D-260「恋愛劇場」 (D-289 Loveplay) ダイアナ・パーマー
恋愛劇場で大幅カットされたヒーローの言動。
約9ページの大省略の部分に行く前に、ちょっと。
このヒーローは、けっこう可愛いところがある、んだけれど
邦訳を読むとその可愛らしさが伝わりにくい。
例えば、こんなところも省略されてるのダ。
ヒロインがつわりと心痛のせいでボロボロ、冷蔵庫も空っぽ、、
というところに、鬼畜さながら怒鳴り込んでいったヒーローだが、
自分の子じゃない、ぶつぶつと思いながらも
気付くと食料品店でかごに食品をいれている自分がいる。
誰の子だろうと、子供を(it)餓えさせるわけにはいかん。
おなかの子(it)は男の子だろうか、女の子だろうか・・
ベッツの変わった赤みがかった金髪とダークな目の色、
白い肌、かわいい鼻にちょっと散らばってあるそばかす、
そんなことを考えて、やさしく微笑んだ。
あぁ、小さな女の子だったらどんなに可愛いだろう。
フリルのいっぱいついたドレスを着たら、きっとまわりに
男の子が群がるぞ。
顔をしかめた。
ぼくの可愛い女の子のまわりをうろうろする奴は殺してやる!
をっと、もちろん、、それはぼくのかわいい女の子なんかじゃない。
邦訳では【 レジの男の子がいらいらしてきいた 】ってなってるが、
それはちょっと変。ヒーローはぼぉ〜っと夢想して、勝手に
将来の娘のボーイフレンド達に怒っているというヘンテコ君だから、
恐がっているのだ。
「だんなさん、これで全部ですか?・・」
食料品店の男の子が、できるかぎり丁寧に2度尋ねた。
この客はまるで狂った殺人犯みたいな顔をしてるぞ。
「え?」カルはせきばらいをした。
自分がチェックアウトしてるのに気付いていなかった。
「あぁ、ありがとう、これで全部だ。」
財布をとりだし、人当たりのよさそうな顔で店員に支払った。
ベッツのアパートまでの道すがら、ずっと赤ん坊のことを考えていた。
彼女の世話をするのは少しも嫌じゃない。
大事にしてあげられる。
彼は赤ん坊がとても欲しかった。なにか、愛して可愛がってあげるものが
欲しかった。
愛は彼の人生で長いこと欠けていたものだった。
自分の両親のことをほとんど知らない、なぜなら子供時代はずっと寄宿学校で
過ごしてきたし、両親は全く彼を欲しいと思っていなかったのだ。
あるとき結婚したいと思える娘に出会い、血液検査のとき、自発的に受精能力の
検査も受けてみたのだった。
その時、人生でこれほどにないショックを受けたのだった。
もうその娘のことはほとんど覚えていない。
彼はなぜ結婚できないか、てきとうな話をでっちあげ、涙にくれる娘のもとを
去った。
それ以来、ややこしい関係は避けてきたのだ。
今日まで。ベッツまで。
どんなにしんどい仕事も、どれほど頑固なプライドも、
ベッツから自分を遠ざける事はできなかった。
世話せずにはいられない。
たとえベッツが他の男と関係をもったに違いないと思っていても。
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ふふ、ちょっとオバカヒーローでしょう?
食料品店での妄想はその後、別の場面でも、生まれてくる娘(女の子だと
勝手に決め付けている 笑)を結婚前に妊娠させるなんてことは
絶対に許さないぞ、入り口チェックをしなくては、、とか
思ってるし、、(^m^)
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ちょっと変な訳で、原書を読まなくたって、話の流れとしてみても
気になってしまう箇所があるので、ついでにそれも書くと。。。
家族が欲しいというカルに、「あなたは無精子症だってことを
隠れ蓑にしてきたのよ。相手の女性から結婚を迫られないで済むからね」
というベッツの場面。
邦訳は以下のとおり。
「ずばり、ご名答でしょう。この子のことだってそうよ。
もしこの子を自分の子として認めれば、これまでの嘘の壁が一気にくずれてしまう。
あなた、それがこわくていままでは本当のことが言えなかったんでしょう。
家族がほしいって言えなかったんでしょう。
とにかく、家族とともに生きるってことは、自分もある程度犠牲にしないと
ならないんだから・・・あなたにはむりかもね」
この水色の部分がおかしいのよ。
このセリフ内だけでも、矛盾したことを言ってるわ。
直訳は以下です。
「ずばり、ご名答でしょう。この子のことだってそうよ。
この子を自分の子として認めれば、これまでの嘘の壁が一気に崩れてしまう。
つまりね、あなたがこれまで口では欲しいと言ってきた家族や結婚というものを、
本当に欲しかったんだって証明しなけりゃならなくなるからよ。
でも、あなたには出来ない。
そうじゃなくて?
だって、結婚とか家族を持つってことは、あなたが全然知らない、
「与えるということ」に関わることだからよ」
原書の直訳が下手でごめん。
でもわかるよね?
カルが口では家族が欲しいとか子供がほしいとか、言ってるけど、
それは嘘だ。ほんとうは、本物の愛、人にGivingすることを恐れているんだ、
だから、無精子症ってことを言い訳にして、真実にたいして
壁をつくっているんだ!ってヒロインは見破ったんだよね。
ここんとこ、大事なとこなのに、邦訳は変だよね。
「家族がほしいって言えなかったんでしょう。」 じゃなくて、
「家族が欲しいって口では言ってたけど、本当は家族を持つ事が恐いんでしょう」
だよね。
ベッツに痛いところをつかれたカルは、それから家にこもってしまって
3週間も姿を現さなくなってしまった。
そして心配したベッツが思い切ってカルの家をたずねた、その翌日。
カルはベッツの主演している舞台の楽屋に、ベッツを迎えに現れる。
たった一日で驚くほど元気になっているカル。
ポルシェを先週リンカーンに替えたと言うカル。
違うぅぅぅっ!!
なぜ、先週なんて訳したんだぁ〜。
今朝だよ、this morningだよ〜。
昨日、ベッツがカルをたずね、それでガツンと目が覚めたカルは
今朝、そうそうにポルシェをリンカーンに替えたんだよ。
妊婦にとって乗り心地がいいからね。
ベッツの砦はまだ陥落しないヨ。
そりゃそうだ、もっとがんばれ、ベッツ。
ひどいこと言ったカルの大反省の弁を待てっ。
to be continued...