Werewolf 人狼もの 2006年12月改訂

野性の本能と知性、人間社会で暮らす苦悩と不安、狼的な文化、面白い素材だと 思うのに、これまであんまり人狼ロマンスって翻訳されてない。 HS-42 夜ごとの誘惑 クレア・デラクロア LS-152 満月の夜に抱かれて カーラ・キャシディ くらいしかHQでは読めないが、上記2冊は、正直言って本気のwerewolf とは 言えない。ま、一時的にwerewolf になっちゃった。。。ってトコだ。 werewolf に後天的になるにせよ、生まれた時からwerewolf であるにせよ、 海外ではもっとたくさんwerewolf ものが出ている。 そこで、未訳のお薦め本やら、HQから出ているものやらを少し紹介みよう。 【レベッカ・フランダース】   彼女はHQでたくさん書いているが、ここにあげた人狼3部作を書いている。   これが、モノスゴク面白い!! これを読んだから人狼ものにハマッタとも言える。   あらすじはレベッカ・フランダースのところに書いているから繰り返さないが   ぜひぜひ訳してもらいたい物語だ。    (Silhouette Shadows, No 54) SECRET OF THE WOLF (1995)   記憶喪失のヒーローと、彼を助ける美しいジャーナリスト。   彼は、本当の自分が情熱と危険をあわせもっていることを感じる。。 いいじゃないか。人狼ヒーローが記憶喪失なんだよ〜、ぞくぞくするよ〜。 リプリントの表紙画像はアマゾンにあるが、なんだか トラボルタに似ている気がして困るわい。。 (Silhouette Shadows, No 57) WOLF IN WAITING     人狼カップルというハーレクインでは前代未聞の組み合わせだ。   これがすんごく面白い。 (Silhouette Shadows, No 59) SHADOW OF THE WOLF   ここまで読むと、もうあなたも人狼の世界にどっぷり。   あぁ、もっともっとこの世界を!って気になる。 (後記 その後HQ社からは2002年にリプリントが出たが、相変わらず翻訳はされていない。  むちゃくちゃ面白いのにぃ、残念!)  もし、この人狼世界に興味を惹かれたなら、Donna Boyd 名義で発表した  「The Passion」が超おすすめ!   ハーレクインよりは過酷で厳しい運命と愛にみちた、壮大なwerewolfサーガだ。 【Susan Krinard】   Bantamからwerewolfシリーズを出した。   第一作の彼らは、カナダの山奥の小さな村に住んでいる。werewolfじゃなくて、   loups-garous 、そうフランス語を母国語にしている。ヒーローの苗字がGévaudan    ジェヴォーダンなんだよねぇ。 (あ、そういえば、レベッカ・フランダース、DonnaBoydの人狼も、フランス語苗字だ)   まだ全部を読んでいないが、迫害を恐れてひっそりと暮らす人狼家族、   という感じの物悲しさがある。電気も使わない古風なpacの暮らし、普段狼の姿でいることが多い。 Prince of Wolves (1994)   愛と未来を怖れる人狼ヒーローLuke GévaudanとJoelle Randall。 Prince of Shadows   時代は現代。痛々しい人狼ヒーローKieran Holtと彼を守るために戦うヒロインAlexandra Warrington    【ここからはアメリカンヒストリカル、ホルトやランダルの祖先など、 いろいろな人間関係がつながってゆく】 Touch of the Wolf(1999)   1975年イングランド。すべてに裏切られ心を閉ざしている盲目の人狼ヒーローは、   伯爵Braden Forster。人間の父を持ちニューメキシコで育った純真なヒロインは   Cassidy Holt。   愛に焦がれながら愛を拒絶しようとするヒーローと、ヒーローの愛を求めて   前妻の影と戦うヒロイン。   Branden の母の旧姓はジェヴォーダン。    Once a Wolf(2000)   1878年ニューメキシコ。Bradenの妹、Rowena Forsterは、自分がwerewolfであることを   受け入れることができない。   過剰なまでに自分を押し殺した従順さを利用しようとするフィアンセCole MacLean。   Coleに父母を殺され土地を奪われたTomás Alejandro Randallは復讐を誓い   El Lobo と呼ばれる無法者になっている。彼はColeを辱めるためにRowenaを誘拐し、   彼女を臆病者と挑発するが。。。   ヒロインは、いつしか真の自分を認めるようになる一方で   先を考えずに復讐だけを追うのは楽なことだ、生きることを欲することこそ勇気がいる   と、命知らずの豪胆義賊が実は「生きる気がない」ことを見抜く。   ラストは、ヒーローのために、狼となって戦うヒロイン。   ヒーローの友人、暗く荒々しい Sim Kavanagh が登場する。 Secret of the Wolf   1880年ナパ・ヴァレイ。Bradenの弟、Quentin Forster は記憶喪失になっている。   ヒロインは女医Johanna Schell。    To Catch a Wolf(2003)   1880年コロラド。Cassidy Holtの兄、Morgan Holt と、デンバーの裕福な実業家の娘Athena Munroe。   Athena は正妻の娘ではなく愛人 Gwenyth Desbois との間に出来た娘。   Gwenyth Desbois は人狼だった。    To Tame a Wolf   1881年アリゾナ。母は娼婦(父はFrank MacLean Coleの父)のSim Kavanagh がヒーロー。   ヒロインはTally Bernard。彼女は人には言えない過去を持つ。   現在は男の格好をして牛牧場を経営している。   スペインの宝を埋めた地図をめぐり、欲にかられた人間たちの争いに巻き込まれる。    【ロバート・R・マキャモン】   意外だが、けっこう熱いロマンスありの冒険活劇人狼ものが翻訳されている。 「狼の時」 角川ホラー文庫 THE WOLF'S HOUR (1989)   ウイルスに感染して人狼になる、という設定で、8才の主人公はロシア革命で   両親を殺され、逃亡中に人狼に咬まれる。そして・・・第2次世界大戦末期に   英国軍秘密情報部の少佐として度肝を抜く仕事をやってのけるんだが、肉を裂き、   血潮飛び、骨を砕く凄まじさ。 一方でヒロインとの熱いシーンもありの、   ほんまコテコテの物語だ。 人狼集団に育てられるロシア・少年時代が切ないんだ。    【ケリー・アームストロング】 「わたしを愛した狼」 扶桑社文庫  「BITTEN」 (2004)   人狼ものでは実に珍しい人狼ヒロインもの。   男性のみに発現する遺伝性のものであるが、時にはウイルス感染のように   噛んで伝染るという人狼形質。   だが、無理に科学的な説明をしないところが、すっきりしていて気持ちよい。      自己の存在に対する懐疑、現代に生きる人狼たちの葛藤、伝統的なPacと   対立するはぐれ狼たちの闘争、、、作者なりの人狼世界を作っていて面白い。      タフで攻撃的な人狼ヒロインと、妙に寂寥感と孤独感が漂うロマンスが   なかなか良い感じ。 人間嫌いヒーロー、クレイが、超好みである(#^o^#)。   こんな男に激愛されて、それをこばむなんて、ヒロイン、あんた自分の幸運がわかっとらんっ!      続編「STOLEN」では、ヴァンパイアや魔術師なども現代のニューヨークに   何食わぬ顔で生活してることが明かされるそうだ。 Kresley Cole 「A Hunger Like No Other」(2006)   いまやロマンス界にwerewolfものは溢れて少し食傷気味であるが、   最近の人狼ものでは久々のヒット。   流行リのエロチックも加味して、ロマンチックコメディに仕上げてある。   パラノーマル版「そのドアの向こうで」。   人狼社会とヴァンパンア、ヴァルキリのパラノーマル三つ巴ロマンスだが、   意外にもこの人狼たちは、超人的な力や感覚はあるにせよ、狼に変身はしない。   所有欲の強いパワー溢れるアニマル君といった軽さは否めないが、   三つ巴世界の設定もそれぞれのキャラクター設定にも無理がなく、素直に楽しめる。 【Angela Knight】   Mageverseという、魔法とユニバースの合体語、がシリーズの舞台だ。   その世界は、地球とは異なる次元に存在している。アヴァロンという都市には   Magekind(ヴァンパイアとウィッチ)が暮らしているが、彼らは、次元旅行者マーリンが、   1600年前に蘇らせた、アーサー王の円卓の騎士とその恋人たちなんである。   さらにその世界にはMagekindよりも古くから、妖精たちと彼らを統べる妖精王が暮らしている。   Magevese にすむ者たちは、みな不死の者だ。      ヴァンパイアとウィッチは、地球の人間を守る役目をおおせつかっているわけだが、   深謀遠慮なマーリンは、ヴァンパイヤとウィッチたちを監視する役目として   werewolfも作った。人狼はMageverseではなく、地球で暮らしている。   彼らは人間と同じように老いて死ぬし、魔法が使えないが、魔法が効かないようになっている。      エロチック場面満載なんだが、ストーリーは意外にもシリアス。   Dark Ones が放った悪が、Mageverse を越え地球をも侵食する。   悪のヴァンパイアたちが、Death Magicからパワーを得るため、生贄を求めて   殺人を繰り返す。   魔法とは無縁の地道な殺人捜査や組織内の人間関係を堅実なタッチで描くと同時に、   悪しきヴァンパイアを追うマジックな者たちの手に汗にぎる物語、さらに、   マージヴァースでの権力争いや、Direkind(werewolf)とMagekindの反目など、   大きな流れがシリーズをより一層興味深いものにしている。    「MASTER of the MOON」   ヒーローは妖精王で、ヒロインが人狼。市の助役?マネージャーとして   犯罪捜査に協力している。   エロチック冒険活劇なんだが、ヒーローを苦しめる邪な兄の恐ろしさが   ただの冒険活劇以上の味を加える。   Morven Sidheを黙らせるヒロインの啖呵には、胸がすくなんてもんじゃないっ   裏切りにつぐ裏切りの果てに、これほどの愛と信頼が待っていようとは、、   ヒーローに心からの祝福を与えたくなる。   シリアスストーリーに「なんちゃってエロ」があまり上手くミックスされて   いないのが残念なところ。 「MASTER of WOLVES」   上記のヒロインの兄が主役。本業は画家なのだが、親友の死の真相を   探るため、警察犬に身を落とし(笑)、警察内部に潜入する。   そして刑事ヒロインと共に、市を覆う闇と戦うことになる。 【Karen Whiddon】   彼女は2004年からSIMで書いている。werewolfじゃなくて、Shape-shifterと呼べ、   だそうだ。   NYから北に数マイルの、小さな村 Leaning Tree が彼らのpacの   住んでいる村だ。はっきり言って「なんちゃって人狼」で、人狼ゆえの苦悩や誇り、   特有の文化などがたいして見受けられないし、雰囲気作りは上手いがストーリー構築に難がある。   (Silhouette Intimate Moments) SIM-1301 One Eye Open (2004) SIM-1365 One Eye Closed SIM-1397 Secrets of the Wolf 【レベッカ・ヨーク】   Barkeley Sensation から 人狼シリーズを出している。   彼女の描く人狼はみな一匹狼。pacを形成せずに単独で生活する。   男性にしか人狼形質が現れない、単なる不幸なY染色体連鎖の遺伝病家系と   いった感があり、その悲劇性を強調したわりには、肩透かしの楽観的な軽さがある。   人狼としての文化や種族の概念が不明で、変身しなければ嗅覚も聴覚も人間と   同じであるなど、都合の良い時だけの狼、スパイダーマンの狼版といったところか。   「なんちゃってサイエンス」はアメコミ風だが、サスペンス部分は味わいがある。 Killing Moon(1993) 読後に感想を追加した   「いにしえの月に祈りを」として翻訳。   私立探偵人狼ヒーロー、シリアルキラーを捜査。 Edge of the Moon   第1作のヒーローの友人(人間)刑事ヒーロー、シリアルキラーを捜査。 Witching Moon   1作目のヒーローの弟(人狼) Burning Moon Crimson Moon Ghost Moon(2008)でMoonシリーズは9冊目 【Lori Handeland】   パラノーマルというよりスティーブン・キング的なホラー風味のシリーズを書いている。   ナチの秘密研究施設、インディアン伝承、ブードゥ教、などを織り交ぜて、   不可思議な事件を追うwerewolfハンター「Jäaut;ger-Sucher」が登場する。 Blue Moon(2004) Red Moon Rising (2004) 「Blue Moon」から始まって「Thunder Moon」(2008)まででA Night Creature シリーズ11冊。 【イヴリン・ヴォーン】 (Silhouette Shadows No. 8)  Waiting for the Wolf Moon Evelyn Vaughn    彼女は最近の作品が日本で翻訳されたが、なぜか2004年にRTレビュアチョイスを   受けた作品は翻訳されていない。(評判のいい奴を訳してくれぇ〜・・・)      さて、読む前は人狼の話だと思っていたのだが、それはわたしの間違いで、   魔女ヒロインたちの物語だった。   Stagwaterというルイジアナの町を舞台にしたパラノーマルワールド   The Circle Series 4部作。   感情を捉える栗色の髪のシルビー、先祖代々魔女の血を受け継ぐ赤い髪のブリジッド、   未来を読む癒しの手・ブロンドのメアリー、大地のエネルギーをもつ黒髪のシプレス、   彼女らの暮らす町 Stagwater が舞台である。   シリーズ1番目は、人狼に絡んだ不気味なサスペンス。   なにか恐ろしい事が満月のたびにおこる。   それは町外れの一軒家に謎めいたヒーローが引っ越してきてから   起こりだしたが、偶然の一致なのか・・・   「現(うつつ)か幻(まぼろし)か」、、最後まで人狼が本当にいたのかどうか   わからないのだが、現実とは何か?という不安と恐怖を描く上手さが抜群である。  (Silhouette Shadows, No 39) Burning Times (1993) (Silhouette Shadows, No 52) Beneath the Surface (Silhouette Shadows, No 66) Forest of the Night (後記 これまたHQ社からリプリントが出たが、相変わらず翻訳は無い) リーガン・フォレスト HI-48 Heart of the Wolf (1986) おっと!キルトをはいて、スポランをつけているヒーローだ! 表紙絵のためだけでも、買って損はない(ほんとか? 笑)   レイ・ギャランデールと弟はアメリカから霧深いスコットランドの村   Inverglesに来た。それはクラン マクデニンのギャザリングのためだ。   彼女たちが到着する少し前、古えより伝わる宝が忽然と消えた。   新しいクランチーフ、ネイル・マクデニンはいかなる犠牲を払っても   これを取り戻すことを誓う。   レイと同じゲストハウスに泊まっているCheyne MacDeninは   謎めいたハイランダーだった。レイはシェインに惹かれ、   ネイルがシェインを疑っているのを無視した。   彼女は盗まれた遺宝が、一連の奇妙な出来事と結びついていることを知る。。 ハイランダーと狼がセットになっているお得な一冊?実は人狼とは関係なくて マクデニンの紋章が狼の紋章というだけ(笑)。 スコットランド弁で話す学者ヒーローがとても魅力的なり(^o^)ヒロインが羨ましいぃ。 ドーン・スチュワードソン HI-22281 Hunter's Moon (1994)   旅行ガイドのダニは、気がつくと1850年のトランシルバニアにいた・・   村人たちは彼女を吸血鬼だと思い、杭で心臓を打とうと襲ってきた。   カーステン・ニコラエ伯爵は彼女を救い、黒いケープに彼女を包み    黒馬の背にのせた。。だが、ダニはカーステンから危険なにおいを感じていた。 バンパイアか?と思ったら、人狼なの??うーむ、これまたどうなっているだろう? タイムスリップとバンパイア、人狼がセットになったお得な一冊?

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