たくさん翻訳されていますよね。ＨＱから２７冊。
それなのにこれっぽっちしか読まずに、ずうずうしく独立させてしまいました。

RITAを取ったイマージュ２冊はとてもよく出来ているって思ったんですが、
この時点では作家買いに走る気にならなかったんですよね。
なんというか、すぅっと冷たい風が入るような、落ち着かないものを感じて、
この作家さん、どこか突き放した醒めたところがあるなぁって思ったんです。

でも、「逃走」を読んで、とても気に入ってしまいました。
（勧めてくださった方、どうもありがとー！）
ひりひりした緊張感、ベタっとしたところが無い自制心、重い雲がたれこめる雰囲気、
醒めた作風がぴったり。
心の内をあまり見せない一歩ひいたキャラクターが、本物に感じられ、信じられる気がしました。
抑えたロマンスがとても切ない。

その後「ニューハンプシャーの雪」「バラの葬送」を読んで、
薄気味の悪い脇役たちの生々しさにぞっとしました。
悪夢を彷徨っているような、雰囲気たっぷりの世界。
この人は普通のロマンスを書くよりも、奇妙に恐ろしい物語を書くほうが、
ずっと本領を発揮するんじゃないのかしら。


余談ですが、日本の人名表記ってどうにかならないんですかね。
「逃走」はベサニー・キャムベルなので、「キャンベル」ではひっかからないし、
あらすじや原題を調べるのによく利用する「サテライトブックストア」では
ベサニー・カンベル　ですよ。カンベルってあんた。。とほほ。