2007年その2


ジャーヘッド Jarhead (2005 アメリカ)

ジェイク・ギレンホールが見たくて借りたDVD.
湾岸戦争を平凡な一兵士の目から描いた作品。

そうそう、誰の映画なら、とりあえず見る? 誰が出てたら、見る気になる?

振り返ってみると、
ヒース・レッジャー、クリスチャン・ベール、ジェイク・ギレンホール、、かなぁ。
(ううう、、ヒース、、)
ジェイク・ギレンホールって唇の形が赤子のようで、やばいわ(妄想・・)。

さて映画は、、乾いていて苛立たしくてクレイジーで、空っぽのくせに人を蝕む。
なんやかんや言っても結局貧困層が兵隊になってるんだなぁ。
見終わった時、とても疲れた気分になる。

アメリカにとって兵隊志願は低所得者層の日常のひとこまなんだろうか。

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ドニー・ダーコ Donnie Darko (2001 アメリカ)

ドニー・ダーコ、 主人公の名前です。セラピスト通ってます。高校生です。知能レベル高いです。

ジェイク・ギレンホールってなんでこんなに精神的な問題を抱えている男の子が
似合うの?

あの長いまつげのせいかなぁ〜 (妄想の世界)。

よく言うじゃない、死ぬ瞬間にこれまでの人生がドラマのように流れるって。
時間というものはアメのように伸びたり縮んだりする相対的なものなのかな。
邯鄲の夢?

青春の甘酸っぱさ、もろさ、不安、純愛、不思議に澄んだ空気。

last name pronounced jill-en-hall と書いてあるので、ギレンホールじゃなくて
本当はジルエンホールと読むらしい。

ジェイクは1980年生まれなので、この時ハタチ。これはまだ許容できるけれど、
The Day After Tomorrow のときは24才で高校生の役やっちゃうからね。
それがまた違和感ないからね。
やっぱ、下まつげのせいかなぁ〜 (妄想・・・)

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サルバドールの朝 Salvador (2006 スペイン)

1970年代初頭、フランコ独裁政権末期のスペイン。純粋かもしれないが
勢いだけの若者たちが反政府活動を無邪気にやっている前半。
警官殺しの罪で拘留され、死刑の判決を受ける後半。

先進国で、かつ、ついこの間の出来事。そう考えるととても恐い。

ガローデによる処刑の最後の人だそうだ。

レオナルド・スバラグリアが出演というので観にいった。彼は看守の役で、
最初サルバドールを「甘えた坊ちゃん」と嫌っていたが、少しずつ変わっていく。
ブルーカラーらしさがよく出ていた。

(2007.11.08)
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パンズ・ラビリンス El Laberinto del fauno (2006 メキシコ・スペイン)

Pan's Labyrinth は、アメリカ・カナダ限定。他では「The Labyrinth of the Faun」と紹介された。

パンはギリシア風、ファーンはローマ風な呼び方で、それ自体は牧神を同じよう指しているし、
パンズラビリンスって言ったほうが、リズムが心地よい。だが、しつこく考えると、
冠詞が微妙な差を生んでいる(はず)。the Faun その牧神、他でもないあの牧神は、
現実と幻想の架け橋であり、人間を試す残酷な「世界」でもあるようだ。

ギジェルモ・デル・トロ監督は、同じようなテーマで1939年のスペイン内戦を
「デビルズ・バックボーン」(2001)で描いているらしいので(未見)、
この映画はその続編というものなのかもしれない。

出演者のなかで、見知った顔がふたり。
「天国の口、終りの楽園」のあの女性が、メルセデスを演じている。
名優フェデリコ・リッピが最後にちょろっと登場する。

さて、1944年、フランコ政権になってからも今だに抵抗を続けている勢力を一掃する目的で
山間部に駐屯する部隊。息子は父親のいる場所で生まれねばならない、と、身重の妻を
呼び寄せる大尉。
妻は美しい女で、もとは仕立て屋の妻だったが内戦で夫を亡くした。 もしかしたら
夫が生きている頃から大尉は彼女にちょっかいをかけていたのかもしれない。
いずれにしろ、男に頼らなければ生きていけないし、世の中はこういうものだと
彼女は思っている。

11才の少女オフェーリアは、冷酷な義父を恐れ、強い者におもねる母を悲しむが、
現実世界ではどうすることもできない。
そこにファーンが登場し、あなたは本当はプリンセスである、
3つの試練をクリアできれば、魔法の王国のプリンセスとして王国に戻れる、
そこでは本当の父親と母親が待っているとオフェーリアに告げる。
こうして、物語は現実と幻想が交錯するようになる。

ゲリラと軍との戦闘という現実は、上空からミサイルのボタンを押すのとは違い、
とても生々しい。戦争は殺人なんだ、とよくよくに思う。

オフェーリアのたどる幻想は、現実の影絵になり、不思議な重なりを見せながら進む。
Pale man の部屋で、ほんの少し甘い汁を欲したばかりに、
それがたとえ無邪気な気持ちだったとしても、罰として妖精の命が失われる恐ろしさは、
ご馳走を前にする村の神父や地主たちと、間違って殺された村民をみるようだ。
ファンタジーの王国に逃避するのとは一味違い、
オフェーリアは、現実の重みから逃れることはできない。

自分の死が何かにためになる、自分が死んでも何かを残す、ってのが、
このような厳しい時代における人間の行動の動機になると思うが
(戦争ってのはそういうものなんだけれど)、ゲリラ、医者、母親、色々な人間が
それぞれ自分の死を引き受ける。意図的に、またはいやおうがなく。

そのなかで強烈なのは、大尉である。
彼は、オフェーリアの陰画、未来へ残す「血」に対する執着で、少女の対極にいる。

この映画には色々な対立構造があって、「現実」対「幻想」、「政府軍」対「ゲリラ」
「光」対「闇」、「生」対「死」などのほかに、「大人」対「子供」の構図がある。
世界が子供に及ぼすものをせつなく見つめている。
大尉はオフェーリアと敵対する位置にたつが、一方で彼もまた、親子関係を
背負った人間として描かれており、「死の名誉」を父親から受け継ぎ、
それを息子に伝えようとしている。

それにしても、
「いかに死ぬか」のために生きている人間には、恐いものなどないね。
他者のために死ぬ殉教者の死も、そういったものから生まれるんだろうけど、
一方で、この大尉のように、冷酷で残虐な男もまた、死ぬ間際まで残酷に何でもできるんだ。

映像はとても美しく、光と闇のエロティシズムがある。
ファーンはそもそもサチュロス、好色な神であり、そのファーンに導かれて
初潮前の少女が旅をするという設定自体、ロリータ・エロスが匂う。
彼女は大人になる前に死んだのか? 少女が流す血は、大人が子供を殺すという意味に加え、
美や善を信じた無垢との別れを暗示しているのかもしれない。


あぁ、わたしたちが流す血が美しいもののためになれば・・・
子孫へと受け渡す血が「死」ではなく「生」のためになれば・・・

枯れたようでもイチジクの花は咲くんだ、と信じなければ。

(2007.10.21)
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ホリディ the Holiday (2006年 アメリカ)

キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジャック・ブラック
凄いすね。
これならロマンチックコメディ、期待できるぞ、って思って借りてみた。

感想はなんつうか、、4人の出番はとてもアンバランスで、キャメロンがとにかく主役、
ジュードとケイトはそこそこ、ジャックは付け足しでした(爆)。

恋にやぶれたふたり(かたやカリフォルニアの豪邸に住むハリウッド予告編製作会社の社長、
かたやロンドン郊外に住む結婚情報欄担当の新聞記者)がクリスマス休暇に、家を
まるごと交換する。

ありきたりな進行で、まぁ、ホリディものだからいいか、といった感じ。

主役キャメロンは、なにをやっても大げさで騒がしく感じてしまった。
元恋人の浮気に傷ついて家を出たはずなのに、休暇で知り合った男性と
すぐにベッドインしてしまうとは。 相手に誠実さを求める説得力がやや弱いじゃん。

ジュードは、まっとうなハンサム君な役で、インパクト弱し、勿体無い。

ケイトは、とても可愛らしかった。二股かけられてるのが分かっているのに
別れることができない女性の役。ま、役で得したかな。

ジャックは、、、添え物か?
もっとジャックの個性を活かして、ケイトを引きずり回す設定にしたら面白かったのだが、
ケイトの慰め役は、ご近所の名脚本家おじいさんが担当したので、ほんま、添え物。


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リトル・ミス・サンシャイン LITTLE MISS SUNSHINE (2006年 アメリカ)

中流の1,2歩手前、どこにでもありそうな機能不全家族。
成功プログラムを売ろうと必死な父親。くたびれてる母親。
家族にうんざりしている兄ドウェイン。自殺未遂したばかりの叔父。
すました世の中にケンカを売るベトナム帰りアナーキーじいさん。
そして、美少女コンテストマニアな太めの女の子、オリーブ。
(肉ぶとんを巻いている、そのぽっちゃり姿がとても可愛い 笑)

ありがちな展開だし、ベタな設定なのに、泣いて笑って癒された。
ベタなのに嫌味がない、というか、ベタを重ねながらも、いや待てよ、
これってリアルだよなぁ。。と思ってしまうものがある。

黄色いミニバスが通り過ぎる風景がいい。

You know what? Fuck beauty contests. 
Life is one fucking beauty contest after another. 
School, then college, then work... Fuck that.
And fuck the Air Force Academy. 
If I want to fly, I'll find a way to fly. 
You do what you love, and fuck the rest 

ミスコンなんてクソくらえ。人生はばかげたミスコンの連続なんだ、

ドゥエイン、よく言った!
叔父にぶつけた言葉は、鬱積した思いをぶつけただけで終わるんじゃなく
口にだした事によって彼という人間と叔父を結びつけるんだね。

本物の美少女コンテスト出場者を使って、映画は醜悪なミスコンを我々に見せ付けるが、
これが現実なんだ、ほんま、クソなんだ。
オリーブは一体どうするんだろう・・

ををっ、大笑いだ。期待を裏切らないオチだ。
はじけた家族のドタバタ振りが、くそみそをふっ飛ばすようで心地よい。

彼らの明日が明るいかどうか、はなはだ疑問だけれど、出発点を見つけた気がした。

それにしても、
毎月毎月、どこかの出版社から成功するための秘訣本が出る。
仕事ができる人できない人、20倍速で自分を成長させる、千円札は拾うな、、
この映画のミスコンを、わたしたちは全然笑えないよね。。

最後に、ちょっとしっくりこなかった事をひとつ。
それは、じいさんがやけに真面目な事をオリーブに言う所。
「負けることを怖れて戦おうとしない者こそが負け犬なんだ」なんて、えらい前向き。
もう少し、ひねた事を言うと思ったら・・・
ま、オリーブは屈託が無い少女なので、前向きがふさわしいのかな。

(2007.10.11)
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ペイルライダー Pale Rider (1985年 アメリカ)

クリント・イーストウッド監督・主演。

大自然に無残な爪跡を残すような乱暴な採掘方法で金を掘る鉱山王は
鉱脈を独り占めしようと、集落に嫌がらせをする。

悪徳保安官を雇い入れ、立ち退きさせようとする巨悪に立ち向かうは
放浪の牧師さま、我らがイーストウッド。

いやぁ、こういう西部劇って、男性版ハーレクインですな。

ワケありの過去をしょってる、ちょーいい男。背中には弾痕。
あんさん、なにもん?
白いカラーをはずして、封印されていた拳銃を手に取る・・

集落のリーダーのプロポーズを受けたっていうのに、女は明日の無い男との
一夜の夢を見る。。にゃ〜、あんさん、ゴルゴ13?

悪徳保安官&部下6人との決闘は、一種の芸術で、ひたすら格好いい。
なんですか、その揃いのロングコートは!
格好良すぎて、恥ずかしい・・

最後に プリーチャー!! と呼ぶ声も遠く、ひとり山の中に入ってゆくのだった・・・

男の夢全開!!!

そうだよね、牧師とガンマンって象徴的な意味で、男の夢なんだろうな。
聖と俗の2つの顔を持ち、メンタルな力とフィジカルな力をその手にし、
正しき道を示しながら、悪しき者たちを成敗する。


(2007.09.18)
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