ポーラ・デトマー・リグズ  2005年9月初出
RITAを2回受賞しているベテランロマンス作家だが、日本ではあまり作品が翻訳されていない。

ブラックジャック型ヒーローが、ほんま素敵なんである。
傷負った体で信念と正義と愛のために身を尽くす。
黒曜石のように固い外観の内側には、ふつふつと心の奥底から沸く熱い思いが満ちている。

問題解決へのアプローチがとても厳しいが、誠実で信頼できる。
家庭内暴力、虐待、レイプ、ドラッグなど深刻なテーマをとりあげることが多いが
たいていの場合、ヒロインがとても気持ち良い性格なので、共に悩んだり喜んだりしながら
読み進むことができる。

「Taming the Night」は、めったにないほど心にしみいる物語で、リアルな悲しみや
苦しみに混乱しながらも、最後にともる小さい、けれども力強い希望に涙が思わずあふれてくる。
カテゴリー 題名 過去 出版 ジャンル ヒロイン、ヒーローの名前 感想 一言
SIM-283 Desperate Measures 3年前にヒロインは夫を亡くす Apr-89 RT 子供の誘拐と脅迫 判事アマンダ・ウェインライト(35)、 元FBI捜査員デヴリン・ブキャナン(39) ちょっと竜頭蛇尾ではあるが、悪を憎む一匹狼ヒーロー(傷だらけの人生)と等身大ヒロインがいい感じ。愛するヒーローを絶対に放さないぞー!いいぞ、がんばれ!  
SIM-314 Tender Offer 6年前に離婚した二人 Dec-89 再会(6年) 贖罪と再生 会社乗っ取り コンピュータ部品製造会社CEOカサンドラ・オニール(キャシー 36)、 元辣腕投資家アレハンドロ・デ・ラ・トレス(アレックス 42) 理由も言わずにすべての舞台から姿を消したヒーロー。何があったのか? これがヒロインの現在の苦境と絡み合い、スリリングでホットで切なくて、あぁん、大人の純愛!心が傷だらけのダークヒーローさま、しなやかで強いヒロインを手放したらあかんよっ! 事件の展開も面白くてよく出来ている。 うるる
U-30 サンディエゴの光と影 ヒーローは8年前に中東で拷問による大怪我 左膝がつぶれている Dec-90 傷ヒーロー 正体を隠すヒーロー 海洋生物学感者ジュリエット・プレンティス(30)、 海軍情報局特殊捜査官ローク・マッキンリー大佐(42) 情報漏えい事件を秘密裏に調査するヒーロー。定番の設定で、ヒロインの秘密もむちゃくちゃ肩透かしなんだが、ベッドルームシーンがぐふふ、雰囲気たっぷりでイイんである。 半身不随となったヒロインの弟のその後が気になる。  
SIM-524 Once Upon A Wedding ヒーローは14年前にレース事故で右腕を失う。 ヒロインは11年前に夫を失う。 Oct-93 傷ヒーロー 便宜結婚 児童心理臨床学者ヘイゼル・オコナー(40) 弁護士ジェス・ダンテ(46) ハナマル! 虐待やDVに真剣に取り組むふたりの様子も上手いし、舞台背景に説得力がある。ヒーローの抑えた欲望が、うひひ、よいざます!ヒロインがとても誠実で素直で良いわ。 うふふ
D-898 Murdock's Family 12年前に離婚。ヒロインはその後幸せな再婚をしたが夫は一年前に殺された。 ヒーローは頭に銃弾の破片を受け、退役した。 May-95 傷ヒーロー 再会(12年) 農場主BJ(バーバラ・ジェーン)マードック・ダルトン(36)、 元SEAL中佐ケイン・マードック(41) 妥協すること、歩み寄る事ができず軍人の道を生きてきたヒーローが、ヒロインの家族を守ることに命をかけ、自分の孤独を認め、再び愛を見出す物語。ヒロインもきっぱりしていて悪くないわ。ラストのラストまで気をもませるけど、結末は悪くない。 うる
SIM-667 Her Secret, His Child ヒーローは22の時、路上強盗に襲われ大怪我、下半身不随に。
(SIM−524から4年たっている。 
Oct-95 デートレイプ 下半身不随ヒーロー 再会(18年) secret child 元NCLA花形クォーターバック、現在身障者向けスポーツジム経営ミッチェル・スカンロン(ミッチ 39 ジェス・ダンテと共同経営している)、 ブラデントン大学理事長キャロライン・アルダーソン(カーリー 35) 若さゆえの無知と傲慢が残した傷・・大人になって恋におちても昔の傷が深すぎて互いを不幸にしてしまう。 どっしゃっしゃ〜、たとえ女性側がどれほど無防備だったとしても、合意が無ければレイプなのである、という信念をここまでロマンスヒーローに問い詰める物語もめずらしいんじゃないだろうか・・・限りなくタブーに挑戦した作品。ヒーローの苦悩がほんま、胸にずんとくる。 辛くて厳しすぎる・・
IVY Taming the Night ヒロインは16年前に3年受刑している。 ヒーローは11年前に妻を殺害された。 1998 傷ヒーロー 傷ヒロイン ドラッグ中毒の悲劇 人生再出発 セラピスト、ドラッグ中毒更生施設運営サマー・ローレンス(33)、 主席保安官ブロディ・ホリスター(45) 中毒者の更生を信じたばかりに妻を失ったヒーローと、中毒者の更生に生涯をかけるヒロイン。 人を信じたことは決して過ちではないんだと思えるようになるまでの物語が、とても切なくて優しい。大切なものを守ろうとする吃音症ヒーローの深い愛情がいいんですよ〜。白いバラには泣けます・・ うるる

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