Precious Gem Romance PGR-181 「Bit of a Gypsy」  by Shannon Anderson
読んだ日の「更新の記録」
ボヘミアンな母はメキシコ人と恋仲になり、メキシコへついてゆくと言う。
10才のヒーローは叔母に預けられるが、叔母も男ができて、叔父にまわされる、
叔父はたぶんアヘンかマリファナの密培をしてる人なんだけど、
ヒーローに植物の育て方などを教えてくれ、ここでやっと落ち着くかと思ったら
なにやら事情が出来て叔父は逃亡する。
残してくれた電話番号は3つ。母(今はインドでヨガの修行だとか)と叔母と
叔父が大昔(子供時代だぜ)世話になったっちゅうミス・マーガレットのもの。
母にも叔母にも電話は通じない。
14才の彼はひとりで生きてやろうと、ヒッチハイクをするが、乱暴者たちに
持ち金をとられ、痛めつけられ、、とうとう、マーガレットにコレクトコールをする。。。

それから20年、彼は都会で造園業で成功したのち、マーガレットらが住んでいる
村に戻り、土地を買い、そこで花を育てて暮らしている。
緑の指を持っていると言われるほど花の栽培に秀でていて、花の出荷で生計をたてている。
村にはなにくれとなく世話を焼いてくれる、ヒーローのおばあちゃんを自認する
4人のおばあちゃん達がいる。

さてヒーローの所有するアパートに越してきたヒロインはアーティスト。
乗ってきたバンには、サイケなペンキの絵がでかでかと描かれていて、
国中を旅して、アクセサリーを売っていたというヒロインは、ちゃらんぽらんとした感じ。

ヒーローは整理整頓好き、脱いだ服はきちんとたたんで置く人間で、
ヒロインが最初やってきたとき、寝袋で寝るというと、
床なんかに寝ちゃだめだと、自分ンちからふとんを運んでくるような男。
ヒロインのようなボヘミアンタイプを最も毛嫌いしていて、
「君のようなタイプの人に貸す気はなかった」と言ってしまうが、
顔のそばかすをじっと見て、
「そのそばかすは顔だけなんですか?」と訊いてしまう(爆)。

ヒロインはわけあって5年もの間、旅回りの生活だったけれど
腰を落ち着けようと考えている。そして、「君のような」と言われるたびに
とても傷つくんだけれど、自分のしたい事を考えることにもなる。
一方、ヒーローは、どんどことヒロインに惹かれていくんだけど
愛することを恐れている。
少年時代、愛する人たちが自分を置いていってしまうことの繰り返しだったから
もう二度と、捨てられる思いはしたくない。
静かに花を育てる決まりきった日常で満足だ!と、一生懸命自分に言い聞かせる・・

森を散歩してあわや・・になったり、いろいろとすったもんだがあり、
お互いの違いについて話し合ったりしたんだけれど、惹かれる気持ちは抑えられない!!!
普段はきっちり服をたたむヒーローも、この時ばかりはコントロールが効かない。
ずどどどっっ
。。。。。。。。。。。。。
もう満ち足りて消耗しきって、言葉もなくふたりは横になっている。
しばらくして、「ほら、カバーをかけないと鳥肌になってるよ。
ぼくはコンドームをはずしてくるけど、すぐに戻るから」

ヒーローは戻ってきて、「ちょっと脇によって」
一緒に横になって、彼女の背中を優しく撫でながら、
ヒーローは心の奥にしまいこんでいた昔のことをいくつも思い出して、
奇妙な感情が生まれていることに気がつくまいとする。
「満足」に近い感情。
危険なほど「幸せ」に近いもの。。名づけたくないもの・・

翌朝
「で?」
「え?」
「わたしたち、話し合うべきじゃない?」
「うむむ・・あとで・・」

またラブラブになって、でもなんだかヒーローは、パーフェクトなリズムと
パーフェクトな喜びに耐え難い痛みを感じて、いつもの自分のコントロールが
効かなくなってしまって。。

はっと気付くとヒロインを押しつぶしそうになっていた。
「あ、すまない。君を傷つけた?」
「いいえ。。。でも、なんだか、あなたはわたしと一緒にいないみたいだったわ。」
・・
「ごめん・・」
「ね?わたしに、」
「あ、ちょっと待ってて。これをはずしてくるから」
「オーケイ」
「どこにも行かない?」
「ええ」

冷たい水で顔を洗い、鏡にうつった自分の顔をみつめて、そして、
数秒、ためらったあと
シンクの下においてあるゴミ箱を掴んだ。
毎度毎度行ったり来たりするなんてばかみたいだし。。
。。。。。。。

夢のようにふわふわした日々が続くが、「幸せ」という言葉やヒロインの事を
信じきれないヒーローは彼女に昔の画廊から連絡が入ったことを知ると、
とたんに態度を硬化させる。
彼の心の壁をどうしても壊せないヒロインは、傷ついて家を出ていき・・


彼女がどんな風だろうとも愛している、って気持ちになったヒーロー。
その昔、母や叔母や叔父との暮らしが必ずしも悪いことばかりじゃなかったと、
楽しかった思い出たちが脳裏をかけめぐる・・
それに優しくさとしてくれるマーガレットの後ろ姿を見送って、
マーガレットおばあちゃんの腰が前より曲がって、ゆっくりとした歩みになって
いることにも気付く。。

自分に自信を無くしていたヒロインがひとり立ちすることと、
愛を怖れていたヒーローが殻を壊す事が、上手に絡み合って
素敵なラストをみせてくれます・・・
( ヒーローは最後10kgもやせちゃうし、胸きゅん 笑)