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更新記録 2015年4月1日から2015年5月31日まで


 4月5日



ものすごく久しぶりの更新です。
やはり年なのか、仕事から帰って夜に、とか、休みの日に、何かこういった作業をする事が億劫になっているんですよね。
以前は出来た事なのに、なぜ? モチベーションが高まらない、インスピレーションが湧かない、集中力が続かない、、はぁ、ブログを続けている方に尊敬の念を感じます。

ま、少し言い訳をすると、平日は帰宅も遅くて、夕飯を食べたら寝るみたいな生活が多く、ネットワーク管理の仕事に加えて解析の仕事が増えて毎日あっぷあっぷしておりまして、必要とされるのはありがたい事なんですけど、少々くたびれています。
2月3月は特に忙しかったため、逆ギレして本を読みました(爆)。
というわけで、自分の記録用に読んだ本くらいはメモを残しておきます。

Carla Kelly 「The Wedding Ring Quest」(2014) ハーレクイン・ヒストリカル
よかったです。これ。
もしかしたらハーレクインで書く最後かしら。
Her Hesitant Heart や The Admiral's Penniless Bride に比べてずっと人間の描き方に深みを感じました。
ナポレオン戦争後1815年が舞台。
ヒーローは海軍の船長で、クリスマス休暇のためにプリマスで暮らす息子と共に姉の家に向かう途中。
ヒロインはエジンバラで暮らす27歳独身。両親が亡くなり伯父の家の世話になっている。貧乏な居候の親族という立場ゆえ結婚の望みもなく、家政婦てきな立場に落ちついてしまっている。
伯父の家ではクリスマス用のフルーツケーキを毎年沢山焼いて友人に送っているのだが、ケーキの種に従妹が婚約指輪を放りこんでしまい、そのままケーキはどこかに送られてしまった。
超無理やりな設定であるが、ヒロインは送ったケーキから指輪を回収するために旅に出る。

旅の途中でヒロインとヒーローは出会い、ヒーローと彼の息子はヒロインのフルーツケーキ探しに付き合う事になるが・・・・

ヒーローが姉の家に行く途中に寄りたいと思っていた宿屋、食堂のエピソードが良いんです。
これがこの話のメインストーリーなんですよね。
心の旅となるロードムービー。

傷ヒーローは、すり減って無くなってしまった部分から目を逸らさず、じっくり自分と向き合うし、出来過ぎヒロインと思ったヒロインも変化を起こそうとするし。
Her Hesitant Heartのように、ヒーロー・ヒロインが善人過ぎる事もなく、The Admiral's Penniless Brideのように、ドアマットだったり理不尽だったりすることもありません。
カーラの作品から若さというきらめきは失せましたが、失望や絶望が積もって硬くなった心を時に温かく時に厳しくノックして、自分の内をみつめさせ、ヒーローやヒロインに再出発の勇気をふるい起こしてくれました。

ロマンスの香りは薄いんですけどね。
読んでいてときめかないんですけど、幸せの予感があればいいんです、カーラの場合は(笑)。
出だしがスローで調子が上がるまで時間がかかるのが難点かな。

Veronica Roth 「Divergent」(2012)
なんでこの本をポチしたかというと、ナリーニ・シンが面白かった本に挙げていてすごく褒めていたので買ってみました。
わたし、全然知らなかったんです。既に映画にもなっているし、邦訳もされているって事を。
知っていたら買わなかったかも。。

ディストピアものです。
なにか世界戦争のようなものがあって、ヒロインの生きている場所はシカゴみたいなんだけど、外の世界とは塀で仕切られていて市内だけが世界みたいなんです。
そこでは共同体は6つのグループに分かれて暮らし、16歳でどのグループに所属するかを決める事になっている。

読み始めて、あらま、面白い、面白いと止まらず、相当進んだところで、はたと止まりました。

ヒロインが両親と暮らしたグループとは異なるグループを選び、過酷な通過テストに立ち向かっているところで、まあ、かっちょいいサブリーダーヒーローに出会うのですが、 「あなたは年上すぎる」というヒロイン(16)に、私は「そうか、このサブリーダーは35くらいか?」と思ったら、なんとその男は18才なんですよー。

やだぁ〜、これってヤングアダルトだったのね。

危惧したとおり、かっちょいい男の子は何故か分からないけれど、ヒロインぞっこん命になるし、世界を救えるのはヒロインだけ、みたいになる。
世界の構築は面白いし、シミュレーションの血清とかアイデアも面白いのだけれど、もう少しその世界をじっくり描いて欲しかったなぁ。
もちろん全3巻だから導入部って事かもしれないけれど、通過テストプロセスは長々と続いたのにその後はバタバタと事態が急変して、まさかお母さんが、まさかお父さんが、、あれま、世界が、、とマンガ的な展開。

エネルギーはどうなっているんだろう、食糧はどうなっているんだろう、、真面目に考えちゃダメか、ただ受け入れなければだめか。

2巻もいずれ読もうと思っているのだけれど、このストーリーの一番のツボは、年上を35ぐらい?なんて考えてしまう擦れたオバサンの自分をしみじみ自覚した事でした(笑)。

Tess Gerritsen 「Die again」 (2014)

サスペンスフルで面白かったです。
前々作、前作で危ぶんでいたのです、わたし。なんだか精彩が失せた気がしたんです。
でも、今作は切れが戻っている感じです。偉そうで何様?ですけど(汗)。

テスはリゾーリよりもモーラに自分を投影している気がするんですよね。
人物像というんじゃなくて、自分の気分が上向きのときはモーラも上向きな気持ちで 生活している気がするんです。
モーラがグダグダしていると、作品も何かすっきりしない。

今作も色々と悩みをひきずっているモーラですが、強さを少し取り戻したような、諦めというよりは開き直りを少し感じました。
それと、リゾーリ&モーラシリーズの売りだった女の生き様を描く感じがとても冴えていましたね。
リゾーリの両親のエピソードはますます辛くなってきて、なぜアンジェラをコーザクと一緒にさせてあげないのか、カソリックの罪悪感や男尊女卑社会の痛さが効いてました。
いつもながらガブリエルとリゾーリだけが無問題夫婦というのがね、ちょっと嘘っぽいんですが、彼らは希望の星なんですね。

事件の真相は、途中からなんとなく見えてくるのですが、それでも緊張感が最後まで続くのが凄いです。
捜査の流れも納得が行くし、あのいけすかない Crow 刑事が相変わらず嫌な奴で、高島政伸の演じる「森山 卓」な男なんですが、ナイスタイミングで登場して腹立たしい事を言って、ほんと、今作は最初の頃の雰囲気が戻っていました。

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 4月8日

このところ雨が多いし寒いし、せっかくバラが新芽を伸ばしているところなのに病気になってしまわないか気が気じゃありません。
今年は去年のような窒素過剰の様子もなく、いまのところ順調に育っていますヨ。
庭のチューリップは盛りを過ぎ、今は洋種ツバキが咲き出しました。ナイトライダー(黒ツバキ)です。
コデマリやハナミズキの蕾はまだ固し。ラベンダーは蕾の穂が膨らんできたところ。
昨冬に鉢を数えたら、大小とりまぜてなんと60鉢もありました。ちょっと多すぎですね(汗)。

読み始めたのは、Anne Bishop 「Daughter of the Blood」 (1998)

といっても、昨日も帰宅が9時を過ぎてしまい、カロリーメイトで夕食>_<みたいな生活をおくっているので、ごく初めの部分しか読んでいませんが、いいですね、これ!
話のテンポというか、会話の間というか、文章が面白いの。
わずかなのに、それぞれの人となりが分かるんです。

ナリーニ・シンが選んだ好きな本5冊だっけ?それに入っていたので、ポチしたのですが、Divergentと同じく、既に日本で翻訳されている作家さんだったとは、知りませんでした。
THE BLACK JEWELS TRILOGY は翻訳されておらず、スピンオフみたいな3冊が翻訳されているんですね。不思議だわ。

ダークファンタジーなので、最初は世界設定を呑み込むのに少し時間がかかります。
支配者や王族、魔女の地位や力や才能は宝石によって決まるのですが、いや逆か、宝石によって地位や力が決まるのか、ま、とにかく高貴なものや女王は特別の宝石を身につけています。
いずこからか宝石はその者の眼前に出現する。力が増せば新たな宝石が出現する、、らしいです。
より暗い色のほうが力が強く、最高の宝石はブラックジュエルであります。

強大な力をもつ女王が世界を支配しているのですが、権力者の常か、女王の座を脅かす存在は早い内に芽を摘むを繰り返すうちに、周りを固めるのはイエスマンだらけ、疑心暗鬼で暴力的、支配ー服従に縛られた世界になっています。

気の狂った魔女が「新しい女王が生まれ、権力者たちの世は終わるであろう」と予言して700年もの時が過ぎ、、
ををを、、Witch が生まれたようです、、ただの魔女ではござんせん。the Witch であります。
この期待感がとっても上手いんです。
あぁぁ、ついに、我が君が、、、、ほんの数ページを読んだだけでヒーロー?の辛い日々が報われる時がきたとうるうるしてしまいました。
未来の女王を守るであろう、と予言された男が二人いるのですが(異母兄弟?)、両方とも服従のリングをつけられたままこの700年を生きてきたのです。

だがしかし、彼女はまだ7歳、、潜在能力はものすごいのに、それを上手く使いこなせず、願うだけで地球を一周するほどなのに、部屋の向こう側にある靴を近くに持ってくる事すらできません。
クレスリー・コールの Mariketa the Awaited みたいですね。

さて、7歳のヒロインはこれからどうなるんでしょう、、がんばって読まねば。

奴隷の男たちは魔法のかかった服従のリングを付けられているのですが、これがどこに付いてるのか気になっているのは私だけ?!(爆)

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 4月15日

Anne Bishop 「Daughter of the Blood」
あぁぁ、、、とんでもない迫力。。
気分が悪くなるくらいアンバランスな、温かいユーモアと容赦ない残虐さ。
感情を激しく揺さぶります。
しみじみと心温まる会話にのぞくユーモアが冴えれば冴えるほど、それ以外のシーンの苦しさが際立ちます。
あぁ、やめて、もうやめてーっ、、わたし、本当に恐くて恐くて心臓の鼓動が不規則に早くなってしまって、途中で「ばかばか、これは物語なんだから本気になってどうするの>自分。さぁ、ゆっくり息を吸ってぇ、吐いてぇ、、、落ち着いて落ち着いて」と言い聞かせましたよ。

なんという物語でしょう。
デビュー作なんですね、これ。だからでしょうか、アンバランスで不完全で、激しい熱っぽさで、圧倒的な勢いで、、
わかっているのに恐ろしいです。
人がどこまで残酷になれるものか、欲望のままにふるまい、人の苦しみをほくそ笑む、嘲笑う、繰り返される拷問、虐待、レイプ、、ドブネズミが生きたままの人肉を食らい、カラスが木に吊るされた子供の目をえぐる。。

性が人間関係のすべてである社会。
支配する、辱める、復讐する、所有する、壊す、、sex が力の源泉なんです。
相手より力を持ちたい。やられたら倍にしてやりかえす。いや、やられる前にやれ。
女王に辱められた少年は、大人になり、魔女の能力が目覚める前に潰せとばかりに少女をレイプする。
権力をもった魔女は、男たちを服従のリングで奴隷にして夜な夜な奉仕させる。

愛や信頼、忠義、名誉が失われた世界に、Jaenelle が希望をもたらすはずだったのに、、
物語は私の予想したように進まないのです。
おかしい、もう残り10%なのに、嫌な予感しかしない。
薄暗い霧のなかを追い詰められていくのです。
どうやったらこの苦境を脱する事ができるのか、、え、なんで真実が見えないの? え、なんでそんな人でなしの言う事を信じるの?
もう少しお砂糖をまぶしてくれると思ったのに、こんな辛い終わり方とは、、

ええ、すぐに2巻をポチしましたよ。
そうよ、これって運命の皮肉への伏線なのよね? そうだと言ってください、作者さん。
そうじゃなきゃ、辛すぎて辛すぎて、泣けてしまいます。

本当に酷いエピソードがとても多く、とりわけ児童虐待は吐き気がする暗さなので、万人向きな本ではないと思いますが、とてもリアルな闇を感じ、希望を願う思いに引き込まれずにはいられません。

それと、地獄のじいさんたちがね、、いいんです。まるでナウシカのじいやたちみたいで、姫さまを心から愛して、心を砕いている、素晴しいじいさん達なんです。

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 5月12日


台風が来るというので、今が見頃の鉢をベランダに避難させましたが、 全部は無理だわ。

チャイナの葡萄紅
ノアゼットのシャンプニーズ・ピンククラスター
ERのプリンセス・アレキサンドラ・オブ・ケント、アンブリッジ、ムンステッドウッド
ピンクアイスバーグ、スイートチャリオットなどなど

ははは、増えましたね・・・

動かせない鉢や大きいのはそのまま。

手前の白バラはつるアイスバーグ。
今年は出開きが多くて、花数が去年より減りました。

ちらっと見える赤い花はレオナルド・ダビンチ。
まだ大部分が蕾です。

背が高いのは、フリッツノビス。
一季咲き。半八重のピンク。
こちらはピークを過ぎて散りだしています。

一番奥、左端に見えるのがデュセス・ド・モンテベロ。
早咲きで一季咲き。
ほとんどが散ってしまいました。待って、そんなに急がないで。
可愛らしい花を沢山咲かせてくれました。
下の写真がそれ。

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 5月13日

Anne Bishop 「Daughter of the Blood」をあんなに絶賛した私ですが、、、
なんと言う事でしょう、 The Black Jewels Trilogy の出来栄えは坂道を転げ落ちるように落ちていきました。。

「Heir to the Shadows」 #2 (1999) 星4つ
「Queen of the Darkness」#3 (2000) 星3つ

2番目まではまだOKです。
一体この先どうなるんだろうとドキドキして読みました。
邪な企みに翻弄され、犯してもいない罪に苦しむ Daemon Sadi、一方の Jaenelle はまだ10代、Offering to the Darkness によって真のクイーンとなる日は近いようで遠い。
心の捻じ曲がった者たちの魔の手が次から次と襲い掛かってくる。

もう少し Jaenelle 側も警備というか行政というか、何か組織だったものが必要なんじゃないかい? 毎回後手後手に回って、、と思いつつも、書かずにはいられない作者の情熱と勢いを感じました。

ですが、ですが、3巻目は、、。
1巻目で含みを持って登場した多くのキャラクターが、全く無意味に消えてゆきます。
いやいやいや、それって、、ここまで引っ張っておいて、これ?
指輪物語で例えると、ゴクリをずっと連れていったのに、最後に突然出てきたオーク鬼にあっさりゴクリが殺されちゃうとか、そういう感じ。

一巻目で描かれた多くの胸詰まる悲劇が、ただの捨てエピソードになって終わるとは予想もしませんでした。
少なくとも Kartane には運命を予言したのだから、そのような最後を迎えさせるべきじゃないか。おかしすぎる。
なんで Wilhelmina やら Alexandra をここまでやってこさせて、ただのページ埋めにしちゃうんだよ。

敵対する Dorothea や Hekatah も彼女たちらしさが失われ、ここにきてガッカリのおばかさんな行動をとるし、Jaenelle を守る円卓の騎士みたいな味方グループもぎゃあぎゃあ煩いだけだし、ほんとにみんな一体どうしたの?
ほとんど全ての登場人物が、「らしくない」。この3部作を終わらせるためにただ行動しています。

そもそも、Jaenelle は7歳にしてあれほどの能力を持っていたのに、うーん、もうちょっと途中で色々出来る事あったんじゃない?
この物語の最大の欠点は、成長した Jaenelle に魅力が薄いって事ですよね。
成熟した女性らしさと人間を超越した圧倒的な雰囲気、そういうものが感じられず、なんだかつまらないキャラクターになってしまったわ。

そして、Jaenelle と Daemon のロマンス、これもこのシリーズの大事な売りなのに、やっと結ばれるこの巻で、全然萌えませんでした〜。
Jaenelle が7歳の時のほうがずっとドキドキしました(爆)。

この本を読むきっかけとなったナリーニですが、もうすぐ出ますね、Psy&changelingシリーズの最終巻?「Shards of Hope」 Aden と Zair。
Kaleb から3人連続、Psy−Psy カップルですが、とうとうアロー同士ですからね、わくわくしますね。

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 5月19日

ピエール・ルメートル 「その女アレックス」
友人に勧められ、読み出したら止まらず一気読みでした。

そして、読み終わったあとすぐに誰かに感想を言いたくなり、紹介してくれた友人にメールを書きました。こういう気分は久しぶり。

物語の根っこは、ここ何十年間かミステリーやサスペンスといったらこれだ、というほど決まって出てくる児童虐待で、辛く悲しく不愉快で全く救われません。
児童虐待ものは読んでいると自分まで汚れてくるような邪悪さがあって、反吐がでて読書が進まない、かつ、犯罪に目新しさを求めるのは間違っていますが、小説という事で勘弁してもらうと目新しくないわけです。
ところが、この小説は、邪悪の匂いを感じつつも、構成と切り口が上手くて、読みながら、なぜ?なぜ?とアレックスを、真実を、夢中で追い続けてしまいました。

まさに切り口なんです。
我々は、その時その状況で人を判断する。
その人の過去を知っているわけでもないし、その人の内面を知っているわけでもない。
この小説はその時その時を描写して、読者を「え?なんで?」と引っ張りまわします。
ミュンヘン行きのトラックを待っていたのでミュンヘンに行くと思ったら、途中で戻ってくるし、以前は断った男からの誘いを、わざわざこちらから誘いの電話をしたりする。
実に巧みに、読者をひっぱりまわすんです。
読んでいる人間は、必死でアレックスを理解しようとしているのに、その時の切り口しか見せてくれません。
別にアレックスに限らず、善人そうで子供達の良き父親のようなトラック運転手にしろ離婚調停中の薄っぺらいセールスマンにしろ、誰もが彼らの一面しか知らないんですよね。

最後になって、あぁ、、すべてがつながり、ひとつの悲しい像を結びます。

もう一つの魅力は、主人公の警部カミーユ・ヴェルーヴェンをとりまく刑事たち。
カミーユはビジョルドのマイルズなんですよね!
カミーユは50だから、マイルズよりずっと老けてますが、なんかすごく似てます。

低身長ゆえの無邪気な偏見に曝され、自意識過剰になりながらも鋭い知性で信頼を勝ち得ている警部。
優雅で品のよい裕福なルイ、みすぼらしく吝嗇のアルマン、こんなコンビってありますか?!
事件をとりまく人間たちが下衆であればあるほど、この刑事たちのチームワークと信頼が一服の清涼剤のように読者に沁み渡ります。

フレンチミステリーって特有の空気がありますよね。
フレッド・ヴァルガスを楽しんだ時と似た気持ちになりました。

アレックスは、カミーユ警部3部作というものの2巻目だそうで、1巻目はイレーヌ、そう、カミーユ警部の奥さんの誘拐の話なんです。
でも、アレックス本の冒頭、4年前にカミーユ警部の奥さんが殺された事が書いてあって、、残念にも程がある。
翻訳するなら最初からしてほしかったわ。。

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 5月22日

Patricia Briggs 「Dead Heat」 (2015)
アルファ&オメガシリーズ長編4番

前作「Fair Game」が出たのが2012年の3月。衝撃的なラストから3年、もう続きは出ないと思っていたので4巻目が出たのに気付かずにいました。
一気読み、、チャールズとアンナに再会できて嬉しかったのですが、うーむむ、少し肩すかしを食らった気分です。

このシリーズは、おおげさに言えば、人狼世界をめぐるパワーバランスを大胆に描いている所が売りで、北米の人狼と欧州の人狼との会合、、今まで秘密だった妖精や人狼の存在を人間社会に明かす、、えっ、彼らは化け物だ、、法律はどうなる、、共存は可能なのか、、といった大風呂敷をぐいぐい引っ張って話が進んでいました。

ですから、前作の「妖精の若い女性が殺害され、その犯人が人間だったと分かり、しかも裁判で人狼や妖精は苦汁を舐めて、犯人は無罪になり、激昂した妖精側が人間界と決別!」というストーリーは、人狼社会もこんな人間たちと上手くやってゆく事ができるのか? 妖精社会はどうするつもりなんだろう、、不安材料をいっぱい残しました。

で、本作です。
のっけに妖精やGray Lordが登場し、「来た来た来た」と思って読みだすと、、、
今までとは雰囲気が異なり、とてもローカルな事件及び解決で話が終わってしまいました。
あちこちで妖精の凶悪犯罪が起き始めている、、という匂わせで終わってしまいました。
人狼側は、今回は人間側に立ったけれど、今後どうするのか、、たまたま今回は人狼の親類の親類(遠いよ 笑)が攻撃を受けたから妖精と戦ったけれど、、、
前作から3年たちましたが、状況は全然変わっていないままで、また次を待つ事になります。。

また、本作はどうも読み心地が悪くてアンバランスに感じました。
A妖精の事件、Bチャールズと友人の話、Cアラブ馬の話、D魔女の血をひく女性が人狼にChangeする話 の収まりが悪いんです。
ストーリーはこんな感じです。
A−B−C−D−C−A−C−B−C

アラブ馬の育成やら調教やら種類やら、なんでこんなに詳しい話を延々書くの?
いくらアンナのために馬を買いに来たとはいえ、馬の事を書きすぎで、途中で投げ出しそうになりました。
同様に、魔女の血を受け継ぐ女性が人狼にチェンジするエピソードが、とても中途半端なんです。
魔女は人狼の天敵で、基本的には魔女の血をもつ人間を人狼にはしないのですが、よんどころない事情により、チャールズが彼女をチェンジさせるのです。
あれこれとこのエピソードを引っ張ったのは、きっとこの女性が最後の方で妖精と戦うキーになるからだとばかり思って読んでいたら、、あらま、何も起きませんでした。
最後に強力な魔法を使う妖精が登場して、チャールズ&アンナが大ピンチになるのですが、そこにその女性は登場しないのです。
え? なんのためにDのエピソードがあったの?

ブリッグスはほんま上手いんです。
AもBもCもDも、それぞれ上手くて面白いんです。
でも、一冊の本として読むと、なんだか繋がらなくて、AとBだけで話をまとめたら良かったのに、、無理な長編にしないで中編にすればよかったのに、と思いましたね。
AとBには、共通のモチーフがあり、不死なものと死せるものとの間にある「別れや喪失」「無償の愛と利己的な愛」など、実に巧みに織り込まれていました。
Joseph と Charles の友情の物語はしみじみします。ベテランの味ですね。

この次は何年後になるのかなぁ。

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 5月28日

あらま、Simone St. JamesThe Haunting of Maddy Clare が翻訳されていたんですね。

「唇にはレクイエムを」(ヴィレッジブックス)というタイトルに全然ピンときていませんでした。


原書の表紙カバーを生かした雰囲気の本にしてほしかったなぁ。
残念といえばタイトルもそう。
元のタイトルの文字面が、なんというか、時代がかった雰囲気をかもしだしていた気がしたのですが。
せっかく第一次世界大戦後を時代背景にした幽霊奇譚なのに、このタイトルとワンパターンな女性写真カバーはないよねぇ。
傷ヒーローが結構ツボだったのになぁ。デビュー作にしては悪くないのにもったいないわ。

彼女の2作目まで読んで、3作目をポチってないのですが、こうなったら応援の意味でポチろうかしら(爆)。

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 5月29日

その女アレックスのカミーユ警部&ルイ、アルマンがとても気に入ったので、カミーユシリーズ一作目 Irene (Verhoeven Trilogy Book 1) (English Edition) をダウンロードしました。

うううう、、2作目から翻訳されたケースの中でも最悪パターンのこの本。
イレーヌはむごたらしく殺されている事、日本の読者は全員知っているんですもの。

で・す・が、、恐いです。
ものすごく恐いです。

ありとあらゆるやり方で拷問して、さらに切り刻んで、スプラッター映画でもここまでは、、というほどの殺人事件が起きるのです。
サイコパスによる連続殺人事件だとわかるのです。

やだやだやだ、カミーユの奥さんイレーヌが最終的には狙われるのね?
目を焼いたり、喉から手を突っ込んだり、塩酸をかけたりするこの犯人に、、
あぁぁ、、、このまま読み続けたくない〜っ

結婚記念日にレストランで食事をして、散歩の途中で「ちょっとここで待っていて、車を取ってくる」といって道を渡るカミーユ。
振り返るとイレーヌの姿が、横の若い男によって遮られて見えない。
そんなシーンひとつに、私の心臓は跳ね上がります。
これは、健康に悪い本だわ。

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