2002年その3


ウォーターボーイズ (2001年 日本)

あー、笑った笑った。ばかばかしくも勢いあるノリで楽しい映画でした。
この映画をみて、まじめに「何かにうちこむことの素晴らしさを知りました」なんて
言う人いないと思うけど、どうかな?
 
ひと夏の体験を通して、成長した、男の子たちの物語ってとこでしょう。
 
シコふんじゃった、とか、Shall We Dance? とかとも共通の黄金律、
序 人に言えない気恥ずかしさ、コンプレックス、こんな自分でいいのか、、、が
破 くっそぉー、やってやろうじゃん!こんなんで終われるかってんだっ
急 はっはっは、爽快だぜぃ
 
ここではあくまで明るく能天気だったのが、よかったんじゃない?
深みが無いと言っちゃぁ無いんだけれど、日本の高校生だからなぁ。。
 
最後のシンクロ演技はなかなか素晴らしかったですね。運動会で息子の組み体操を
見ている母親の気分になりました。つまりかなり感動しました(笑)
 

あまりにも理屈に合わない事ばかりなんですが、マンガだと思ってみればいいんでしょう。
いや、けなしているつもりじゃなくて、その辺は監督もわかっていて気にしていないんじゃ
ないかな。というか、大筋以外は単なるお膳立てという感覚なんだと思いました。
矢口監督の作品は、他を見たことがないので、これから観てみようと思いますが。
 
書き出したらきりがないほど、「んなバカな?!」なんですが、この強引さがノリにも
通じるわけで。
でも、ぎりぎり、大量の魚の死、と、首根っこぶんぶんの赤ん坊は、いただけなかったかも・・・
 
---------------------------------

海辺の家 Life as a House (2001年アメリカ)

前半の、ケビン・クラインの孤独感に、胸がつぶれました。
ここで自分が感じたことを書けないほど、ぐさっときてしまいました。
なぜ自分がそう感じたかを書くと、自分をさらけださなければならなくなる、映画でした。
だからここについては歯切れが悪くなるわ。。。。
 

後半は再生がテーマであり、愛とユーモアにあふれています。
少々要らない部分もあり、わき道話をもう少し削ってもよかったのではないかしら。
ご都合主義のような「そんなぁ、調子よすぎっ!」というところもあるんですが、
傷つけ合う場面は無いというのが、いいかも。
 
でも、とにかくハイデン・クリステンセン君が美しい、みずみずしい、痛々しい、かわいい、よいです!
スターウォーズ・エピソード2はまだ見ていないんですが、傷つきやすくプライドの高い多感な青年に
ぴったりでしょうね。このハイデン君は本当によいです。彼を見るため<だけ>でも見る価値あり。
 
そして犬がいいの。
絶対この脚本家は犬好きよ。だってあの「恋愛小説家」の脚本家じゃないですか。
あの映画の犬もよかったですよねぇ。
 
そしてケビン・クライン
なぜかすごく好き(#^o^#
変人をやらせたらピカイチ。そして普通の男をやらせてもうなるほど上手いっ。
実体がつかめない感じで役者の幅が広い。
そうか、ジャック・ニコルソンも結構そうかも。
ハンサムじゃないんだけれど、恋愛モードになると、これまたすこぶるいい男にみえるから不思議。
 
つけたしはクリスティン・スコット・トーマス
難しい役かも。中途半端だし勝手だとも思えるし、どっちに行き過ぎても変ってところで、
うまくやったのかもしれません。
 
そういえばなぜなの?私がみる彼女はいっつも、人妻なのに他の人を好きになるって役よ。
イングリッシュ・ペイシェントの時はラルフ・ファインズ
ホース・ウィスパラーの時はロバート・レッドフォード
ランダムハーツの時はハリソン・フォード
堅いしっかり者の感じなのに、恋にぐらっとくるのが似合うんですよね。
少女みたいなところがあるのかな。
 

家は自分自身と同じ意味でしたね。荒れるにまかせ、人と一緒に住むことを考えていない、
トイレも寝るところも一緒のあばら家。
それが人に愛され、最後には愛を与える存在になってゆく。
あぁ、死を知る前に気づくべきなんですよね。人生に愛を取り戻す必要があるってことを。。
 

 --------------------------------

顔 (1999年日本)

うーーん。。。評判がすごく高いと知っているのだが、いまいちのれんかった。
 
なぜか。
 
藤山直美は上手い。ぴったりの役柄かもしれん。
脇役もやたら豪華だし、やはり上手い。
 
でも、なんちゅか、陳列台のような、狙いすぎのような、くどさが、好きになれんかった。
 
変化してゆくようで、実は何も変わらない。
何から逃げているのか、実はよくわからない。
演技が上手いなぁと思いながらもいらいらしてしまった。
特にラストシーンは、せっかくのリアリティが失われた気がして、それならそうで、もっと
はじけてしまえっ、と怒りさえ感じてしまった。
 
スナックのママ、大楠道代さんが、とても良くて、ここは泣けた。
そうそう、「受け取らんかいっ!」と勘九郎にお金を渡すシーンは悪くない。
こんなんが、後半でも欲しかった。
 

 --------------------------------

ストレンジ・デイズ  Strange Days (1995年アメリカ)

世紀末のアメリカ(といっても1999年12月31日は20世紀最後の日じゃないけどね)
この一夜の出来事。
製作された年、1995年からみたら1999年12月31日は近未来だとも言えるが、
過ぎてしまった今みると、この5年は製作者が思ったほどは変わらなかったわけだ。
しかし、劇的に変わってしまう場合もあるわけで、5年でこれほど荒れるんじゃ、
世界の滅亡も近いなぁと暗くなる。
 
話はディックの、「ジョニー・ニーモニック」を思い出した。情報運び屋と女殺し屋のコンビに
近いものがあるし、ブレイド・ランナーの世界に近いものがある。
 
ラルフ・ファインズが心優しくも情けない野郎を演じて、実にはまっていた。
「ええいっ、はっきりせい!」と叱りたくなるような奴を演じると、上手いのよねぇ。
相棒の女優さんも悪くない。でも、なんであんなに強いのさ。
もしかして改造人間?
大事な脇役のジュリエット・ルイスが、ぜったいイマイチ。いや、これは脚本が悪いんじゃないかな、
訳わからない性格で、いっちゃってる。。
 
近未来世界の構築が面白いけれど、ラストシーンが不満。
なんか、違うよぉーー。
 

 --------------------------------

ワンダとダイヤと優しい奴ら A Fish called Wanda (1988年アメリカ)

えぐい笑い、くせのある毒笑いを撒き散らしながらもなぜか憎めない。
どたばたのようで、まるで無駄がない、上手い脚本とこれまた上手い役者たち。
わけてもケビン・クラインがやばいほどにうまくて変!
これほど変な奴はめったに見たことがないっ(笑)
 
哲学マニアで元CIA?お馬鹿なくせに妙に冴えてるところもあって、ナルシストで偏執的。
ほんと、とんでもない奴で、自分の近くにいたらとても厄介!
でも、なにか憎めないアホさ加減。
ケビン・クラインの場合、動きが軽くてきれいなのも、大事なポイントだ。
 
わきの下を嗅ぐしぐさには爆笑だし、
熱帯魚を食べるシーンは、一体どうやって撮ったのか、本当に食べているのか、、(ちびまる子ちゃんのヒクヒク顔。。)
 

(後日つけたし)
驚きましたね。あれは粘土だったんですね(本人談)
おいしそうに食べたのに。
さすが役者だわ。
 

 --------------------------------

オー・ブラザー O Brother, Where Art Thou? (2000年 アメリカ)

実はイマイチものたりない。
それはコーエン兄弟の映画だから期待しすぎてしまうせいで、平均以上でも点が辛くなってしまう。
 
ファーゴ、ビッグリボウスキ、とすごく面白くて好きだったのでこの作品も楽しみにしていたのだが
前2作に比べるとすこしインパクトが弱い気がする。
 
全体としてはイマイチな感動なんだけれど、個々の場面はけっこう好き。
冒頭の囚人たちのかなづちの音。
(この映像もすごい上手い)
ジョージ・クルーニーのヘアネットとヘアワックス。
(この匂いのせいで、いつも見つかるはめになるのに、なんというまぬけさ。これがいかにも感)
目の悪いラジオ局のオーナーとのやりとり。
(いかにも言いそうな台詞をまんま言わせる、これまたいかにも感)
片目の聖書販売人
(いかにも悪役面なのに、なんでのこのこ出かけるんだぁという、いかにも感)
予想以上の子だくさん
(おっと、これは私には予想外で、笑えた)
 
これ以外でも選挙参謀?のこびとやセイレーンやずぶぬれボーイずの歌と踊りや
こわもての保安官や、、
そう、おもちゃ箱を逆さまにしたような、へんてこでいとしい物がたくさんあるような、
そういう意味では楽しい映画だった。
 
人生ってなんだか面白いという味は健在。
 

--------------------------------

ワンダーランド駅で Next Stop, Wonderland (1998年 アメリカ)

好きです。
うひひ。気に入ってしまいました。
脚本がナイスで、それをうまく撮っています。
脚本、監督、編集が同じ人なんですね。
 
しゃれた味わいはフランス映画のようです。
微妙な女心がよくわかる。
いや、もちろん主人公エリンは美人で頭もよくてスタイルもよくて、普通なら感情移入するような
キャラじゃないのでしょうが、
でも、運命ってなんだろう、恋をするのは運命なんかじゃないはずだわ、と憤り
つまらない男が言い寄ってくるのをうんざりして
恋愛を冷めた目で見てしまう一方、
電車で人生に疲れたような女性の顔をみて、せつなく悲しくなったり
自分の人生はいつからこんなふうになったんだろう、なんて考えたり
人物描写がよくできています。
 
エリンが愛について考えることは自分探しでもあった、というわけですね。
 
一方、アランはちょっとせつないです。
父親の借金、配管工ではなく海洋学者になりたいという学業への思い、
かれは恋愛によって救われるものがあるのかな。
エリンに比べそのあたりはちょっとわからない。でも、きっとこれからふたりで
励ましあって生きていけそう?
そう、この映画は観客の年齢とか経験とかによって感じ方がずいぶん違うかもしれないですね。
すれ違いの恋愛もの、しゃれたボサノバとか、そういう目でわたしは見れませんでした。。
30代半ばで、夢の実現が遠いと感じ始め、人生は思い通りにならないものだ、と苦い気持ちが
にじむアランは、とにかくせつない。
 

劇中なんども繰り返されるキーワードが上手くできていて、これがすごく良かった。
最後にこのキーワードを聞いて、ハッピーエンドになるのが、ものすごい快感でした。
お約束な仕立てかもしれませんが、好きですね。
 

とても上手い監督だとおもって、ブラッド・アンダースン監督の次作を期待しようと思ったら、
次はホラー映画なんですね。
弱ったぁ。ホラーはむちゃくちゃ弱いのよ。。。
しかもものすごくおそろしいらしい。実在の精神病院(これ自体がアメリカ一おそろしい廃墟らしい)を舞台に
廃墟のアスベスト処理をする5人の作業員が遭遇するおそろしい出来事らしい。。。なんまいだぁ。。
 

 
---------------------------------

グリーンフィンガーズ Greenfingers (2000年イギリス)

刑務所にいる囚人たちがガーデニングによって更正する、という話です。
結末まで見えているような話なんですが、とてもいい感じなんです。
こういう映画は好きだなぁ。嬉しくなるなぁ。
 
俳優がオーバーにならず地味に演じているから好感がもてます。
特にファーガスじいさんがいいですねー。
人生はやり直せるんだよ、という励ましは、甘っちょろいと言われようが
もっともっと言ってほしいですよね。
それにこの話は実話に基づいているそうなので、単なるおとぎ話じゃないんですよね。
 
冒頭のばらを贈る、その伏線が乙女チックでとても好きですが、恋愛ものにしすぎず
控えめだったのも良かったのでした。
 
与えただけ返ってくる、手をかければきれいな花を咲かせる、だから「花は口答えをしないから好きなのよ」という園芸家が、
自分の意に添わない娘にたいして「あなたの幸せを願っているの」と、
人をまるごと愛することを学んだように、、
ガーデニングを愛し、そして人生も愛する、優しいお話でした。
 
ガーデニングへの関心の高さはイギリスならでは、なんでしょうね。
とても美しい映画です。
 

---------------------------------

エボリューション Evolution (2001年アメリカ)

お下劣で笑えるお馬鹿映画。
それを知って借りているので、文句はないです。はい。
はっはっは、バカばっかり。
 
難癖をつけちゃいけないって分かってるんですけど、でも、ここは変だよねぇ。
エイリアンをセレンで殺すという理屈は、絶対変だぁ〜。
 
ちょっと周期表が必要なので、このリンクを見てもらうとして。周期表
H                    He
Li Be B  C  N  O  F  Ne
Na Mg Al Si P  S  Cl Ar
K  Ca Ga Ge As Se Br Kr
 
「我々地球人は炭素Cの生物で奴らは窒素Nだ」、と主人公が言うのはまぁいい。
そうか、敵はNで構成されてるのか。ふむふむ。
「我々にとって砒素Asは毒である、だからきっと敵にはセレンSeが毒だ!」、
えぇーっ!そうなの?!1個ずれればいいのー?(爆笑)
 
地球上の生物にとって砒素Asが毒なのは、砒素がリンPと同族だからじゃない?
エネルギーを生む基本ATP(アデノシン3リン酸)と分解酵素ATPaseの間を
阻害するからじゃない?
別に炭素型生物という意味で関連があるわけじゃないはず。
もしエイリアンにとってSeが毒だとしたら、それは奴らがSeと同族のSとかを
生命活動の基本に利用しているからで、例えば硫酸基をエネルギー源に
しているとか、そういう理屈じゃないと合わないと思うんだけどなぁ。
確かに最初、硫化水素ガスの中で生きていたが、、、うーむ。
いや、まじに考えることじゃないけどさ。
 

---------------------------------

マルホランド・ドライブ Mulholland Dr. (2001年アメリカ・フランス)

デビット・リンチ監督の作品はこれが初めてなのだ。
恐いのがとても苦手なので、ずっと避けていたのだ。
(後日つけたし。すみませんっ!むっちゃ間違っていましたっ!
「ワイルド・アット・ハート」と「砂の惑星」を見てました。)
 
でもなんかこれは違うのかなぁと思って借りてしまった。
 
あぁん、恐いよぉ。
苦手なんだ、やっぱり。なんていうか、こういうとりつくしまのない恐さが。
恐さにも、とりつくしまのある恐さとない恐さがあって、
すべてが人工的で妙に乾いていて「どうだ、どうだ」と言ってるみたいで
息苦しくてたまらない。
街灯ひとつ無い暗い道路をもっと早く走ればいいのにとろとろと走る車、
これだけでもう心臓はとくんとくん・・・
何が一番恐かったって、あの空港の老夫婦よっ!
あの「バンバンバン」と背中を叩く手!あ、だめっ!絶対こいつらまた出てくる!と
思っていたら、ぎゃぁぁ〜 想像を超える気味の悪さ。
私の夢にも出そうだわ・・・
 
そして次に恐かったのは、ブルネットだと魅力的なのに、金髪のかつらを
つけると突然平凡になってしまう、あのものすごい違和感。
どうして恐いのか、うまく説明できない、でも、吐き気を催しそうになった。
 
最初からこれは作り物ですべてが夢です、という感じだったから
物語に意外性は無かったんだが、この「この世のすべてが作り物だ、贋物だ」を
テンポよく、サスペンスフルに進行させる腕は見事。
演じたナオミ・ワッツも上手い女優さんだと思った。
 夢見る都ハリウッドでの悲しいラブストーリー、、が、どうして
こうなってしまうの。。
やっぱ、リンチ監督はわたしには恐すぎるわ・・
 

  シネマに戻る   ホームへ戻る