Nalini Singh ナリーニ・シン  2007年10月初出
ハーレクインでの彼女の作品は立ち読みでしか読んだ事がないのだが、
こんな大仕掛けでスリリングな物語を書くような筆力だとは思わなかった。 驚き。

ほとんど今の地球、今の世界と同じ、サンフランシスコもあればモスクワもある、
パブロフの反射実験も過去にあったし、科学の発達も似たような感じの世界なんだが、
この世界では、Psy と Changeling と人間 が共存している。

Psy は俗にいう超能力者である。思念で言葉を伝達し、物を動かし、形を変え、
相手の心をコントロールしたり、殺したりする能力をもち、政治経済の中枢を握っている。

Changeling、様々な動物のChangelingが存在し、それぞれ動物の習性を色濃く残している。
通常人間の姿で生活するが、聴覚や嗅覚、脚力など、抜きん出た獣性をもつ。
また、自由に獣の姿に変わることができる。

さて、
Psy は、彼らのテレパスが強い破壊力を持つため多くの問題を抱え、
とうとう、1979年に、暴力を追放するため「Silence」を施行する。
悲しむ、憎む、怒る、などの感情が起きないよう、全ての感情を抑制する条件付けをPsyの子ども達に
施すのだ。 通常6歳から18歳ぐらいまで、彼らは厳しい条件付けをされる。

そして、物語はSilenceから100年たった2079年に幕をあける。

ふふふ、面白いです。
各巻ごとにロマンスは独立しているけれど、物語は緊密に絡まっていて、
感情を消したPsy社会に起きている「ひずみ」と「新しいうねり」を、じわじわと描いています。
この緊迫感が良く出来てます。

Psy社会の頂点に立つCouncil7人衆のキャラがたってきて、やばいです。

面倒くさいほど謎が謎のままなので、どの巻も中途半端な気もしますが、あれこれ推理するのもまた一興かと。
個人的には謎リストを作って、いつ明らかになるのを楽しんでます(笑)。

Changeling社会にも変化はあるけれど、基本が「善いもん」なので、
Psy社会の権謀術策に対抗するほどの面白さがない。そこらへんをどう調整するか、が今後の見所かな。

ロマンスに関しては、、今のところ1巻のロマンスが一番雰囲気をもっていたかも。
ストーリーの展開としては3巻で、いよいよ面白くなってきた、といったところ。
読むなら、絶対に続けて読むことをお勧めします。
カテゴリー 題名 過去 出版 ジャンル ヒロイン、ヒーローの名前 感想 一言
Berkley Sensaton Slave to Sensation ヒーローの両親は13年前に殺害。 Sep-06 2079年 Psy&changeling シリアルキラー E-Psy Sascha Duncan(26)、  パンサーチェンジリングLucas Hunter(33) シリアルキラー探しを縦線にして、Psy世界は一体どうなるかと思っていたが、ヒロインとヒーローが恋愛関係になって後半が凡庸で、しまらなくなった。犯人を掴まえるのもなんだかアッサリだし。。 うひ
Berkley Sensaton Visions of Heat ヒーローは10才のとき、宗教集団に入った両親に捨てられ、妹はそのとき死亡。 Mar-07 Councilor選び ダークマインド シリアルキラー ヒロインの妹の死 F-Psy Faith Night(24)、 ジャガーチェンジリングVaughn(30) 1巻は物語の1章だった。シリアルキラー問題は、もっと深刻な問題になった。背後にいるDark Mindとは? SilenceをPsy社会の内側から正していけるのだろうか? ロマンス部分よりも背景のほうが気になってしまう。
Berkley Sensaton Caressed by Ice ヒーローは10才のとき力が制御できずに仲間を殺してしまった。 Sep-07 Psyの逆襲 マインドコントロール プロトコール1の施設の破壊活動 チェンジリング間ネット ウルフチェンジリング Brenna(20)、 Tk-Psy 元ArrowのJudd Lauren(27?) 新しくCouncilorになったKalebのダークな力。Juddの秘密活動。恐るべきTk-Cell再生能力をもつJudd の暗いパッションがウヒヒ。。ウルフ社会を脅かすドラッグ。脳インプラント。。一体これからどーなるの?! うひ
Berkley Sensaton Mine to Possess ヒロイン3才のときヒーロー9才と知り合う。 ヒロイン捨て子。ヒーロー、母は人間。パンサーの父親を知らない。 Mar-08 再会(20年)、 幼なじみ、 性的虐待、Forgotten、 子供の連続誘拐 人間Shine財団で保護司をしているTalin McKade(28)、 パンサーチェンジリングClay Bennett(34) ヒロインとヒーローの愛は思いが深すぎるゆえに傷も深いんだよねぇ。 ナリーニは物事をしっかりと考えているわねぇ。サイレンスの問題も単純にやめればよいというものではない事をJudに言わせるなんてさすが。 Ghost、Protcol1、Ashaya、 Dorian、 もう続きが気になって気になって、ますます目が離せないわ。 ナイス
Berkley Sensaton Hostage to Pleasure ヒロイン(14〜16の時)母は謀反者として処刑された。 ヒーローの妹は1年半前Psyシリアルキラー(エンリケ)によって惨殺された。 Sep-08 Protcol I からオメガウイルスへ。 不完全である痛み 憎しみからの解脱 M-Psy Ashaya Aleine(26)、 レオパードチェンジリングDorian Christensen(30?) シフトできないドリアンの苦痛・失った妹に対する罪悪感、Psyへの憎しみ、、など切なさたっぷりだったが、彼のドラマ部分が多すぎた感がある。 もうちょっと謎の解明の部分が読みたかったなぁ。 アシャヤは出来すぎヒロインでしたねぇ。。 うひ
Berkley Sensaton Branded by Fire Rileyは10才のとき両親を失った Jul-09 責任ある仕事とmatingの両立 HumanAllianceのテロ活動 Psyの狂気 レオパードチェンジリング Dark River sentinel Marcy、 ウルフチェンジリング Snow Dancer Lieutenant Riley(ブレンナの長兄) 事件がロマンスの単なる背景になってしまい、このシリーズの持ち味が減少、HAなんて物足りなすぎ! マーシーとライリー、ふたりともchangelingなので嘘やごまかしが無く強力タッグと言った所。あぁ、Councilor達、どんだけ恐ろしいんじゃっ!無敵すぎるよ・・
Berkley Sensaton Blaze of Memory ヒーロー9才のとき彼の父が妻の首をしめて殺してしまった。以後父は施設に入っている Nov-09 Forgottenの狂気への不安 父と子 M-Psy、Ekaterina(Katya) Shine財団ディレクターDevraj Santos 脳レイプされ暗殺コードを埋められたヒロインを殺すべきだが、この一線を越えたら人間性を失ってしまう、、温かい感情に価値を置くことと、Forgotten集団を守る事の両立の難しさ。苦悩するヒーロー、よござんす。ヒーローの父の話は泣けますねぇ。。そしてArrowは驚くべき展開!まじ?!  
Berkley Sensaton Bonds of Justice ヒロインは8才の時、狂ったPsy教官に虐待され大怪我を負い、両親には捨てられた。 ヒーローは母親に憎まれながら育った。 Jul-10 Nikitaに対する暗殺計画 Countcilの分裂 シリアルキラーの捜査 J-Psy Sophia Russo  人間の刑事Max Shannon 凶悪犯罪者の心をのぞき処罰するJusticeという仕事がヒロインの正気を奪うのか? 人間ヒーローの愛が彼女を受け止める優しいロマンス。 脇のドラマの方が気になり、ロマンスがお邪魔(爆)。Nikitaが影の主役です! Kaleb、、一体6年間誰を探しているの? 気になる〜。小出しの上手さ、シリーズを引っ張る手腕は感心。
Berkley Sensaton Play of Passion ドミナント女性(ヒロインの伯母)の結婚生活がうまくいっていない Nov-10 Snow DancerテリトリーにワナをしかけるCouncilorヘンリー ウルフチェンジリング Snow Dancer Leutinant Indigo(4歳年上)、 Andrew(Drew) ドリューがいつの間にこんな言い男に?!(笑) ドミナントかつ年上のインディゴが、うまくいかないに決まってる!と逃げるのを尽くして説得して、、ははは、癒されます。 なんとHawkeはペニージョーダンヒーローだった! なんとCouncilは全面戦争へ突入?! 次が楽しみ。  
Berkley Sensaton Kiss of Snow ヒーローは10才のとき、将来のmateである少女を亡くした。 Jun-11 Snow Dancer とHenryの全面戦争 年の差 X-Psyの苦悩 Walkerのロマンス X-Psy Sienna Lauren(19)、 SnowDancerのアルファHawke(34) ホークのおたんこなす!と最初は頭にきましたが(笑)、はっはっは、Kitに嫉妬めらめら〜。Siennaのためならパックも捨てる、炎に焼かれてもいい、と、あぁぁ、よござんす! ウォーカーのロマンスもしっとり沁みました。 それにしても一体これからHenryやMingはどうするんだろう、早く続きを書いてくれー! うひ
Berkley Tangle of Need Play of Passionの時の伯母が今回のヒロイン Dec-12 mateではない相手 PsyのCivil War Arrowの苦悩 Ghostの謎 Kalebついに見つけた?! ウルフチェンジリング Adria、SnowDancer Lieutenant Riaz うわ〜、微妙〜。ロマンス部分がイマイチだった(&表紙絵)。作者としては冒険かもね、お互いにmateじゃないと思いつつ惹かれる、という関係。これを許すとmateの定義が怪しくなるしねぇ。 Psy社会の部分は良いです。もうもうもう、ラストが衝撃。 シリーズ読者じゃないと微妙
Berkley Sensaton Heart of Obsidian Kaleb12歳のときSaharaに出会う。Saharaは16歳のとき行方不明に。7年間Saharaを探し続けていた Jun-13 Childhood Love Psyの内戦 Silenceの終了宣言 2081年 B-Psy Sahara Kyriakus(23), Councilor 最強Tk-Psy Kaleb Kyrchek(29)  どひゃー!すごいよ、ナリーニ!シリーズ構成力に感服。二人のロマンスも泣ける〜!こんなにKalebにきゅんきゅんするとは。。エピソードの組み立て方も全体のストーリーも、いやはや文句無し。読み終えてすぐに読み返しましたヨ。 うひひ!
Berkley Shield of Winter ヒロインは16歳のときリコンディショニングを受けた。ヒーローは4歳からアロー訓練所に入った。 Jun-14 Psy社会崩壊の危機 たちあがるエンパスとArrow Empath Ivy Jane(23)、  Arrow Tk-V Psy Vasic Duvnjak(31) Vasic〜っ!むむ、難しいぃぃ、おしゃべりしたり笑うVasicを受け入れるのが難しい(汗)。IvyはE-Psyだから感情豊かなのは当たり前だけれど、なんかなぁ、単純な感じで、、でもロマンス以外は素晴らしい。Psy社会を蝕む Infection をエンパスはどうやって止めるのか、Arrowはこれからどうなるのか、、全体の掴みがホント上手いねぇ。。 ロマンス以外はGood Job!
Berkley Shards of Hope ヒロインは両親からの凄惨な虐待の果てに両親を殺害した過去を持つ。 新しいArrowの創設、 2082年 Arrow senior commander Zaira(),  Arrow leader Aden() 出だしはすごく上手いし、すっと物語に入れる。ロマンス以外は泣けるしドラマチック。Arrowにしか居場所がないPsy達が疑似家族となってゆく。でも、Arrowヒロインがサイレンスから解かれる所、あまり説得力がないよねぇ。スムーズすぎる気が、、 Adenは出来過ぎ君で、ある意味一番Psyらしいね(笑)。 ここまで話が破綻なく続き、しかも緊張感が途切れないなんて、すごいね。 ロマンス以外はGood Job! 


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