンツでしたわ 爆)
ヘロデ王のパコ・モラ と言う方の独演会のような最後になり、
もうやめよう、疲れた、と止まっては、また、踊りだす、、
とうとう、ラストは、アイーダ・ゴメスをお姫様だっこして、去っていったのでした(笑)。

あぁん、スペイン男っていいわ〜(爆)。


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