壇流クッキング
料理の本が好きなのですが、料理の本といってもクッキング本はほとんど 持っていません。つまり、吉田健一氏の「私の食物誌」や、 丸谷才一氏、池波正太郎氏、荻昌弘氏、吉行淳之介氏、などなど、 食べ物と軽妙なしゃべりがつまった本がとても好きなのです。 そのなかに壇一雄氏の本があります。 この本は、実践向きです。私はどちらかというと、都会のマンションで 育った人種で、両親ともに東京生まれの東京育ちなので、 保存食品を自分の家でつくるということが全くありませんでした。 そんな私が、この本を読んで、梅干しをつくりはじめたのが、 もう10年以上前になります。壇さんの、「とても簡単なのである!」という はぎれのよい語り口に、やってみようかなあという気になって、 確かにやってみると、とても簡単!(簡単じゃなくちゃ、私のような怠け者が 続くわけがありませんね) 今では、壇さんが書いていらしたよりももっと手抜きの方法でやれるのは、 使い捨て手袋のおかげでしょうか。バケツにつけておいた梅に塩をまぶして つぼにいれ、重石代わりに外で拾った石ころをいくつかビニール袋にいれて、 梅、てきとうな大きさの皿、石ころのはいったビニール袋、、これでおしまい。 壇さんのおっしゃるとおり、土用のころに、三日三晩外に出しっぱなし。 頼りない黄色や緑のふにゃけた梅が、みるみる茶色に。 あっと、私はものぐさだから、しそを加えず、そのまんまの白梅干しです。 簡単なくせに、けっこう、価値が高いところがいいところです。 1年3kgしか作らないので、ご飯に梅干しをのせてもよいという事は かなりのご馳走を意味します(笑)。 遠足のおにぎりは梅一途。 手抜きの多い私がなんとか母親顔をしていられるのも、壇流クッキングの おかげです。