Vickie Taylor  2007年3月初出
ハーレクインでSIM に作品を発表していたようだが、翻訳はされていない。
バークレイから出たガーゴイルシリーズを読んで、気に入ってしまった。

流行のパラノーマルものの中で、一味違うものを作るのに成功している。
なんせ見た目が醜い化け物、ガーゴイルである。

1000年以上も昔、フランスはRouenの村の男たちが、ドラゴンと魔道士の呪文によって
海、山、大地の動物たちの霊魂が混ざり合ったガーゴイルに変えられてしまった。
彼らには「人間を守れ」「子孫を増やせ」 これがふか〜く深く、存在に刷り込まれた。

ガーゴイルは自分の意思で内なるBeastを呼び出す事ができる。
人間と同様に老いたり、怪我や病気で死ぬが、死んでも、その魂は転生する。
再び赤ん坊から大人へ成長するわけだが、前世の記憶は残り続ける。

(これがけっこうシビアな話で、大人の知恵を子供の時から持つわけではなく、
その年齢に応じた思い出し方をする。
前世で火災の救助中に死んだというガーゴイルが転生した少年は、
夜ごとに火事の悪夢を見たりする)

男の子供を作れずに死んだガーゴイルは、転生しない。
これはなかなかリーゾナブルだ。
だって、ガーゴイルは、ガーゴイルの子孫にしか転生しないので、自分が男の子を残さないと、
他のガーゴイルが転生できる器が一つ減ることになるからね。
そうわけで、ガーゴイルにとって息子を作ることは最大の関心事だ。

(パラノーマルって奴は、、なんて笑っていられるかというと、そうでもない。
昨今の少子化問題、結局「社会のために」子供が必要だという圧力を見ると、
ガーゴイル社会とそれほど変わらないかも・・?)

頭に角がはえたりコウモリの翼が生えたりする子供を、どうやって現代社会のなかで
育てるってんだ?
そのうえ、人間を助けようとして銃に撃たれる、警官に追われる、、
もはや現代社会においては、ガーゴイルの存在意義は失われたのか?

苦悩するガーゴイル社会は分裂のきざしさえある。

現代的なテーマとダークヴァイオレンス、テンポ良い展開、切ないロマンスで、おおいに楽しませてくれる。
  題名 過去 出版 ジャンル ヒロイン、ヒーローの名前 感想 一言
Berkley Sensation Carved In Stone ヒロイン6才の時両親は殺された Jun-05 ガーゴイル ヒロインの成長 インターポール、レイチェル・ヴァンダーメア(32)、 大学美術史教授ネイサン・クロス(33) ちょー面白い。1000年前、ロウエンでガーゴイルに変えられた村人たち。彼らの末裔は現代社会をどうやって生き延びるのか。。迫る黒い影、両親の死の謎を追うヒロイン、苦悩するヒーロー、よござんす! うひひ
Berkley Sensation FLESH and STONE ヒロインはロスのスラム育ち、17のときレイプ男(ソーシャルワーカー)を刺し、8年間刑務所に。 Feb-06 ガーゴイル 潜入捜査 ウイメンズシェルター運営 マーラ・キンケイド コナー・リヒャド 保守派の先鋒だったヒーローがこうもあっさり女性を信頼するのは、ちょっと肩透かし。 敵対する闇ガーゴイルの謎、女性の権利、、問題山積みだが、愛があれば大丈夫なのか? もうちょっとゆっくりと書いて欲しかった。勿体無い〜。 うひ
Berkley Sensation Legacy in Stone            


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