ジョージェット・ヘイヤー  Georgette Heyer  2009年11月初まとめ
August 16 1902 - July 4 1974
アポロ11号が月面着陸したとき、まだ作家活動をしていたと思うと不思議な気がするくらい、
わたしにとってヘイヤーという名前はずっとずっと昔の人という印象でした。

オーソドックスな話を予想して読んだらびっくり。
リアルなジョージアンやリージェンシー社会のなかで、お人形さんではない、どこか型破りの女性を
生き生きと描きだしているではありませんか。
迎え撃つ男性陣も実に魅力的で、ヒーローとして遜色なし。
お金を無心する親族にうんざりし、飽き飽きして時間をもてあましている男、
生真面目で誠実な男、若い情熱をたたえた男、老獪で真意の知れない男、、
様々な造型がいずれも平面的ではなく血肉をそなえた人間として、そこにいます。

主人公ふたりの気の利いた会話とは対照的に、脇役たちは右往左往の会話をする、
この要点の定まらない「じらし」会話が抜群に上手い。
短気な私はこの手の会話にいらいらする事も多いのだが、ヘイヤーほど上手いと感心してしまう。

主人公たちの人間的成長、運命の小さな皮肉、巧妙なひねり、底辺に流れる温かさ、、、物語の楽しさを堪能できます。
カテゴリー 題名 過去 出版 ジャンル ヒロイン、ヒーローの名前 感想 一言
  愛の陰影 (These Old Shades) ヒロイン12の時両親死亡。以後男の子として暮らす。 1926 ジョージアン 1750年前後? 放蕩者ヒーローと純真ヒロイン 出生の謎 レオニー・ド・ボナール(19)、 エイボン公爵ジャスティン・アラステア(40) あいや〜っ、これ以上いないってくらい完璧の造型のヒーローさまにすっかり魅了されました。Infantやchildやもうもう、呼び名も素敵なの。そして「閣下」にすべてを捧げるヒロインもいいし、ルパートやファニーやヒューや、もろもろすべて良し。ジョージアンのゴテゴテ振りも文句なしにまとまっている。 うひひ
ひと芝居(The Masquerader) 1928 ジャコバイトの残党、入れ替わり、正体の謎 プルーデンス、ロビン、サーアンソニー、レティシア なんということでしょう、The Old Gentlemanが強烈すぎて、読み終わると親父殿の印象(とロビンが小さい事)しか残らない!(笑) そのうえ敵役マーカムがかわいそうすぎて、、サーアンソニーはナイスでしたが
  悪魔公爵の子 (Devil's Cub)   1932 放蕩息子の陥落 身分違い エイボン公爵の一人息子ヴィダル、 ブルジョアの娘メアリー どうしよう、全然乗れない。レオニーやルパートは最高だし、公爵様はもはや伝説の域だし、脇役は本当に素晴らしいのだけれど、主役たちに浸れなくて、うーん、、  
Regency Buck 1935 買ったけれどまだ
  An Infamous Army   1937 買ったけれどまだ      
No Wind of Blame 1939 買ったけれどまだ
  紳士と月夜の晒し台 (Death in the Stocks)   1935        
マシューズ家の毒 (Behold, Here's Poison) 1936 毒殺事件。家族もよう ロマンスヒーローと呼んでいいのか、、(笑) まさかの面白さ。こんな話をかける人って、なかなかいませんよねぇ。嫌われ者のランドールが、、ひーひっひっひ。 うひ
  Faro's Daughter   1942 思い込みヒーロー  賭博場経営Deborah Grantham(25)、 ジェントリーMax Ravenscar (35) 見下げた女だとおっしゃるんですね!売られた喧嘩は買ってさしあげますわ! ヒロイン、いいぞ。誘拐でも何でもしちゃってください!!墓穴を掘り続けているヒーローが(爆笑)。 うふ
素晴らしきソフィー (The Grand Sophy) 1950 歩く天災ヒロイン系 かたぶつヒーロー ソフィー・スタントンーレイシー(20)、オンバーズリー卿Charles Rivenhall(26) 楽しいわー。並外れて有能なヒロインが家族の心配事をすべて解決する(笑)。その深謀遠慮に凡人は振り回されてしまう。生き生きした描写に引き込まれているうちに不思議に幸せ気分になる。 うふふ
  公爵シルヴェスターの憂い     ヒーローをはねつけるヒロイン フィービー・マーロー(19)、 サルフォード公爵シルヴェスター・レイン(28)  トムの常識と活躍が印象に残るが、ヒーローやヒロインの事はあまり残らなかった(爆)。ヒロインがどうも苦手で・・  
令嬢ヴェネシア (Venetia) ヒロインの母は9歳の時出奔、父は3年前に死去。 1958 放蕩者ヒーロー、剛腕ヒロイン 1818年。 ジャスパー・ダマレル男爵(38)、 ジェントリーの娘、ヴェネシア・ラニアン(26) どうしましょう、ほんとに大好きです!恋のきらめき。何度読んでもどきどきします。こんなに理知的で魅力的なヒロインと、こんなに胸をさわがすヒーローと、こんなに笑わせてくれる脇役達。無人島に持ってゆく一冊。 うふふ
  A Civil Contract   1961 買ったけれどまだ      
入れ替わった双子
False Colours
ヒーローの父は1年3カ月前に死亡 1963 1817年夏 兄の身代わり 浪費家の母親の借金 クレシダ・ステイヴリー(クレシー 20)、 デンヴィル伯爵の双子の弟クリストファー・ファンコット(キット 24) ヒーローとヒロインは出来過ぎさんで、ひねりはなかったけれどストレートで心地よい。 母上とサー・ボナミーの造型がすんばらしい!この二人のためだけでも星5つ上げられそうだ(笑)。 はは
  Frederica ヒロイン、母は12年前に死亡、父は5年前に卒中で倒れ一年前に死亡。 1965 1818年 有能な実務家ヒロイン 大家族 妹のデビュー (父親は元はジェントリーだった)Frederica Merriville(24)、 Marquis of Alverstoke、Vernon(37) よかれと思って家族の事を全部差配して、家族も寄りかかっていたのに、、、ヒロインの気持ちも弟や妹の気持ちもよく分かるわぁ〜。ヒーローの姉妹たちの鬱陶しさも抜群(うへ)。一体どうなるかと思ったら温かくて優しい笑いで終わるし、ほんま良く出来てる。。 うふ
Cousin Kate 1968 買ったけれどまだ


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